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魔法ができてしまったこの世界で  作者: 銀色の侍
二学期 クラス対抗戦編
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第七十九話 勝利を得るために

 九月十四日、金曜日。一週間最後の学園登校日、この日が過ぎれば土、日と二日間の休みを向かえ、その後ついに〝クラス別魔法戦闘〟が開催される。Aクラスでは代表の五人が緊張した面持ちとなっていた。中でも女子三人の表情からはそれが強く感じ取れた。

 現在昼休みとなり、彼ら五人は放課後最後の特訓、及び実際の〝クラス別魔法戦闘〟での動きについての軽い会議を開いていた。


 「今日の放課後の特訓は最後にもう一度五人の連携面を鍛えるというのはどうだ?」

 「そーだね、それから全員の魔法をもう一度把握しておくのも重要かも」


 タクミとレンがそう言って放課後の予定を立てていく。

 そして、そこへミサキが休み明け本番の大会についてどうするかを四人に聞く。


 休み明けの〝クラス別魔法戦闘〟での戦闘方法は各クラス五人同士、総勢二十五名によるチーム団体戦である。舞台は学院長を初め、アタラシス学園の全教師の魔法によって作り出された特殊空間内で行われる。制限時間は六十分、勝利条件は自分の所属以外のクラスが全て脱落した時、もしくは制限時間が過ぎた後に一番人数が残っているクラスである。時間終了の際に残っている人数が同じの場合、そのクラスの代表一名が一対一の延長戦を行う事となっている。

 

 「私はやっぱり五人で一緒に行動するのがいいと思うんだけど」

 「序盤はそれでいいかもしれないが・・・・でもよ、最後までくっついているってのもどうなんだ?密集しているといい的になりそうな気が・・・・」


 マサトの言葉に他の者達も確かにといった顔をする。その後も話し合いは続いたが、他クラスの考えが読めるわけでもない為、まとまった答えは結局出ずに昼休みは終了しようとしていた。

 昼休み終了間近、タクミは四人へと言った。


 「とりあえず話は放課後までとっておこう。どの道放課後に五人全員集まるんだからな」


 他の四人はその言葉に頷き、それぞれの席へと帰って行く。

 そしてそのすぐ後、次の授業の担当教師がやって来た。

 そして時間は放課後まで進んでいく。






 放課後、一年Dクラスの教室には一人の女子生徒が残って考え事をしていた。

 Dクラスの多大センは三日後の大会に向け作戦を練っていた。彼女の持つ個性魔法を最大限に生かし、自分たちのクラスを優勝に導く方法を。大まかな当日の動きについてはすでに他の四人に話してある。


 「私の個性魔法をより強力な状態で発動する為には私のクラスの出場選手だけでは足りないわね」


 彼女がそう言ったその時、Dクラスの扉が開く。

 そして二人の男子生徒がやって来て、センが居る席の元まで歩み寄って来た。


 「来てくれてありがとう、ここに来たって事は私の申し出を受け入れてくれると解釈していいのかしら?」

 「ああ、俺もコイツもアンタの提案を吞む、その代わり謝礼の方は頼むぜ?」

 「ええ、そうね・・・・一人十万でどう?」

 「「乗った」」


 男子生徒たちは笑みを浮かべながら頷いた。そんな彼らの浮かべる笑顔はどこか下衆なものであり、明らかに彼らが良からぬことを考えている事は明白であった。


 「(私は勝つ為ならなんでもやるわよ・・・・桜田ヒビキ、アンタは必ず潰してやる!!)」


 己の中の野心を燃え上がらせるセン。

 そんな彼女をクラスの扉の影から魔力を消し覗いている生徒が居た。






 Eクラス代表生徒の一人である夏野ケシキは訓練場で最後の訓練を行う為に第五訓練場まで足を運んでいる最中であった。クラスを出て訓練場に続く廊下を歩いていると、一人の女子生徒が彼の前に立ちはだかった。

 現れたのはDクラス生徒、雲異ヒネであった。


 「?・・・・何だお前、俺に用か?」


 ケシキが突然現れたヒネに要件を尋ねると、ヒネは一言だけケシキへと告げた。


 「月曜日、Dクラスと同じクラスの人には気を付けた方が良いよ」

 「あっ、それはどういう・・・・・・」

 

 ヒネはそれだけ言うとケシキの前から立ち去って行く。

 遠ざかって行く彼女の姿を見ながらケシキは首を傾げる。突然現れ謎の言葉、いや、あれは忠告だろうか?彼女の真意は分からない為、ケシキも彼女が何を言いたかったのかはよく分からなかった。

 ケシキは多少不思議には思っていながらも、目的の訓練場まで再び足を動かしたのだった。






 第一訓練場ではタクミ達が軽く訓練の後、それぞれの現在持っている魔法の確認をし、迫りくる本番に向けて話し合っていた。


 「結局さ・・・・」


 レンが小さく呟く。


 「相手クラスの出て来る生徒が分からない以上最善の策なんて正直でないよね~、仮に出て来る生徒が分かってもどんな力を隠し持っているか分からない訳だし」


 レンの言う通りである。そもそも戦いとは思い通りにいかない方が普通であると他の四人も思っていた。 そうそう都合よく物事が進むなら今、こんなに自分たちも悩むことも無いのだから。

 考えがまとまらない空気の中、タクミがその空気を払拭しようと共に戦う仲間達を奮い立たせようと意気込みの言葉を掛ける。


 「まあ何にせよ、本番では全員最大限に力を発揮し、一緒に優勝目指し頑張ろう!!」

 

 「おう!」

 「うん!」

 「りょーかい!」

 「は、はい!」


 タクミのその言葉に仲間達も声を張って答える。


 〝クラス別魔法戦闘〟開催当日まで、残り三日・・・・・・。

 


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