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魔法ができてしまったこの世界で  作者: 銀色の侍
二学期 クラス対抗戦編
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第百八話 大会後の選手達

今回でようやく大会終了です。中々に長かった~。

 〝クラス別魔法戦闘〟の優勝クラス、一年Bクラス。

 大会終了後、各クラス、全二十五名の生徒達は試合前に集まっていた学園のグラウンドへと集まり、そこでは表彰式が行われていた。そして、優勝クラスのBクラス、その中で唯一生き残っていた星野カケルが代表として、優勝に証である賞状を受け取っていた。


 「Bクラスの皆さん、おめでとうございます」

 「ん・・・」


 アナハイムが代表として前に出たカケルへと賞状を渡す。

 それをコクリと頷いて受け取るカケル。その後ろでは、同じ優勝クラスのシグレが内心で頭を抱えていた。

 

 「(カケル・・・もう少ししっかりとした態度を示せ)」


 普段の彼を知っている彼女ではあるが、それでもこのような場面ではもう少し態度を改めてほしい物だ。

 そんなシグレのことなど、この猫ちゃんはお構いなし。彼は賞状を受け取った後、皆の元へと戻って行く。

 カケルが戻った事を確認した後、アナハイムはこの場に居る皆に向けて賞賛の言葉を送った。


 「皆さん、一時間にも渡る戦い、お疲れさまでした。優勝をしたBクラスの皆さんだけでなく、惜しくも優勝を逃した皆さんも精一杯戦い抜いていました。この戦いの中で、皆さんもより魔法という力を理解し、そして自分の学ぶべきことが見えたのならば幸いです。また、観戦をしていた生徒の皆さんも、貴方方の戦いで何かを得られたと思います。ですので、此処にいる皆さん、今回全力で競い合った自分を誇りに思ってください」


 アナハイムは皆にそう語り掛けた後、小さく一呼吸を置き、最後に大会の終了を告げた。


 「それではこれにて、〝クラス別魔法戦闘〟の大会を終了と致します」






 大会が終わり、その日の学園は終了した。

 回復したとはいえ、今日一日は選手達もゆっくりと体を落ち着かせるべきだと考慮したからだ。

 

 学園に居た生徒達は大半が今日一日の戦い見て、沸き上がった熱を宿したまま帰宅して行った。だが、何人かの生徒は未だに学園に居た。

 

 「・・・・・・」


 一年Cクラスの教室では、自分の席で本を読んでいるヒビキが居た。

 しかし、彼は手元の本を開いてはいるが、そのページがめくられる速度がやけに遅い。


 「・・・・・・」


 彼は今、本を開いてはいるが、読書をしているとは言い難いだろう。

 タクミとの戦いで、果たして彼はどのような答えを出したのだろう・・・・・。






 そして同じく、一年Eクラスにも一人の生徒が自分の席についていた。

 その生徒は険しい顔をしながら、頬杖をついていた。


 「畜生・・・」

 

 口から悔しさの言葉を滲ませていた生徒は大会の出場選手であったケシキであった。

 今回、自分たちは真っ先に脱落して行った。大した成果も残せずに散って行ったケシキは他の四人に・・・そして何より自分に嫌気がさしていた。


 「個性が・・・力があれば・・・くそ」


 ケシキはそう呟くと、唇を噛んだ。

 中々に強い力で噛んだ唇からは、微かに血が垂れていた・・・・・。






 アタラシス学園第一訓練場ではマサトが拳を空へと突き刺しながら、ある事に対しての確認を行っていた。彼の近くには恋人であるメイがその様子を見守っていた。

 大会が終わった直後、マサトは訓練場の使用許可を貰っていた。

 

 ある事を確認する為に・・・・・。


 ――ブアアッ!――


 空中にかざす魔力を宿した腕からは微かに風圧が出る。

 

 「違う・・・・」


 マサトはそう言いながら、再び魔力を腕へと込める。

 脱落する前にカケルの槍を砕いた一撃・・・あの時、自分の全身から、放つ拳から感じた魔力の質は個性魔法を解放した者から放たれる物であった。


 「ふうう・・・・」


 マサトは呼吸を整え、拳に魔力を集中する。


 ――イメージしろ、あの時の自分の拳を――


 ――迫り来る脅威を砕いたあの時の拳を――


 「ふう~~~」


 大きく息を吐き、右腕を引いて構え――――それを振るう!!

 

 その時、マサトの魔力が変化した・・・・・。






 そして、同じくAクラスの選手である三人、タクミ、ミサキ、レンの三人は学園を出てから家へと帰ることなく、三人で近くの〝安らぎ公園〟という名の公園で時間を潰していた。


 「惜しかったな・・・」


 公園の中に設置してあるベンチに座っているミサキとレンの隣で、タクミは地面を眺めながら言った。

 その言葉に二人も頷いた。


 「うん・・・」

 「やっぱ・・・悔しいよね」


 ミサキとレンも大会の結果に悔しさを感じていた。いや、何も感じないはずがないのだ。

 タクミは二人を見て、拳を握りながら言った。


 「強くなろう・・・もっと・・・」

 「うん・・・」

 「そーだね・・・」


 今の自分では足りないものがあった、この大会の結果が何よりの証だ。

 ならば、もっと力を付けよう・・・・。

 もう、こんな悔しい想いを抱かなくてもいいように・・・・・。






 大会優秀クラス所属かつ唯一の生き残りである星野カケル。

 彼はシグレと共に学園を出た後、近くにコンビニに寄っていた。

 購入した飲み物を飲みながら、カケルはシグレにある出来事を話していた。


 「では、大会終了前の数分の記憶が空白なのか?」

 「ん、そう」


 小さく頷くカケルを見ながら、シグレは自分たちのクラスで起こっていた不可思議な現象を話した。


 「私たちの方でも何やらおかしな現象が起きていてな。大会終了から同じく数分前、魔法陣にお前の姿が映らなくなっていたのだ」 


 シグレの報告にカケルが小さく呟いた。


 「・・・誰かが何かした?」

 「私もその考えは浮かんだが・・・証拠がない以上は」


 自分の体験した不可解な記憶の消去。

 これが何者かによる行為か、それとも違うのかカケルには判別をする術がない。

 

 こうして、多少の謎は残りはしたが、今日一日の大会は幕を下ろしたのであった。



次回より新たな物語が始まります。少しより道もするかもしれませんが・・・。

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