悪い人を倒そう!
新キャラ?登場?
まぶしい。目を開けると太陽が高く登っているのが見える。
「そうか…、宿屋に泊まってたんだっけ」
どうやら僕は昨日部屋に案内されてからずっと寝ていたようだ。僕はベッドから起き上がり窓を開けると心地よい風が部屋に入ってくる。
それにしてもお腹すいたな。まあ、何も食べていないのだから仕方ないと言えばしかたないのだが。
「うん。この時間なら食堂も空いているだろうし、ご飯にしよう」
「おう、おはようさん。よく眠れたかい?」
食堂に行くと宿屋の店主が僕に声をかけてきた。
「ええ、お陰様でぐっすりです」
「そいつは良かった。食事にするかい?」
「はい、お願いします」
「あいよ、しばらく待っててくれ」
さて、とりあえずご飯ができるまで食堂のテーブルにつき、のんびりと待つ。食堂の窓から外を眺めると、子供たちが数人走りってくのが見えた。本当にのどかな街のようだ。
そんなことを考えていると次第に厨房からいい匂いが漂ってくる。
「おまたせ、出来たぜ」
しばらくすると店主が食事を持ってきた。パンに野菜のスープ、そしてメインがお肉か。美味しそうだ。
「いただきます」
お腹がすいていたこともあり、僕は食事を頬張る。うん、うまい。
ん!!喉に詰まった!!
慌てて胸を叩き、飲み物で流し込む。
「おいおい、慌てなくてもメシは逃げたりしねーよ」
店主が笑いながら諭す。うう、恥ずかしい。
「いやー、あまりに美味しかったもので、お恥ずかしいです」
「まあ、そう言ってくれると俺も嬉しいけどよ」
そう言って店主は笑いながら厨房の奥に消えていった。
さて、慌てないようにしっかり味わって食べよう。やっぱりうまいなー。
特にこのお肉、これなんの肉なんだろ?あとで店主に聞いてみようかな。
「はー、美味しかった。ごちそうさまでした」
「あいよ、おそまつさま。今日は街を見て回るのかい?」
「はい、そのつもりです。この辺りの名物ってありますか?」
「そうだな、街の高台から見る景色は綺麗だぞ。それを見るためにわざわざ違う国からやってくる人もいるくらいだ」
「へー、それはぜひ見て見なきゃですね」
「とはいっても、最近スリとか人さらいとかが増えてきてるから十分気をつけなよ」
「そうなんですか。わかりました、気をつけます。では、行ってきます」
そうして僕は街にくりだした。高台からの景色は夕方見るのが板版綺麗らしいのでそれまで街で観光することにする。
「とはいえ、昨日査定を待っている間に一通りまわっちゃってるんだよなー。なんか他に見てないところあったっけなー。……おや?」
なんてことを考えていると。ガラの悪い男達が誰かを裏路地に連れ込んでいるのを目撃した。男達に取り囲まれていてよくは見えないが。連れ込まれているのは子供のようだ。
「まさか、誘拐か?それともカツアゲとか……。とにかく放っておけないな」
流石に目の前でこんなところを見せられたら放っておけない。せめて僕の目の届かないところでやってくれればいいものを……
僕は男達の入っていった路地に近づき、様子を伺う。すると男達の会話が聞こえてきた。
「んで、このガキいくら位で売れるんだ?」
「さあな、それは奴隷商人に引き渡してからだな」
「にしても、子供さらって奴隷商人に売りつけるだけで大金が手に入るんだから美味しい仕事だよな」
「ああ、奴隷商人様々だな」
ギャハハハと、男達が笑い出す。
……なるほど、こいつらが店主の言っていた人さらいの連中だな。ならあの男達に手加減はいらないだろう。
数は7人、……うん、問題ない。やるか。
僕は奴らの前に歩み出て声をかける。
「あのー、すみません」
