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マインドアームズ~心の力  作者: あおい聖
入学編
7/20

07話 アーム01

「こんな面白れ~事参加しないなんてあり得ね~だろ? 更にそれがSクラスへの編入にかかわって来るんだからさ」



「だと思ったわ。私もSクラスに興味があるから勿論参加するわよ。Sクラスになったら紫苑先輩の【トライアル】に協力するから」



「お前馬鹿か? そんなの当たり前だろ? 協力するから話し合いに参加するわけだし」



 真人が本音を語り、馨もSクラスに興味があり協力することを表明すると、真人から協力するのが前提何だから当たり前とツッコミが入る。


 ほほえましくその光景を見ていた紫苑に飛鳥が声を掛ける。



「決めるのは紫苑だよ。僕は紫苑が許可するなら構わない」



 真人と馨の視線が紫苑へと注がれる。



「分かりました。鏑木君、水樹さん、私に協力してください」



 紫苑が頭を下げると真人は指で鼻を擦り照れながら



「よっよしてくれよ。先輩に苗字で呼ばれると何か変な気分だぜ。それに仲間になるんだから真人で良いぜ」



「私も馨とお呼びください」



 真人と馨の言葉に紫苑は頷き、再び頭を下げながら



「こちらこそよろしくね真人君、馨さん」



 紫苑は2人と握手を交わし、飛鳥へと向き直り、飛鳥の両手を取り



「あ~ちゃんも有難う。お願いね」



「だから紫苑、その呼び方をどうにかしてください」



 あ~ちゃん呼ばわりされた飛鳥は紫苑に呼び方を直すように注意をすると紫苑は困ったような顔で



「む、善処します飛鳥君」



「善処ではなく・・・ああもう善処で良いです」



 善処するとした紫苑に飛鳥はきつい言葉で注意しようとして、涙目になっている紫苑を見て飛鳥の方がおれた形となると雅はそんな2人を見て嬉しくなり表情を和らげた。


 午後の見学会の予定は冬夜の暴走により延期となり早めに切り上げられることになった。2年の紫苑と3年の雅はそのまま授業が組まれていた事も有り、メールで住所を教え飛鳥達3人で先に飛鳥の家へと向かうことになるのであった。



・・・・・・・・・・・・・・・



 真人と馨は飛鳥に先導される形でエレベーターにて居住フロアへと降りて来ていた。エレベーターがある大きな建物から学生服を着た生徒が数多く出てくる。この時間は他には中学生と思しき生徒や小学生と思しき生徒が家への帰り道を新しくできた友達と共に歩いていた。


 そんな中、南の入り口の自動ドアが開き飛鳥達も外へと出る。大きなロータリーが広がり、東西と南へ向かうバス乗り場へと向かい歩く人ごみを避けるように飛鳥達は広い場所へと出る。



「ここからどれくらいの場所にあんだ?」



 不意に真人が飛鳥へと声を掛ける。すると飛鳥は苦笑いを浮かべ、腕を上げ正面を指さす、そこは広い塀に囲まれ、二階建ての通常の一戸建てが2つ並ぶくらいの家をで、庭もあるお金持ちが済むような家。真人と馨は改めて飛鳥が金持ちであることを認識した。



「さっいくよ」



 飛鳥は気にせず歩き出しロータリー内の歩道橋を使い渡る。真人と馨は、慌てるようにその後を追う。飛鳥達が門前へと着くと、門からがたいの良い制服を着た警備員が出て来る。



「若、お帰りなさいませ。そちらはご学友ですか?」



 警備員の言葉に飛鳥は頷き



「ご苦労様。1~2時間くらいしたら2人、紫苑とみや姉が来ると思うから入れて上げて」



「紫苑様と雅様ですね。畏まりました」



 警備員と話していると門が音を立てゆっくりと開き、飛鳥が敷地の中へと入り足を止め、振り返り。



「ほら、何しているんですか、入ってください」



「おっおう。邪魔するぜ」



「・・・お邪魔します」



 飛鳥に諭され真人と馨が門の中へと入る。門の裏、外からは死角となる場所に小さな小屋が有り、そこが警備員の詰所となっている。更に中央の道を歩き屋敷の前へと来ると飛鳥は手前のパネルに右手を置く、するとパネルが一瞬光りカチャリと鍵の開く音がする。防犯のために指紋やMEパターンと言った物を検知し照合して確認が取れれば鍵が開くシステムである。


