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番外編 第九話 祝勝会で見ちゃった

 「あれは風紀委員長の天羽先輩ではないか・・・それと」


 偶然にも焼き肉店で知り合いの姿を確認するシグレたち。

 しかし、風紀委員長の天羽ネネはともかくとし、もう一人の男子には見覚えがない。


 「ん・・・誰?」


 カケルが男子生徒の方を見ながらシグレとクルミの二人は知っているのかどうかを聞く。

 しかし、二人も首を横に振って自分たちも知り得ない事を示した。


 「もしかしてさ・・・デートとかじゃないよね?」


 クルミがそう予想を立てるが、その考えにシグレが首を傾げる。


 「・・・どうだろうな? デート場所に焼き肉店を選ぶとも思えんが・・・」


 確かにそうだ。少なくとも自分に彼氏がいるならばデート場所にこのような場所を連れてこられたらどんな顔をすればいいかわからないだろう。

 もっとも、自分にそんなものは存在しないが・・・・・。


 「まあ余り詮索するべきではないだろ。何も見なかった事にして早くここを出よう・・・おい、カケルはどこだ?」

 「あれ、さっきまでいたのに・・・」


 いつの間にか一緒にいたカケルの姿が消えていた。

 二人が辺りを見渡すと、シグレがカケルの姿を捉えた。


 「(いた・・・!)」


 カケルは自分たちが先程まで座っていた席に座り直し、その視線はネネと男子に向いていた。

 ネネたちに気付かれぬ様、カケルの元まで移動する二人。


 「おいカケル、何をしている?」

 「ん・・・気になるから」


 カケルは視線をネネたちに固定したままの状態でシグレの問いに答える。

 そんな彼に対してシグレは腰に手を当て、僅かに厳しい目を向ける。


 「なにを言っている、そのような悪趣味な事は許さんぞ。盗み見など言語道断だ。クルミも何か・・・・・」

 「いや~、でも実際デキているのかしらあの二人?」


 クルミはいつの間にか飲み物まで用意して、カケル同様に席に座り様子を窺っていた。

 そんな彼女にシグレは芸人の様に思わずずっこけそうになる。


 「おい! お前まで何だ!!」

 「しっ・・・気付かれるでしょ」

 「ああ、すまな・・・いや違うだろ!」


 一瞬思わず謝りかけてしまうシグレであったが、すぐにはっとして噛みつく。


 「ん、シグレ、しっーー」


 カケルが人差し指を口元に立ててジェスチャーする。


 「ああ、悪い悪い・・・いやだからな!?」


 同じようなやり取りを再び思わず繰り返すシグレ。

 案外彼女は芸人気質があるのかもしれない・・・。


 「盗み見なんてそんな悪趣味な事、風紀委員として許しては置けないといっているんだ! お前たちは恥ずかしいとは思わんのか?」

 「「それよりも気になる」」

 「この阿呆共!」


 口で言っても分からぬならば無理やり引っ張っていこうかと考えるシグレ。しかし、その時席に座っていたネネが席を立ちこちらの方面へと歩いてきた。


 「なっ、いかん!」


 シグレは慌てて席につき、カケルとクルミの頭を掴んで低くして抑え込む。

 

 「わぷっ!」

 「むぎゅう」

 「しっ! 静かにしろ・・・・・ふうっ、行ったか」


 自分たちの席を通り過ぎて行くネネ。

 見た所、飲み物のお代わりに行っているようだ。


 「ちょっと、いきなり痛いじゃ・・・」

 「ん、シグレ乱ぼ・・・」

 「! 伏せろ!!」

 「「ふぎゅう」」


 再び二人の頭を掴んで低く抑え込み顔を隠す三人。

 飲み物を補充したネネが戻って来たので、また頭を押さえつけられたカケルとクルミ。

 ネネが通り過ぎて行き、取りあえずは安堵の息を吐くシグレ。


 「ふう・・・気付かれてはいないな。良かった」

 「「よくねぇよ」」


 二度も顔面を無理やり机に押し付けられたカケルとクルミの二人がビシッ!と手を突き出してツッコミを入れる。

 二人の鼻は赤く染まり、ジンジンとした痛みと熱を宿していた。


 「うっ・・・すまない。しかし、あのままでは見つかる恐れが・・・」

 「何? アナタも気になっている訳?」


 クルミがニヤニヤと笑みを浮かべながらシグレの肩に手をポンと置いた。

 口元に微かな笑みを浮かべ、ビッと親指を立てるクルミ。


 「ん・・・クルミ、少し鼻血出てる」

 「えっ、マジ?」

 

 クルミはカケルから手渡されたポケットティッシュで鼻から漏れている赤い果汁を拭う。

 すると、ネネの居る方の席から少し大きめの声が聞こえて来た。


 「私は、あなたの事をずっと見て来たわ!」

 「「「!!!」」」


 珍しく大きな声を発声したネネに反応するシグレ達。

 近くの席に居るお客達も何事かと彼女達に注目する。


 「だから、だから・・・」


 ネネは目の前の男子に僅かに頬を染めながら言った。


 「私は・・・あなたが好きなの」


 「「「「「!!??」」」」」


 その言葉を聴いていたシグレとクルミは自分が告白したわけでもないにもかかわらず、顔を紅く染める。 一緒に居るカケルはいつも通りの表情だ。


 「・・・・・」

 「ゴホンッ・・ンンッ!」

 「あらあら・・・」


 近くでネネの告白を聴いていた一般客達も視線をネネたちから逸らしてはいるが、やはり気になる様でちらちらと視線を傾けている。


 「(まさか・・・あの委員長が)」

 

 同じ風紀委員であるシグレの驚きは一際大きく、カケルとクルミの二人に帰る様促していたにもかかわらず、今はドキドキしながらネネたちに視線を集中している。


 そして・・・・・ネネの前で座っている男子が口を開いた。


 

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