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魔法ができてしまったこの世界で  作者: 銀色の侍
二学期 クラス対抗戦編
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第八十八話 合流

 「ちぃッ!しつこいんだよッ!!」


 カケルの振るわれる羽根を何とか回避しながら移動するケシキ。二人の姿は見えはしないが、魔力を探知し自分の事を追ってきている。そして、そのまましばらく走っていると今居る建物が密集している場所とは違い、見晴らしのよさそうな場所が視界の先に映った。


 「くそ、とにかく一旦なんとかアイツらを撒いて・・・・・・」


 ケシキは脚に魔力を込め、大きく跳躍をし建物の密集地を飛び出す。

 そして、彼が飛び出してきた場所には――――


 「えっ?」

 「あ・・・・」


 建物を出たその先には・・・・・・手から光り輝く盾を展開している少女、メイが居た。

 予想外の邂逅に二人は顔を見合わせたまま固まる。


 「はっ!」


 しかしすぐにケシキはすぐにはっと我に返り、メイから離れた。

 彼女の近くで戦っている同じクラスのレンやマサト。そして敵であるBクラスの生徒達も突然の来訪者の登場に思わず体が固まる。だが、ケシキがメイから離れようと動き出すと、他の皆も我に返り目の前の相手に意識を集中しながらもケシキの存在に気を配る。


 「メイちゃん大丈夫!?」


 彼女に一番近い位置に立っているレンが彼女の安否を気遣う。

 メイは無事である事を彼女に伝える為に頷き、異常がない事を示した。


 「よかった・・・・」

 「意識が途切れてるわよ!!」

 「げっ、やば!」


 クルミがガトリング砲でレンに攻撃を繰り出して来る。

 レンは脚に魔力を集中し、高速で弾丸を回避しながらクルミへと近づく。


 「どりゃあぁッ!!」

 ――ガキィィィィンッ――

 「くっ!」


 ガトリング砲でレンのハンマーを受け止めるクルミ。しかし、レンのハンマーは魔力を込める事で衝撃を発生させることのできる代物だ。例えハンマーの直撃を受けなくとも、そのハンマーから発せられる衝撃は彼女に止めるすべはなかった。


 「くぅッ、うぅ~~!?」


 まるで風に吹かれて飛ばされる紙切れの様に体を弾かれたクルミ。

 その時、マサトが魔力砲によって吹き飛ばしたBクラス男子の一人と空中でぶつかるクルミ。二人はそのまま地面へと落下する。


 「いつつつ・・、あ・・・・」


 一緒に落下した生徒は気を失っていた。

 マサトの先程の攻撃でどうやら戦闘不能となった様だ。その証拠に彼の体は光り輝き、その場から消えて行った。

 そして、アナハイムから報告が入って来る。


 ――Bクラス生徒一名脱落しました。残り十八名です――


 マサトにより戦力の一部を削がれたクルミ達。地面に臀部を付けているクルミに同じクラスの群青がやって来て手を差し伸べる。


 「真紀音、大丈夫か?」

 「ええ、こっちはね」


 群青の手を借り立ち上がるクルミ。

 マサトの予想以上の強さに二対一にもかかわらずに圧倒され、仲間を一人やられた群青は額から一筋の汗を流す。


 「あいつがあそこまで強いとはな・・それに・・・・」


 群青は視線をケシキの方へと向ける。

 あの男は自分たちのクラスとは敵対しているクラスの生徒だ。戦力が減った上、他の敵まで現れて正直かなり不味い状況と言えるだろう。

 そして、群青がクルミに近づいて行ったと同時にマサトとレンもメイの元まで走って行き、三人が固まる。

 そんな中唯一、一人だけで佇むケシキは内心で相当焦っていた。


 「(おいおいおいおい、この状況不味くないか!?)」


 どうにかこの状況を打破出来る方法を少ない知恵を振り絞って必死に探すケシキ。


 その時だった――――――




 「見つけたぞ!!」

 「ん、もう逃がさない」


 ケシキが出てきた場所から新たに二人、シグレとカケルが現れ・・・・・・。


 「居た!大丈夫かお前ら!!」

 「みんな!!」


 マサト達の居る場所に最も近い場所からタクミとミサキが現れる!


 「(おいおい嘘だろッ!?)」


 ただでさえ不利な状況に更なる増援の出現にケシキは思わず叫び出したくなった。

 神様という者は自分に慈悲の心を与えてくれる気は皆無らしい。ただでさえ自分一人しか生き残って居ないこの状況に合計九人の敵を用意するのだから。あえて言うのであれば神は神でも自分には死神が憑いているのかもしれない。

 そんな事を考えながらケシキはそれぞれのクラスの様子を窺う。


 「おおっタクミ!それからミサキも」

 「よかった~、二人共元気そうじゃん。放送でCクラスが二人倒れたって言っていたけど二人が倒したの?」

 「ああ、まあな。二人逃げられてしまったが・・・・」


 レンの疑問にタクミが答える。

 こうして再び五人全員が集合したAクラス。

 そしてそこから離れた場所でも四人の人間が集まっていた。


 「ごめんシグレ・・・・一人やられちゃった」

 「謝ることはない。お前も必死で戦っていたんだろう?」


 シグレは落ち込んでいるクルミの肩に手を置いて励ましの言葉を掛ける。

 そして、彼女は周囲を見回す。Aクラスは五人揃い、そして先程まで戦っていたEクラスからも一人。

 現在この場には三クラスの生徒が揃っていた。そんな中、彼女はふっと思う。


 「(他のクラス・・・・CとDはどうしている?まさか近くに身を潜めている訳ではないだろうな)」


 そしてその頃残り二クラスはどうしているのかと言うと・・・・・・・・。






 「ちっ・・・・近づいて来てるわね」


 Dクラス、セン達は先程まではシグレとカケル、そしてケシキの戦っている現場近くに居たのだが、途中から彼女達は足を止めていた。自分たちに近づいて来る魔力を感じ取ったからだ。


 「三人分の魔力・・・・いいわ、受けてあげましょう」


 センの言葉に他に仲間達も頷く。

 そして、四人はセンに魔力を渡し始めた。彼女の個性魔法の為、牽いてはクラスの優勝の為に・・・・・・。



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