 外で圧倒されていた真人と馨は、屋敷に入っても圧倒される。2人をリビングに置き飛鳥は自分の部屋へと着替えに向かう。


 待たされる形となった真人と馨は落ち着かず、ソファーに座ったまま部屋の中を首を目まぐるしく振り見渡していた。



「すっ凄い家だな」



「そっそうね」



 真人の言葉に馨が頷き、馨が手を団扇のように振り風を起こす



「あっ熱いわね。飛鳥君が来たら何か飲み物でも・・・」



 馨がそう口にするとテーブルが開き、飲み物の入ったコップが2つせり上がる。更に何かのスイッチが入った音がして、部屋の空調が動き出す音がして、心地よい涼しい風が肌を撫でた。



「・・・うそ・・・音声認識? 旧世紀の遺物?」



 馨が混乱する中、真人はコップの1つを手に取り、一気に飲み干した。



「ぷふぁ~・・・取りあえず落ち着けよ」



 飲み干したコップをテーブルに置き、真人は馨を見て忠告する。



「そっそうね・・・」



 馨もコップを自分の方へと引き寄せ、持ち上げると指を使いストローを口に含み一口飲み込み、



「はぁ~かなり美味しいわね」



 感想を述べたところで扉が開かれ、動きやすい服へと着替えた飛鳥が入って来る。



「お待たせ~」



 飛鳥は真人たちの向かいにあるソファーに腰を降ろし2人を見つめ



「さて、紫苑たちが来る前に、僕たちのランク入り、そしてSクラス入りについて話そうか」



 飛鳥が切り出した言葉に真人と馨が頷く



「で、真人たちは具体的にどうやってランク入りする気だい?」



 飛鳥にそう言われ真人は何も考えていなかったことに気が付き、隣の馨の方へと顔を向ける。すると馨は考えていたのか口を開け、考えを口にする。



「まずは、【アーム】。貸し出し用のじゃない個人専用のを手に入れないことには話にならないんじゃないかしら?」



 【アーム】MAスキルの補助機器、国によっては【ワンド】とも呼ばれる物で、機械的にMAスキルを制御、増幅する装置のことである。



「そうだね。真人たちはまずそこからになるね。でもどうやって手に入れる気だい? 量産タイプで10万、カスタムタイプは最低で50万はすると思うけど?」



 飛鳥の言葉に真人が頭を押さえる。



「やっぱお金がかかるか。小遣いはバイクにつぎ込んじゃってるしな、どうしよう?」



「私は貯めているから量産タイプの新古品なら買えるかな。確か6万ほどだったと思う」



 真人はバイクにお金をかけている為、お金が無いと言い、馨は量産タイプの新古品ならすぐにでも買えるという。だがそれを聞いて飛鳥は首を横に振る。



「さっき馨さんも行っていたようにランク入りするならカスタムタイプが必要だね。まぁ勿体ぶっても仕方がないから、アームは僕が用意するよ」



「本当か!」



 カスタムタイプを飛鳥が用意すると言って、真人はそれを素直に喜び、馨は申し訳なさそうにしつつも嬉しそうな表情である。



「じゃあ、これがカタログ、ここからベースとなる機体を選んで」



 飛鳥が右手を動かし、あたかもチラシを真人たちの前へと送るような仕草をすると、真人たちの目の前にA4サイズの半透明なパネルが表示される。



「わっ! 驚かすなよ」



 真人は目を見開いただけであったが、そんな真人に馨がしがみ付いたために真人が声を上げたのであった。


「悪かったわね」



 真っ赤になり勢いよくはなれた馨が謝ると、飛鳥は苦笑いして



「良いからさっさと選ぶ、今日中にカスタムまで終わらせるよ」

お読みいただきありがとうございます。


明日もUP予定ですのでもしよろしければお読みください。

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