表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/200

番外編 第七話 魔道具を買おう2

 愛用の武器が壊れてしまった為、馴染みの店で武器を新しく買い替える事となったレン。そんな彼女に付き合いタクミとミサキもレンの馴染み深い魔道具の置いてある店へと来たのだが、入って五分もしない内から二人は不信感が最大まで高ぶっていた。


 「え~と、おじいさん。前に買ったハンマーと同じ魔道具ってある?」

 「ああごめんねぇ、それは在庫が切れてしまって・・・」

 「え~、まじで・・・他に似たような物ってない?」

 「そうじゃのぉ~~」


 レンの言葉に店主の・・・えっと・・・聖闘士グルザルグは店内を物色し始める。

 レンも同じく店内に何か気に入りそうなものがないかを探し出す。


 「タクミ君、ミサキ、悪いけど二人も何か手ごろな物がないか探してくれない?」

 「え、ああ、分かった」


 レンの言葉に頷いてタクミとミサキも色々と物色し始める。

 すると、何やら手ごろな大きさのハンマーを見つけ出したタクミ。


 「おじいさん、これってどういう力がある魔道具ですか?」

 「ん? おお、これは〝ボンバーハンマー〟じゃ」


 名前からして叩き付けると爆発を引き起こすのだろうか。

 だとしたら中々に良い魔道具ではないだろうか?


 「それは叩き付けると同時に半径一キロを爆破し吹き飛ばすハンマーじゃ。中々見る眼あるのぉ~」

 「いや範囲広くないですか!?」

 

 タクミは爆破範囲を聞いてハンマーを掴もうとしていた手を慌てて引っ込めた。

 叩き付けるたびに一キロ周辺が吹き飛んでいては身が持たない。どう考えても相手もろとも自分だって自滅する。

 

 「(おいおい、こんな物騒な物置いていて大丈夫か!?)」


 タクミが横目でハンマーを見ながらそう思っていると、今度はミサキが目に付けた魔道具の説明を・・・聖闘士・・・グルザルグに求めた。


 「あの、おじいさん。この刀にはどんな能力が」


 ハンマーは見つからなかったが、手ごろな大きさの刀を見つけたミサキ。

 すると、グルザ・・・グルザルグはその刀についての説明をした。


 「それは呪いの刀、〝魂吸い〟という魔道具じゃ。使用者の魔力を吸い取り、やがては命を奪う妖刀じゃ」

 「ええっ!? 命を奪う!?」

 

 ミサキはその妖刀から距離を置いて驚きを表す。

 タクミはその刀について、さらに詳しく詳細を求める。


 「ちなみに、本人ではなく振るう相手に対する能力って・・・例えば斬られたら呪いを受けるとか・・・」

 「そうじゃな・・・斬られたら切れる」 

 「え、いやいや、それって当たり前でしょ。刃物なんだから・・・他には?」

 「いやぁ・・・別に」

 「じゃあこれ本人しか損しないじゃないですか! こんなもの誰も買いませんよ!?」

 「そう言われてものぉ~」


 タクミの言葉に頭を掻きながら、グルザ・・・この名前なんか違和感しかない!! 店主でいい!!

 

 タクミの言葉に頭を掻きながら困った様な表情をする店主。

 すると、今度はレンが何かを持ってきた。レンの持ってきた魔道具は・・・・・。


 「いや、何それ?」


 タクミは思わずレンにそう尋ねる。

 武器の正式名称が分からないのではない。レンの持っている魔道具そのものが何に使うかよく分からないのだ。

 その武器?はなにか棒状の様な物。先端には短い鎖が垂れており、その鎖の先には丸い玉がぶら下がっている。


 「(そもそも武器なのか?)」


 タクミがそう思っていると、店主は眉をひそめて呟いた。


 「何じゃ、それ?」

 「「いや知らないんですか!?」」

 「知らんのぉ~」


 正直、もうこの店や主人に対する不信感は限度を超えていた。

 危険な物やリスクしかない物、挙句は店主すら知らない変な物まで出てくる始末。

 レンは「そっか~」と言って再び店内を物色してまわるが、タクミとミサキは疲れた様な顔をしてその様子を見ていた。


 「ん~、中々手ごろなのが見つからないなぁ~」

 「「(そもそもまともな道具があるんだろうか)」」

 「あ、これ!」


 すると、レンが少し興奮したような声で何かを見つけ出した。

 それはレンが使用していた〝インパクトハンマー〟と瓜二つのハンマーであった。


 「ねえおじいさん! これって私の使っていた物と同型のハンマーじゃない?」

 「いや、少し違う・・・それは〝インパクトハンマーⅡ〟。レンちゃんの使っていた物の進化型じゃ」

 「「(進化型があるなら最初からそれを出せばよかったんじゃ・・・)」」


 内心でそうツッコミを入れるタクミとミサキ。

 しかし、店主『グルザルグじゃ』・・・!?・・・えっと、グ、グルザルグがこれを勧めなかったのにはわけがあった。

 

 「そのハンマーは旧型よりも凄まじい衝撃を放つが、それに使用する魔力もまた大きい。扱いも以前以上に困難な物でのぉ・・・」

 「・・・・・」

 

 レンは店・・・グルザルグからの説明を聞いて、しばらくそのハンマーを眺める。

 そして――――

 

 「決めた! 私これにするよ!」

 「レンちゃん・・・」

 「やっぱ前に似た武器じゃないとしっくりこないしさ、それに・・・」


 レンはハンマーを撫でながらグルザルグへと笑って告げる。

 

 「私も・・・今よりも強くなりたい。だからさ・・・扱いが難しくても必ず使いこなして今よりも先に進みたいの」

 「レン・・・」

 「ふ・・・」


 レンのその言葉にミサキとタクミが小さく笑った。

 そうだ、もっと強くなろうと自分たちは心に誓った。ならばこの程度の事で臆していてどうする。

 レンの言葉を聴き、グルザルグは優しい笑みを浮かべた。


 「分かった。では、それでいいんじゃのう」 

 「うん、いくら?」

 

 レンが値段を聞くと、グルザルグは首を横に振った。


 「お代は結構じゃよ。それは新たな武器で今より先を目指すレンちゃんへワシからの餞別じゃ」

 「本当! ありがと~~!!」


 レンは嬉しそうに両手でハンマーを抱きしめて喜ぶ。

 そんな愛くるしい彼女の姿にグルザルグは更に贈り物を送ろうとする。


 「よし! おまけに〝ボンバーハンマー〟、〝魂吸い〟、それとこのなんかよく分からない道具もプレゼントしよう!!」

 「「それはいらない!!!」」


 グルザルグの余分な三点セットの贈り物にタクミとミサキは声を上げて拒否をしたのだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