「ああ?なんだてめぇ」
「いえ、大したようではないのですが、目の前で人さらいを見るのは目覚めが悪いので、その子を放してやってくれませんか?」
「ああ?」
一瞬の静寂の後、男達がまたもや一斉に笑い出す。
「おい、お前ら聞いたか?こいつ俺たちにそのガキを放してやれって言ってきたぜ!」
「ヒュー、かっこいいねぇ!」
「おいおい、お前頭大丈夫か?俺達がそんなこと聞くとでも思ってたのか?」
言いたい放題だなー。まあいいけど。
なんて考えていると、奴らのボスっぽい男が僕に声をかけてきた。
「まあ、俺たちに喧嘩売る度胸だけは褒めてやるが、ちと相手が悪かったな、この街で俺たちに喧嘩売って無事ですんだ奴はいねぇ。お前も名前くらい聞いたことあるだろ?この街を取り仕切るダークウルフズの名を!」
「いや、全く知らないけど」
「!?」
ボスっぽい人がすげーキメてたからホントのことを言ったら驚かれてしまった。え、そんなに有名な人達なの?サインもらっとこうかな。
「ああ?俺たちのことを知らねえだと!?てめぇ舐めてんのか!」
「いや、別に舐めてませんよ。本当に知らないだけで」
……だってこの世界の人間じゃないしね。
「あと、ダークウルフズはめちゃくちゃダサいので、チーム名は考え直した方がいいですよ」
僕が指摘するとリーダーの男はピクピクと震えながらこちらを睨んでいた。なぜ?
……え?もしかして本気でかっこいいと思ってた感じ?いや、だってダークウルフズだよ?ダサいよね?
あと、wolfは複数系になるとwolvesになるんだけど……
とはいえ、彼らは本気でこのチームがかっこいいと思っていたんだろう。それを僕は名前がダサいからと頭ごなしに否定した。悪いことしたな……。
「あ、あの、なんかチーム名ダサいとか言ってすみません。そちらにはそちらの事情があるんですよね、チーム名は文法間違ってるし、正直ダサいと思いますが。言いすぎました。撤回します本当にすみません」
僕は誠心誠意謝った。……のだが。
「おい、こいつ埋めちまうか?」
「いや、八つ裂きだろ?」
「豚の餌って手もあるな」
あれ、なんかチームの皆さんさらに怒ってるよ?どーしたらいーのこれ?僕もう分かんなーい。
「こいつ完全に俺たちを舐めてんな。潰した後でそのガキと一緒に奴隷商人に売りつけてやる」
「かーっ、カッコつけて出てきたりしなきゃ今夜もあったかいベッドで寝れたのになぁ!」
「ああ、全くだ。これで死ぬまで強制労働確定だな!」
「おー、可哀想に」
どうやら僕は奴隷になって、一生強制労働することが決まったようだ。
もちろん彼らの中ではだが。
「…っ!?ダメ!……お兄さん、逃げて!」
その時、捕まっていた子が僕に逃げろと叫んだ。この状況で自分のことよりも他人のことを心配するなんて優しい子だねぇ…。よし決めた、何がなんでもこいつらからあの子を守る!
「うるせえ!お前は黙ってろ!」
そう言って、族の男がその子に殴りかかった。僕はやつの拳がその子に当たるよりも前にその男の懐まで移動し蹴りを入れる。
「ぐはぁ!」
男はよくわからない悲鳴をあげて、壁まで吹っ飛んだ。そこからは簡単だ。逆上して一斉に襲いかかってくる男達を殴って気絶させた。しばらくは目を覚まさないだろう。覚ましたとしても脳震とうを起こして上手く動けないはずだ。
「おい、大丈夫かい?」
僕は捕まっていた子に声を掛けた。するとその子は、こくんと頷きフードを脱いだ。するとフードの中から整った顔立ちの女の子が姿を現したのだ。
…………………………………………可愛い!
今回もお付き合いいただきありがとうございます。
次回もよろしくお願いします。