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魔法ができてしまったこの世界で  作者: 銀色の侍
二学期 クラス対抗戦編
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第九十五話 残り一ケタ

 Bクラスの生徒、クルミを打ち破ったミサキとメイは現在別クラスの二人と戦っていた。

 ミサキたちが相手取っている生徒はCクラス、ハクとアクアの二人だ。


 「やあああああっ!!」


 ミサキは炎による攻撃を繰り出し、アクアとハクはそれを回避しながら魔力弾で応戦する。ミサキに飛んでくる魔力弾はメイの盾によりすべてが弾かれる。

 ハクは個性の力を発動し、両の腕から大量の煙を噴き出した。外に出た煙は形状を変え、一匹の魔物の様な猛獣を造り出した。


 「≪ホワイトタイガー≫!!行って!!」


 煙によって作り出された虎の様な猛獣はミサキたちの元へと走って行く。

 ミサキは≪火炎弾≫で迎撃しようとするが、相手の速度は凄まじく速く、俊足を誇るチーター並であった。

 中々当たらない弾丸、そしてついに煙の猛獣がミサキの目の前まで迫り、一気に彼女へと跳躍して来た。

 だが、咄嗟にメイがミサキの前に移動し、盾を形成する。


 ――がぁんッ!――


 空中では止まる事も出来ず、そのまま激突し、形状を維持できず元の煙へと還る猛獣。

 しかし、ハクは続々と煙を放ち、様々な形状の猛獣を大量に作り出す。ミサキは遠距離攻撃で次々と撃退して行くが、余りにも数が多すぎる為に徐々に追い込まれていくミサキとメイ。

 ハクが煙で猛獣を作り出しているその間、アクアは移動しながらメイに向かい魔力弾を放ち続ける。メイはその攻撃を受け続け、盾のお蔭でダメージ自体はないがミサキのフォローに上手く回ることができずにいた。


 「(だめだ、さっきの様に〝不死鳥の炎〟の力を完全に引き出すことが出来ない!!)」

 「!、ミサキさん後ろ!!」

 「!?」


 気付けば自分の背後にいつの間にか煙で出来た先程の魔獣が迫っており、ミサキに突撃しようとしていた。


 「くぅっ!!」


 メイはミサキの前まですんでのところで割り込むことができ、盾で魔物の突進を防いだ。

 だが・・・・そのため背後から来たアクアの攻撃を背中からまともに受ける事となった。


 ――どかぁぁぁんッ!!――

 「あうっ!?」

 「メイさん!!」


 アクアの放った魔力弾をもろに受けてしまったメイ。

 リタイヤほどの深手ではないであろうが、そこそこのダメージが体に刻まれる。そんな彼女のことを心配するミサキであったが、その一瞬が命取りであった。

 

 「ガウゥゥゥッ!!」

 ――どしぃぃぃぃぃんッ!!――

 「きゃうっ!?」


 煙の猛獣の突進をモロに受けてしまうミサキ。 

 ぶつかって来た煙型の猛獣は気体によるものとは思えない程の質量を感じさせるもので、ミサキの息が一瞬詰まる。だが、すぐさま体勢を立て直し、炎の砲撃≪火炎集砲撃≫で目の前の煙型生物達を一掃するミサキ。

 

 「メイさん!今行くよ!!」


 ミサキは目の前に迫っていた敵を一掃すると、メイの元まで走る。

 メイはアクアと魔力弾による砲撃戦を行っていた。ここに来るまでもう何度となく展開して来た個性の盾、さすがにメイの魔力も限界が近づいていた。

 息を切らせながら戦うメイであったが・・・・・・。


 ――ドカアァァァァンッ!!――

 「くあ・・・・!?」


 アクアの魔力弾が体へと直撃し、そのまま膝を付くメイ。どうやら今の一撃は当たりどころが悪かったようで、予想以上の負傷をメイは負ってしまった。

 止めの一撃を加えんと魔力を集中した特大の魔力弾を放つアクア。


 「くっ!間に合わな・・・・!」


 膝を付き極限の疲労で満足に動くことが出来ないメイ。

 そこに迫り来る魔力弾、だが――――


 「おらぁッ!!」

 ――バシィィィィィィンツ!!――


 メイに迫っていた魔力弾は新たに現れた第三者の手によってはじき返される。

 弾かれた魔力弾は一直線にアクアに帰って行く。


 「あぶっ!?」


 アクアは身をかがむことでその一撃を何とか回避した。

 一緒に居たハクも新たに現れた存在に目を向ける。

 

 「待たせたなメイ」

 「マサト・・君」


 現れたのはAクラス、津田マサトであった。

 マサトの登場により、メイの中にある不安や緊張の悪感情が消えて行く。

 マサトはハクたちを警戒しながらメイの安否を気遣う。そこにミサキもやって来る。


 「大丈夫か、メイ?」

 「メイさん・・・・」

 「ごめん・・なさい・・でも・・私、まだ・・・・」


 メイの魔力はもう限界に近かった。

 その上、彼女はアクアの魔力弾により中々のダメージが与えられている。

 メイは特別頑丈な肉体をしている訳ではない。タクミやマサトならばまだ戦えるだろうが、彼女はこれ以上無理をしない方がいいだろう。


 「メイ、お前はここでリタイアしとけ」

 「そ、そんな・・私は・・はあ・・まだ戦え――――」

 「安心しろよ」


 マサトはメイの言葉を遮り彼女の頭の上にポンと手を乗せる。

 

 「お前の意思は俺達がちゃんと受け持つ。だから、今は休め」

 「うん。心配しないでメイさん」


 二人は笑みを浮かべながらメイにそう言う。

 そんな二人の心強い言葉に、表情にメイは小さく笑うと二人に託した。


 「二人共・・・・頑張って」


 メイはそう言うとそのまま意識を失った。

 魔力の消耗、及びダメージの大きさが原因だろう。そして、そのままメイの体は光だし、そしてこの空間内から消えて行った。


 ――Aクラス生徒一名脱落しました、残り人数九名です――


 アナハイムからの報告が入る。

 とうとう残り人数が一ケタまで減少した〝クラス別魔法戦闘〟。残り時間はおおよそ約二十分まで迫っていた。


 現在生き残っている生徒は――――


 Aクラス、久藍タクミ、黒川ミサキ、津田マサト、赤咲レン。


 Bクラス、星野カケル、神保シグレ。


 Cクラス、桜田ヒビキ、華美ハク、水無アクア。


 生き残り三クラスによる戦いは最終局面へと突入しようとしていた。

 果たして、優勝を掴むのはどのクラスになるだろう・・・・・・・・。



外伝ストーリーを連載し始めました!主役は睡無マナちゃんです。そちらの方もよろしければ見ていってください!

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