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抗いの小動物

作者: 遠藤ゆきな

僕は前世の記憶を覚えている。

前世と、その前とその前。何万回という人生が記憶にある。


僕は必ず動物だった。

犬だったり、猫だったり。

時には、うさぎや亀、小鳥の時もあった。


そして、僕の人生の中では必ず可愛い女の子に飼われた。

不思議な話だが、僕は僕を飼う女の子が同一人物だと知っていた。

国籍、人種、顔、身長。全てが違っていたが絶対に同一人物なのだ。


僕はいつでも彼女が大好きだった。

彼女も僕に愛情を注いでくれた。

離れるなんてもってのほかだ。

なのに...なぜなのだろう。

運命が必ず彼女を19歳で殺した。


病気だったり、不運な事故だったり、紛争に巻き込まれた時もあった。

それでも僕は生き残り、彼女は19歳という若さで死んだ。


彼女が亡くなった僕の残りの人生は悲しみに虚しさに後悔に...

僕は惨めに死んでいく。


彼女を救いたかった。救おうとした。

だが、どうすることも出来なかった。



今僕は、何万回かの人生を生きている。

そして今日、彼女が19歳になった。

僕はこの運命に、今から抗おうと思う。

大好きな、彼女の前から僕は姿を消す。

1日も、離れたくない彼女から。

だが、彼女に生きてほしい。

この思いが強くなる。


初めての野良暮らし。

春。最初は苦労した。

一人の寂しさにも耐えた。

夏。猛烈な暑さだ。

彼女に会いたいという願いを抑えるのに必死だった。

秋。やはり彼女の事を忘れられるはずが、なかった。

彼女は生きていてくれているだろうか?

冬。どうやら僕が先に限界のようだ。

最後に彼女の家に行った。

中からバースデーソングが聞こえてくる。

そうか20歳になれたのか。

僕はそっと立ち去り、眠りについた。


運命には勝った。

彼女が、これからどんな人生を歩むのか...

楽しみだ。

沢山の幸せがありますように。


ただ、もし叶うのなら、もう1度、大好きな彼女の側にいたい。

君も望んでくれるなら...



「あれ?君、お家が無いの?

...君、私が昔飼っていた"あの子"によく似てる。

もし良かったら、家に来る?

一人暮らし始めたばかりで寂しかったんだ。

これからよろしくね......もうどこにも行かないでね」

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