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魔法ができてしまったこの世界で  作者: 銀色の侍
二学期 クラス対抗戦編
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第九十一話 氷の破壊者

番外編の方もプロローグの上の方へと掲載していますので、よければ見てください!

 新たに脱落者が出て残りのクラスは四クラス。大会は中盤戦に差し掛かり人数も着実に減り続けている。 そしてこちらCクラス対Dクラスでは戦況に変化が訪れていた。


 ――ビュオオオオオオオオ・・・・――


 ヒビキの魔力が今までよりも大きく、そして冷たい物へと変貌していた。

 周りに居る三人は直接魔力を当てられた訳でもないにも関わらず、その凍てつくような魔力に内心で震えあがった。


 「(何よ・・・・この、で、出鱈目な魔力は・・あいつにこんな力が!?)」

 

 そしてこの辺りの気温もどんどん下がっていき、凍てつく冷たさを肌で感じる三人。ヒビキの体からは冷気までが出始め辺りの気温は低下していく一方だ。

 そして、ヒビキの体にも変化が訪れ始める。


 ――ぴきぴきぴきぴきぴき・・・・――


 ヒビキの髪が水色へと変色していく。それだけではない、ヒビキの体は肌の色も肌色から雪の様に白くなっていく。そして、体の所々に氷の破片が纏わりつく。

 ヒビキは口から白い息を吐きながら、自らの今の姿の名を語る。


 「≪アイスフォーム・デストロイヤー≫・・・・全てを凍てつかせ、破壊する姿だ」

 

 そして、名乗りと共に膨大な量の魔力と冷気が辺りに吹き荒れる!






 「!?・・・・これは・・何」


 ヒビキから発せられる魔力はそこから離れた場所に居るミサキ達にも届いていた。

 まるで全てを凍え死にさせようかと言う程に強力な冷たい魔力はこの場に居る者達もその冷たさを鮮明に感じ取ることが出来た。

 タクミは魔力の出所の方角へと目を向ける。それなりの距離があるにも関わらずこうも鮮明に魔力を感じ取れるには探知能力に優れているのか、もしくは・・・・思わず感知させてしまうほど強大な力を持っているかの二択となる。


 そして、今回はわざわざ言うまでも無く後者であるだろう。


 「・・・・向こうでも大きな戦いが起こっているようだな」






 まるで日本の妖怪、雪女を連想させるかのようなその出で立ちに言葉を失う同じクラスのハクとアクア。

 放心している二人にヒビキが声を掛ける。


 「お前達・・・・凍え死にたくないなら離れていろ。巻き込んだ際の身の保証は出来ないぞ」

 「ハ、ハク・・・・ここは下がろう。滅茶苦茶危険な匂いがする」

 「・・・・うん」


 アクア同様、ハクもまた今のヒビキからは危険な感じが嫌でもはっきりと分かってしまう。今回に限ってはアクアも素直にヒビキの言う通りに動いた。

 

 「・・・・・・・・」


 そんなヒビキにセンの産み出した化け物は臆する事もなく殴りかかって行く。


 「なっ!待ちなさい!!」

 

 主人であるセンは制止の言葉を投げかけるが、時既に遅し。

 化け物はヒビキに向かって拳を振るう。だが、ヒビキはそれを片手でやすやすと受け止める。

 そして――――


 ――ぴききききききき・・・・――


 化け物の体は彼の体に触れている腕から徐々に氷が侵食していく。

 そして・・・・・・。


 「・・・・・・・・」

  

 ついに氷は化け物の全身を覆い込み、氷漬けにしてしまった。

 

 「な・・・・」

 

 その光景に思わず絶句するセン。

 自分が産み出した最強の生物がこうもあっさりやられるとは思いもしなかったのだ。それは同じクラスのハクとアクアも同様である。化け物相手に余りの圧勝ぶりに言葉を失っているのだ。

 しかし、いつまでも呆けている訳にはいかない。ひとまず引いて体制を立て直そうとするセンであったが・・・・・・。


 「ちぃっ・・・・なっ!?」


 身動きを取ろうとしてもどうゆう訳かセンの足は動いてはくれなかった。

 それもそのはず、彼女の足はいつの間にか地面と一緒に凍り付いていたのだから。


 「い、いつの間に!?」

 「お前が化け物が俺の手で冷凍保存されている時に隙を見せていた時だ。地面に薄い氷を走らせお前の足を凍らせておいた」

 「ぐっ、はああああっ!!」


 センはゆっくりと近づいて来るヒビキに魔力弾を連射するが、それを全て氷の盾、≪氷壁≫で防ぐヒビキ。彼は再び≪アイスドラゴン≫を造形し、センに向かい攻撃態勢を取らせる。

 竜は大口を開け、そこに魔力を溜め始める。


 「ぐぅ・・・・!?」


 身動きの取れないこの状況、結界を張っても一瞬で破られて終わりだろう。

 絶体絶命の中、彼女はヒビキの口から放たれた小さな言葉を聞き逃さなかった。



 「〝また〟・・・・お前の敗北だ」

 「!!」


 かつて、中学時代の記憶が脳裏によぎるセン。




 中学時代のセンの記憶の中、そこには少年と少女が向き合っていた。

 ただし少女は地べたに倒れ込んだ状態で少年を睨み、少年は冷ややかな目で彼女のことを見ていた。


 『くぅ!・・・・畜生!・・・・』

 『・・・・・・お前の敗北だ』


 少年はそう言ってその場から立ち去って行く。

 そんな後ろ姿を少女は歯を食いしばって眺めていた。




 そして現在、竜の口から極太の光線がセン目掛けて放たれた。

 彼女は攻撃を受ける直前、憎き男の名前を憎悪の視線を向けて叫んだ。


 「桜田ヒビキィィィィィィィィィッッ!!!!」


 その直後、彼女の姿は光の中へと消えて行った・・・・・・。



 ――Dクラス生徒一名脱落しました、残り人数十一名です――



 二十五名の内半分以上がついにこの空間内から姿を消した。

 制限時間は残り二十七分・・・・・・残っているクラス数は三クラスである。

 果たして勝ち残るのはどのクラスになるだろう・・・・・・・・。



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