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せっかく異世界に来たので好き勝手やりたいと思います。  作者: 東雲
第1章 こんにちは異世界
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街を目指そう!

気がつくと見慣れない景色が僕の目の前に広がっていた。

遠くまで続く平原、その向こうには不思議な形をした山。空を見あげれば見たことのない鳥が飛んでいた。どうやら本当に異世界にやって来たようだ。


「んー、とりあえず街を目指すか」


僕は神様からもらったアーティファクトを拾いバッグにしまった。服も、持ち物も神界に連れていかれる前のその時のままこの世界に転移したようだ。何にせよバッグがあるのはありがたい。本とはいえずっと持って歩くのは疲れるしね。


「さて、右と左どっちに行くか…」


僕の目の前には右と左に道が分かれていて、どちらに行けば街につくかは分からない。多分あの本を使えばどちらに行けば街に着くかはすぐ分かるんだろうけど、それじゃあ面白くない。ゲームでも初めからエリア全体のマップが分かっていたらただのクソゲーになってしまう。こういうのは何もわからない状態でウロウロするのがいいんだ。


「よし、この棒が倒れた方に進もう」


僕は近くに落ちていた木の枝を投げて枝が倒れた方向に進むことにした。ちゃんと葉っぱのついている枝を選んだからどっち向きに倒れたかわからなくなることは無い。よーし、それじゃ行きますよー!


「えい!」


僕が投げた枝は地面で何度か跳躍した後に左の道を指して倒れた。どうやら僕が進む方向は左のようだ。歩きながらこれからのことを考える。


「せっかく異世界に来たんだし、まずは楽しむことが最優先でしょ。あと、魔法とか使ってみたいな。あ、それからダンジョン探索は外せないよね!」


次々とやってみたいことが溢れてくる。こんな経験普通はできない。楽しまなきゃ損ってものだ。あー、楽しみだなぁ!

……て、おや?あんなところに人がいるじゃないか。第1村人発見だ。そんなことを考えながら前方にいた男性に声をかけた。


「お父さん、なにされてるんですかー?」

「あ?なに言ってんだあんた?」


 …つい某番組のように声をかけてしまった。


「あ、すみません。気にしないでください。それよりも、聞きたいことがあるんてますが」

「変なにいちゃんだなあ。んで、なにが聞きたいんだい?」

「ええと、街に行きたいんですがどのくらいで着きますかね?」

「あんた、冒険者かなにかか?」

「ええ、まあ」


 今はそう言うことにしておこう。この方が都合が良さそうだ。


「街に行くならこの道を歩いて1時間くらいだな」

「結構距離があるんですね」

「まあ、ここらは魔獣なんかも多くてな、人があまり住んどらんのさ」

「へえ、そういうものなんですか。あ、どうもありがとうございます」

「いいってことよ、なんなら街まで送ってやろうか?」

「いいんですか?正直お礼もなにもできませんけど。お金もなにも持ってないので」

「あんた、追い剥ぎにでもあったのか?まあいい、とりあえずうちに来いや」

「なんかすみません」

「こっちは好きでやってんだ。気にすんな」


 なんていい人なんだろう。


「ありがとうございます。あ、僕は百田 遊助です」

「変わった名前だな」


 こっちの世界には苗字とかないのかな?


「遊助と呼んでください」

「わかった、わしはドウラだ。よろしくな遊助」

「よろしくお願いします」


 こうして僕はドウラさんの家にお邪魔することになった。ドウラさんは奥さん(エリルさんというらしい)と2人で農家をしているんだそうだ。街に行ってからは何かと金もかかるだろうと、ドウラさんの家の手伝いをしてお金を稼ぐことに。


「んじゃ、この寝藁を牛達の寝床に運んでくれ」

「はい、…って重!」


 寝藁ってこんなに重いの!?草だから軽いと思ってなめてたわ。


「それ終わったら畑の方に来てくれや」

「は、はい!」


 それから僕はドウラさんの手伝いに奔走することになった。畑を鍬で耕しながら畝を作ったり、除草をしたり大忙しだった。…農家さんって大変なんだね、知らなかったよ。農家さん、いつも美味しい食べ物をありがとうございます。

 仕事が終わる頃には農家さんのありがたみが身にしみていた。

仕事もひと段落つき、お昼を一緒に頂くことになった。エリルさんの作った料理はどれも美味しかった。

食事の時、ドウラさんはバイト代として金貨を5枚渡してくれた。日本円でどれくらいだろう?さすがにもらいすぎだと言ったのだがドウラさんとエリルさんに冒険者はいろいろ物入りだろうから持っていけと言われた。

 その後2人は納品のついでにと僕を街まで乗せて行ってくれた。道中いろんな話をして、本当に楽しかった。

そして、納品も無事終わりそこで2人とはお別れになる。


「本当に何から何までお世話になって、ありがとうございます」

「気にするな、またいつでも来い」

「待ってるわよ」

「はい!また必ず会いに行きますね!」


 2人が乗った馬車が見えなくなるまで僕は手を振り続けた。

さて、とりあえずはこの街で情報収集をしよう。なんせ僕はこの世界のことを何も知らないからなぁ。情報は多いに越したことはない。


「でもその前に、当面の問題はお金だな」


ドウラさんご夫婦にお金は頂いてるけど、これにはできるだけ手をつけたくない。んー、ゲームとかだとこういう時は魔物を討伐して素材を売ったりするんだよね。この近くにいるのかな、魔獣。ドウラさんご夫婦の家のあたりは出るって言ってたけど、流石にまたあそこまで戻るのはなぁ。

お、ちょうど通りかかったあの人に聞いてみるか。


「あのー、すみません。ちょっとお聞きしたいことがあるんですけど」

「ん、なんだい?」

「このあたりに魔獣とかっていたりしますか?」

「魔獣かい?ああ、街を出て道を少し外れた森の中なんかにうようよいるよ。それがどうかしたのかい?」

「いえ、その魔獣って討伐したら素材を買ってくれるところってありますか?」

「ああ、それならあの角の店で買い取ってくれるよ。なんだい?兄ちゃん討伐しに行くのかい?」

「ええ、そのつもりです」

「にしては武器を持ってないようだけど」


あ、しまった。

よく考えれば武器も持ってないのにどうやって討伐するか考えてなかった。まあ、素手で戦うしかないんだけどね。でも武器も持っていないのに魔獣を倒しに行くなんて言ったら止められるかもしれないし、ここは適当に誤魔化そう。


「武器は今鍛冶屋で直してもらってるんですよー」

「そうなのかい。まあ、頑張りなよ」

「はい、ありがとうございます」


そうして僕はその人にお礼を言ってその場を離れた。何とかごまかせたな。その後も何人かの人に話しかけ、宿屋や道具屋などの場所を教えて貰った。

さて、魔獣の出没スポット、それを買い取ってくれる店に宿屋の場所。今欲しい情報は大体集まった。


それじゃいよいよ、魔獣を討伐しに行くか!


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