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魔法ができてしまったこの世界で  作者: 銀色の侍
二学期 クラス対抗戦編
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第九十六話 意思を継いだ拳

 Aクラスもとうとう一人目の脱落者が出たこの大会。

 脱落して行ったメイの意思を継ぎ、マサトは向かい合っているCクラスの二人、ハクとアクアに宣戦布告する。


 「アイツに託されたんだ。この勝負、意地でも勝たせてもらうぜ!」

 「それはこっちも同じことよ!」


 アクアはマサトにそう返すと腕に魔力を集中する。

 それに合わせ、ハクも大量の魔力を腕へと伝達する。


 「はあぁぁぁぁぁぁッ!!」


 ハクは大量の煙を噴出し、大量の煙で出来た猛獣達を再び生み出していく。

 アクアは腕に溜めた魔力を手の平に溜め、その照準をマサトとミサキに向ける。


 「ミサキ、お前は後ろから援護を頼む。俺は――――一気に行く!!」

 「ええ、ちょっと!?」


 なんとマサトはミサキに言うだけ言うとハクたちへと突っ込んで行く。

 マサトの無謀ともいえる行動にミサキは驚きながらも≪火炎連射弾≫でハクとアクアの二人を遠距離から攻める。

 対する二人はまず、目の前に迫るマサトに煙の猛獣と魔力弾を集中する。


 「オオオオオオオオッ!!!」


 マサトは両手両足を極限まで強化し、迫り来る猛獣を粉砕し、元の煙へと還し、魔力弾を手で弾きながら前へと突き進む。

 煙の猛獣の攻撃が、魔力弾が所々体を掠めるが、致命傷は紙一重で何とか回避するマサト。

 そんなマサトにアクアが思わず後ずさる。


 「なんて無茶するのよ、傷つきながらも強引に進んでくる!?」

 「オオオォォォォォォォッ!!」


 マサトは手前の方に居たアクアに目をつけ、彼女へと向かって行く。

 そうはさせないとハクは猛獣をマサトへと向かわせるが、その途中、炎の弾幕が猛獣に当たり、唯の煙へと還してしまう。


 「ナイスだぜミサキィ!!」


 マサトは笑みを浮かべながらミサキに賞賛の言葉を贈る。

 アクアの魔力弾を何発か直撃しながらも、マサトはまるで怯まずアクアの目前まで迫っていた。


 「ちっ!!」


 アクアは魔力弾による攻撃を止め、肉体強化の方に魔力を集中する。

 どうやら肉弾戦で迎え撃つつもりのようだ。


 「いくぜッ!!」

 「こぉいッ!!」


 強化した二人の拳が衝突し合い、そこから激しくぶつかり合う二人。

 しかし、拳の重み、そして速度はマサトが上回っており、アクアは防戦一方の状態であった。


 「ぐ、ぐぐっ・・・!」 

 「ハアッ!」

 ――ドスゥッ!――

 「はぐぅ!」


 マサトの拳がアクアの腹へと突き刺さり、アクアは殴られた箇所を押さえながら一旦マサトから離れる。


 「くっ!・・・はあ、はあ・・・・」


 戦況はマサトが優勢であった。

 はたから見れば男性が女性を痛めつけている様にも見えるかもしれない。

 しかし、マサトは加減などしない。今、この場に立っている者は全員、クラスの意思を背負い立っているのだ。そんな相手に、たとえ女性相手でも手を抜いて戦うなど相手を愚弄する事だと思っているからだ。

 そして、アクアもまた同じ考えであった。自分が女という理由で手を抜かれるなど絶対にごめんだ。


 「くぅ・・・効いたぁ」

 

 マサトの拳の重さは自分よりも遥かなものだ。

 しかし、だからといって引くことは出来ない。


 「ハアアアアッ!!」


 アクアは右拳に極限まで魔力を集約し、マサトへと突っ込む。

 狙うはこの極限まで魔力を一点に留めた右ストレート。

 マサトも同じく右腕の一点に魔力を留め、向かい来るアクアに答える。


 「「喰らえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッッ!!!」」


 二人が極限までに強化した拳を振りかぶり、そして目の前の相手へと突き立てる!


 ――ボグウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッッ!!!――


 深々と両者の拳が頬へと突き刺さる。

 

 「う・・・ぐ・・・」

 「あぐぅ・・・・」


 強烈な一撃を突き刺された両者は苦悶の声をその口から漏らす。

 拳を突き刺したまま、その場で静止するマサトとアクア。数秒の間、二人の肉体は完全にその場で停止し、そして・・・・・。


 「う・・・ぐ・・」

 ――ドサァ・・・――


 二つの内、一つの影が地面へと崩れて行った。

 対するもう一方の影はしっかりと両の足で大地を踏み締めている。


 「最後の一撃・・・正直めちゃくちゃ効いたぜ・・・」


 地面に崩れ落ちた少女、アクアを見ながらマサトは殴られた頬を擦りながら答えた。

 彼の口の中には鉄の味が充満しており、口からは嫌な血の味を感じていた。

 そして、目の前で気を失っているアクアの体が光り、その姿はこの空間から消えて行った。


 ――Cクラス生徒一名脱落しました、残り人数八名です――


 「さて、あとは・・・・」


 マサトはもう一人のCクラス生徒、ハクの方へと視線を傾ける。




 「く・・・アクアがやられた!!」


 ハクは自らの個性の煙を操りながらミサキへと攻撃を繰り出す。

 対するミサキも自らの炎の個性の力を使い応対している。

 

 「マサト君が勝った!私だって!」 

 「くぅ・・・!」


 戦況は僅かにだがミサキが押していた。

 同じ個性使い、力量自体は恐らくハクはミサキに匹敵するだろう。しかし、ミサキは夏休みの最中、自らが死ぬかもしれない戦いを繰り広げ、戦いに対する覚悟、そして実践に対しての慣れがハクを上回っている為、ミサキは目の前の相手を押す事が出来ていた。


 こちらのAクラスとCクラスの戦いはAクラスが優勢となっていた。


 そして、他の場所でも壮絶な戦いが繰り広げられていた・・・・・。



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