異世界に行こう!
気がつくと僕は椅子に座っていた。そして僕の対面にも椅子が置かれており、その椅子には10歳くらいに見える女の子が座っていた。
「やぁやぁ、こんにちは!百田遊助くん」
「あ、こんにちは。…えっと、どちら様で?」
「ん?僕かい?僕はガブリエル。神様だよ」
ガブリエルって天使じゃなかったっけ?
「えっと、ガブリエル、さん。ここはどこなんですか?」
「ここは神界だよ。その名の通り神様の世界」
「神様の…世界…」
「あんまり驚かないんだね?」
「いや、十分驚いてるんだけど」
いきなりここは神界で、私は神様よなんて言われたら普通驚くよ。
てか、なんで僕神界にいんの?確か電車に乗ってたはずなんだけど。
「まあ、ここが神界というのは分かったけど。なんで僕はここにいるんですかね?」
「うむ、実は君は元いた世界で死んだことになっている」
「はあ!?」
死んだことになっている?
「死んだではなくて、死んだことになっているってどういうことですか?」
「そのままの意味だよ、君は今神界にいる訳だが、神界は生きている人間が入れるところではない。まあ、死んだから入れるわけでもないのだが、しかし生きた人間をそのまま連れてくるわけには行かない。そこで形式的に元の世界では死んだことにしてこちら側に連れてくるのさ」
何言ってんのか全くわかんない。
「あぁ、もういいです。それで?僕に何しろっていうんです?」
「よくぞ聞いてくれた!君には我々の眷属になって貰いたい!」
「嫌ですよ」
「あれ!?なんでぇ!?」
そんな胡散臭い話に誰が乗るか。
「頼むよ、眷属になってくれよ!」
「嫌ですよ、なんで僕が!」
「それは、君が選ばれたからだ!」
「選ばれた?」
「そうだ、君は選ばれたのだ。神々によって君こそが我々神の眷属になる人間にふさわしいと判断された」
選ばれた?神々によって?
確かにマンガとかアニメではありがちな設定だけど…
「なぜ、僕が選ばれたんです?」
「それは」
「それは…」
「あみだくじで君に当たったんだ」
「あみだくじかよっ!!」
「何を言うか!あみだくじは神聖なる儀式なのだぞ」
「やかましいわ!」
「まあ、冗談だがね」
「あ、冗談か。そんな軽く殺されたのかって焦りま……」
「実際はダーツの矢がどこに刺さるかで決めた」
「どこのバラエティ番組だ!」
外れてたわしを貰ってしまえ!
「まあ、冗談はこれくらいにして理由を説明使用じゃないか」
「あ、ちゃんとあるんですね、理由」
「当たり前だろう。君は我々が理由もなしに君を殺したとでも思っていたのかい?」
正直思ってました。
「理由は君の力だ」
「僕の力?」
「君も気づいているだろう?君自身の力に。その力は凄まじい力だ、故に人の身には余る。もし君が、その力を解放した日には君のいた世界は壊れてしまうだろうね。君をあの世界から切り離し、我々の眷属になってもらえば一石二鳥じゃね?って考えた神々によって君はここに連れてこられたってわけだ」
「はぁ…」
「神の眷属になると死ぬこともないし、様々な恩恵が受けられるぞ。どうだい?我々の眷属になりたくなったりしないかい?」
「いえ、全然全く」
「そうか、そうなると困ったな」
「どういうことです?」
「君をここに連れてくるために君には元の世界で死んだことになっているんだ」
「ええ、それはさっき聞きましたけど」
「つまり君を元の世界に戻すわけにはいかないんだよ」
「はあ!?じゃあ僕はどうすればいいんですか!」
「1つ、方法はあるんだが……」
「一応聞きましょう」
「元の世界とは別の世界に転移してもらうとか」
……え?
「それって」
「まあ、俗に言う異世界転移というやつだね。ちなみにその世界は魔法もある世界だし君たちが思う異世界転移とほぼ同じはずだよ」
「え?行けるの?異世界に?」
「ああ、君が望めばだが」
「望む望む!超望む!すごく面白そう!」
あー、すごくワクワクしてきた!
「本当にいいのか?魔王なんかもいる世界だけど」
「そこがいいんじゃん!」
「そう、なのか?まあ、君がそこまで言うならそうしよう。あと、せめてものお詫びに願いを1つ叶えてやろう」
願い?
「何でもいいの?」
「もちろんだ。さすがに元の世界に返すことは出来ないんがな」
せっかく異世界に行けるのにそんなこと願うものか。
「んーじゃあそうだな、本が欲しいかな」
「本?」
「うん、読みたい本に内容を自由に変えられる本がいいな、1冊あればかさばらないし」
「良いだろう。ちょうどいいアーティファクトがあるしな」
「へー、そんなものもあるんですか」
「もちろんだ、神の力を舐めるでない。さあ受け取れ!」
女神の声に反応して僕の前にアーティファクトが姿を現した。僕はそれを両手で受け止める。僕の手の中には一冊の本が握られている。
「そのアーティファクトは開く前に読みたい本のジャンルを選択すればいくつか候補をあげてくれるその中から読みたい本を選択すると本の内容が映し出され、本を閉じるとリセットされる。ただし、本についているスピンを使えば、本を閉じても内容はリセットされない」
「はい、わかりました。ありがとうございます」
「では説明は以上だ。異世界で君がどんなことをするのか、じっくり見物させてもらうよ」
「ハイハイ、まあ、テキトーにやりますよ」
女神様が指を鳴らすと僕の体は光に包まれる。
そして僕は異世界へと旅立ったのだ。
お付き合いいただきありがとうございます。
次回もよろしくお願い致します。
5月5日、修正しました。