opening ~伝説の始まり~
初めまして黒犬です(*^^*)以前別の小説を書いていたのですが色々と予定があったりスマホの故障やらで長らく更新してなかった事もあり改めて別のを書いてみよう!と思いこの作品を投稿してみました。私自身文章力や知識が無いのでおかしい所や間違っている箇所もたっっっくさんあると思います(^_^;)その時は暖かい目でご指摘して下さるとありがたいです。あっ、あと3日に1回更新はしたいなーと思っているのでよろしくお願いしますm(__)m
そこはとても広く、無機質な空間だった。中心には少しでかめのテーブルにソファーが挟むように設置されており、その傍らには1人の青年がベッドの中で眠っていた
「───っ!!!」
酷い不快感に襲われながら目を覚ました青年────天宮 楓は体を起こすと一目散に自分の腹部を触り、驚愕する
「傷が、ない。確かに刺されたはず‥‥それに俺は‥‥」
そう─────あの時自分は確実にナイフで刺された。その時の痛みは覚えているし、刺された腹部からは大量の血が溢れ落ちていて、もう助かる見込みは無かったのだから。それなのに自分は今開く事の無いと思っていた目を開け、体を動かし、生を感じているのだから。何故自分は生きているのか、もしくはそう感じているだけで本当は死んでいるのではないか、そもそも今居るこの場所は何処なのか、疑問は多様あれど、いくら考えても現実味にかける現状に楓は酷く頭を悩ませるだけだった
その時だ──────
「ん?なんだあれ」
楓の見ている先にあったのは宙に浮いている黒い粒だった。それがなんなのか気になり手を伸ばそうとした時、その粒は異変を起こした
「な!?」
粒はぐにゃぐにゃと不規則な動きをしながら少しずつデカさを増していき人ひとりが通れるほどの大きさになると、中から1人の男がスッと現れた。男は楓を見るなり少しだけ笑みを浮かべて口を開く
「おはよう。お目覚めの気分はどうかな、天宮楓君?」
「‥‥あまり良い目覚めとはいえないな。で、お前は誰だ?俺をここに連れてきたのはお前だろ?」
「正解、俺はここ【時の狭間】を管理しているデヴェドと言う。楓君、君はどこまで記憶残ってるかな?あ、話長くなりそうだし楓君もソファーに座れば?」
デヴェドはそう言うとソファーに座り手招きをする。楓は少し警戒をしながらベットから起き上がり、向かいのソファーに腰を下ろした後デヴェドの顔をじっと見つめた。近くで見るとデヴェドの顔は少し気だるそうでいて目鼻は整っている、所謂イケメンという部類に入る顔立ちだった。楓は少し殺意がわいたがすぐにその感情を取り払い質問に答える
「俺が殺人鬼に刺されて意識が無くなるまでは覚えている」
「ふむ‥‥記憶が混雑してたり忘れている事は無さそうだね。じゃあ単刀直入に言おう、君は死んだ」
薄々分かっている事だったがそれでも直接言われるのでは違う。少しだけ望みはあったが真剣な表情をして言うデヴェドを見てそれは確実だと理解ができた
「‥‥生きてる実感はするがやっぱり死んだのか、俺はどうなるんだ?」
「君には異世界に行ってもらいたい」
「‥‥は?」
存在が消える‥‥とか生まれ変わる‥‥とかではなくまさかの異世界にご招待されるとは夢にも思わなかった楓はついマヌケな声を出してしまう
「異世界?」
「うん、異世界」
「嫌だが?」
「なんで?」
「なんでって‥‥めんどくさいだろ。どうせ世界を救ってくれとか、蘇った魔王を討伐してくれとか言うんだろ?知らないやつらの為にそんな苦労はしたくないし痛い思いもしたくない」
よっぽどの善人や異世界物語が好きな人からしたらビッグイベントとして喜んで行くだろうが楓は違う、楓は人が嫌いなのだ。勿論特定の人物は除くがそれ以外の全人類を嫌っている程に、何故そうなったのか‥‥それは過去に起きたある出来事、最愛の妹を無くし、周囲の人間から裏切られた末路にあった。そんな楓に人々を救うために異世界に行って苦労してこいと言っても行くわけがない、しかしデヴェドは首を横に振ると
「そんな事はしなくていいよ」
と言った
「じゃあ何故行かせる?目的はなんだ?」
「そうだねぇ‥‥全部話すと長くなるしなによりめんどくさい。だから要点だけ言わせてもらうよ。君はただ楽しんで第2の人生を送ってくれればいい、それだけだよ」
