街を見て回ろう!
街に戻って素材を売ります。
僕はドラグウルフを街まで運んできた。途中道行く人達が奇妙なものを見るかのようにこちらを見てくる。まあ、普通の少年が自分の何倍も大きな魔物を軽々運んでたら、そりゃ驚くよね?
そうして僕はさっき教えて貰った素材を買い取ってくれる店までやってきた。
「すみません。魔獣の素材を買ってほしいんですけど……」
「はーい、少々お待ちくださーい」
僕が店に入って声をかけると店の奥から返事が返ってきた。ちょうど手が離せないみたいだ。少し待つことにする。
しばらくして、店の奥から店員さんが出てきた。
「お待たせしました。素材の買取ですね?どちらの素材でしょうか?」
「あ、店の外に置かせてもらってます。大きかったもので」
「大きい?」
店員さんは僕の言っていることがよくわからないような顔をしていた。
店員さんに事情を説明し店の外に出る。
「ドラグウルフですか!?しかもこんなに綺麗な状態で…!これ、どうやって討伐したんですか?」
「あ、首の骨を折った?みたいな感じです」
「え!?それにしては何かで殴ったようなあともないですが。それに見たところ武器なども持っていないようですし……。え、まさか素手で仕留めたんですか!?」
「はい、そうですけど?」
店員さんが目を丸くしている。なんかまずい事言ったかな?
「それで、これいくらくらいになりますかね?」
「…あ、そうですね、特に大きな損傷もないですし金貨10枚にはなると思いますよ。まあ、細かい所まで見てみないとわからないですが」
「そうですか、では査定してもらえますか?」
「はい、かしこまりました。では少しお時間頂きますね。夕方には終わると思いますので」
「わかりました。その頃にまた来ます。よろしくお願いします」
そう言って僕は店をあとにした。ではこの間に宿を探しておこう。金貨10枚がどのくらいの価値かは分からないけど、おそらく一泊は出来るだろう。
僕は宿を探して街を歩き出した。
しばらく歩いていると宿屋のような店を見つけた。
「すみません、ここは宿屋であってますか?」
「ああ、そうだよ。お客さんかい?」
「はい、とりあえず2日ほど泊まりたいのですが、料金はいくらくらいでしょうか?」
「2日なら銅貨5枚だね。うちは泊まる前に支払いになるけど大丈夫かい?」
「あ、実は今魔獣の買取をしてもらってる途中で、支払いはその後でも大丈夫ですか?」
「ああ、払えるならそれで問題ないよ」
「ありがとうございます。では夕方頃にまた来ます」
「あいよ、部屋を用意しておくよ」
さて、これで宿も大丈夫。うーん、夕方まで何しようかなー。
って、あれ?もうドラグウルフを持っていないのに街の人がまだこっちを見てるな。どうしたんだろ?
などと考えていると若い女性が声をかけてきた。
「ねえあんた、あんた旅の人かい?」
「ええ、そうですけど、それがどうかしたんですか?」
「いやいや、あんたが不思議な格好してるからみんな気になってるんだよ」
「あ、そうなんですか。やっと疑問が解けました」
要するに僕のいた世界の格好はこっちの世界では珍しい格好ってことか。
たしかに僕が着ているロングカーディガンとか、スキニーパンツとかスニーカーとかこっちの人から見たら変な格好なのかもしれない。
ま、だからといってこの世界の人達の格好に合わせるつもりは無いけど。まあ、正確にはまだ合わせられないが正しいんだけどさ。
さて、とりあえず街をぶらぶら見て回ろうかな!お金ないから何も買えないけど、とりあえずどんな店があるか見てみよう。
その後しばらく僕はウィンドウショッピングを楽しんだ。こちらの世界にもブティックのような感じのお店があるのは驚いた。
建物とかは昔ならでわの家を想像してたけど、意外とちゃんとしてるんだな。作りもしっかりしてるし。
食べ物も見たことのない果物が店先に並んでいてとても興味深かった。
そうしていたらあっという間に日もくれてきたので、僕は素材屋(店の名前がわからないので勝手にそう読んでいる)に向かった。
「すみません。先程素材を売りに来た者ですが」
「あ、お待ちしておりました。こちらへどうぞ」
「はい」
「こちらのドラグウルフの素材は金貨15枚と、銀貨3枚で買い取らせていただきますが、よろしかったですか?」
「はい、大丈夫です」
「では、こちらが代金になります。またお願いしますね」
「ええ、こちらこそ」
こうして僕は代金を受け取り素材屋をあとにした。
そのまま宿屋に向かい宿代を払う。銀貨1枚を渡すと、銅貨が5枚返ってきたどうやら銅貨10枚で銀貨1枚文の価値のようだ。とういことは銀貨10枚で金貨1枚か。覚えておこう。
「じゃあ、部屋に案内するよ」
「あ、お願いします」
そして僕は部屋へと案内された。
「ここが君の部屋だ。食事は食べたい時に食堂に来てくれ。あんまり、朝早かったり夜遅くだと食堂が閉まっているから気をつけてくれ」
「はい、わかりました」
「じゃ、ごゆっくり」
僕はベッドに寝転がり、大きく伸びをする。うーん気持ちいい。なんとか宿の確保もできた、初日の成果としては上出来だろう。
明日は何をしようかなどと考えていると、睡魔が襲ってきた。今日1日でいろんなことがあったし、自分で思っていた以上に疲れていたのかもしれない。僕は睡魔に身を任せ、眠りについた。
今回もお付き合いいただきありがとうございます。
次回もよろしくお願いします。