「‥‥仮に俺が行ってお前にはなんの得がある?」
人はなにかしらの利益を求め損得を大事にする、今の言葉だとただただ楓に得があるだけでデヴェドにはなんにも利益がもたらされない。うまい話には裏があると言うようになにかあるのではないかと疑いをかけるが男は一言
「暇を潰せる」
とだけ言うと、どこからか紙とペンをだした
「長い間ずっとここに居ても面白い事はないからね、暇で仕方ないんだ。さぁ、これに君がサインしてくれれば契約する事ができる。勿論どうしても嫌なら断る事も可能だけど‥‥もし俺の暇潰しに付き合ってくれると言うならその時は─────」
ひ と つ お 願 い を 聞 い て あ げ よ う
デヴェドがそう言うと楓は肩をピクッとさせると目を尖らせた
「‥‥なんでもか?」
「なんでも‥‥とはいかないね。例えば死んだ人を蘇らせてとかは出来ないよ、道理に反するからね」
「そうか‥‥。なら────」
少し間を置いて考えたある願い事をデヴェドに伝えると最初の一瞬だけ驚いたあと狂った様に笑い始めた
「あはははは!そうか!そうくるかい!」
「で?どうなんだ?」
「ククッ、ああ、いいとも。それなら叶えられるよ」
「なら契約成立だ」
テーブルに置かれていた紙にサインをした瞬間、楓の体は神々しい光に包まれていった
「その光が君を全て包み込んだとき無事に向こうの世界に着けるよ」
「そうか。‥‥なぁ、願いはいつ叶えてくれんだ?」
「そうだねぇ俺の気が向いた時に。まぁ安心してくれ、契約した以上かならず願いは叶えるさ」
意識が朦朧としていくなかデヴェドの曖昧な返事に楓はつい苦笑を浮かべた。全身が光に包まれる直前楓の表情は先程とは違っていた、氷の様に冷たい目を向け殺意に満ちている顔だった
「約束破ったら‥‥なにをしてでも殺す」
言い終えた瞬間光が全身を包み込み何事も無かったかのように消え、その場に残ったのはデヴェドただ1人だけだった
「最後にとんでもない事言ってきたねぇ‥‥。うん、やっぱり面白い」
「あまり締まりのない顔をしないでください」
「君も酷い事言うよねぇ傷ついちゃうよ。クロノ君」
いつの間にか背後に居た人物に特に驚きもせずに後ろを振り返る。するとそこにはキリッとしている執事服に表情筋が無いのかと思うほどに無表情でいて少し幼さの残る顔立ちをした青年────クロノが立っていた
「どうでしたか?彼と直接会って話したご気分は‥‥まぁ予想はできますが」
「思っていた通りだったよ。いや、それ以上かな、今までは仮面を被っていた楓君しか見てなかったからね」
「そうですか。それならよろしいのですが1つだけ、勝手に願いを叶えようとするのは止めてください」
無表情なのだが少し怒っている感じに言うとクロノは1つ深いため息を吐いた
「彼は何を願ったんですか?」
「あぁそれはね。ククッ、思いだすとまた笑いそうになるよ。彼の願い事はね」
──────過去に戻って死ぬ運命を変える事はできるか?というものだった
「成る程‥‥ですが結果的にいえばそれは死んだ者を生き返らせる事と同じでは?」
「そうだね、だけどこの願いは道理に反していないんだよ。蘇らせる事ができないのなら死んだ事を無かった事にすればいい、どうだい?面白い考えじゃないか?」
「‥‥私には理解できませんね」
クロノがそう言うとデヴェドは「それは残念だ」と笑いながら言った後、パンっ!と両手を合わせた。すると今まで居た時の狭間は消え、変わりに地球儀に似た球体が出現した
「やるのですか?」
「あぁ、楓君の事もあるしね。そろそろ自分の役目を果たさないと」
そう言った男の表情は笑顔ひとつなくクロノと同じように無表情であった。デヴェドの手が球体に触れると中から数千は余裕であろう沢山の糸が現れ、デヴェドはその糸を手繰り寄せる
「始めようか。クロノ君、久しぶりだけどよろしく頼むよ」
「はっ!運命神 デヴェド様の仰せのままに‥‥」
どうでしたか?おきに召して頂けたら幸いです(;・ω・)ご指摘以外にも気になった事や詳しく知りたい事があればどんどんご感想下さいね!ここが良かったとか面白かったって感想が来るように精進致しますのでこれからもどうぞよろしくお願いします(*^^*)