01話 出会い
この作品は亀の歩みのような更新スピードとなります。気長にお読みください。
1話3000文字前後となっています。
【操作】一般的に知られているこの力は、離れた場所の物体を動かすと言う物である。だが近年この定義が間違いであるかのような事例が報告されてきた。例えば【熱】を操作して水を気化させたり、凍らせたりと言った物である。研究者たちは口々に言う「そんなことはないと」・・・
新世紀72年11月【POC】【パシフィック・オーシャン・コムラード】所属、旧【日本国】・・・現【大和国】首都【富士】
【厄災の時】を経て無事であった都市の1つ。その都市はドームで覆われ、地上階層に行政府、地下1階層に居住区、地下2階層に生産区が存在していた。
そんな居住区にある北側の行政にかかわる者たちが済む区域でそれは起こった。
軍部を司る皇家の屋敷に大型のトラックが突っ込んだのである。屋敷を囲む塀を砕き防衛設備を次々と破壊し止まると、後ろのハッチが開き迷彩服を着こみ目指し帽で顔を隠した者たちが次々と駆け下り屋敷内へと進む。
3分もしないうちに大きな袋を背負った者が屋敷から出てくる。袋の大きさは子供1人くらいの大きさで、トラックへと乗り込むと次々と迷彩服の者たちが戻って来る。ここで監視カメラが破壊され映像が途切れた。
・・・・・・・・・・・・・・・
2年後、新世紀74年2月、雪に覆われた旧長野県某所、白い雪の絨毯の上に女性と思しき足跡とそれに続くかのように赤く染める血痕、荒い息をしながら駆けるゴーグルをした、長い髪を後ろで縛った女性、ユラユラと揺れるポニーテールを追う様に3人の迷彩服を着た男たち、そんな男の1人が不意に手をかざし
「燃え尽きやがれ!」
言葉と共にかざした手に炎が何もないとこから生まれ球を成す。男がかざした手を逃げる女性へと振り下ろすと火球は女性目掛け物凄い速さで飛んでいく。女性に当たるかという距離で左へと転げるように躱す。
「ちっ! しぶとい!」
火球を放った男が苛立ち呟くと火球は地面の雪に当たり炸裂する・・・するとまるでそれが合図であったかのように周囲が鳴動する。気が付いた時には女性や男たちを目掛け雪崩が押し寄せた。雪崩にのまれる寸前に女性と火球を放った男の身体が光り輝いたように見え雪崩にのまれる。
雪崩が収まり5分ほどたったであろうか、敷き詰められた雪がジュッ!と音を立て蒸発して行く。そこには雪などまるでなかったかのように蒸発し地面が顔をのぞかせると、火球を放った男が膝を地面へと付き顔をゆがませた状態で荒い息をしていた。
「はぁ・・・はぁ、危ないとこだった。これだから都市の外は・・・」
男は首を左右に振る
「はぁ・・・はぁ、あの女・・・はぁ、綺羅 綾女っていったか? あの光、奴も【MC】【マインドチルドレン】・・・いや、あの強さ【MM】【マインドマスター】じゃね~か?」
男は最早荒い息はしていなかった。その場から立ち上がり
「報酬と割に合わね~ぞ。部下2人も失っちまったし・・・探すか?」
嫌そうに周囲を確認する男の胸の辺りから無線を繋げる様なジージジーと波の音がして
『炎魔! 応答しろ炎魔!』
炎魔は胸ポケットからインカムを取り出し頭につけると
「うっせ~な蛟! そんなにが鳴んなくっても聞こえてるっつ~の!」
『大きな雪崩が起きたみたいだが、仕留めたのか?』
「いんや、逃げられた。それに雪崩で使えね~部下2人が生き埋めだ」
『・・・迎えのヘリを出す』
怒っているかのような蛟の声に炎魔は言い訳をするかのように口を開く
「俺様が悪いんじゃね~ぜ、依頼内容が可笑しい。標的が【MM】なんて俺は聞いてね~ぞ!」
『そうか・・・本部に確認する。部下は新しいのが配属されるだろう。それじゃあ』
自分も知らないかと言うような蛟の言葉に文句を言おうと口を開いたその時、そこで無線が切れた。
「そもそも雪山で俺様がハントなんて相性考えろってんだよ!」
炎魔は苛立ちで雪を蹴ろうとして寸でのとこで思いとどまった。再度雪崩でも起きたら大変であるのだから・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
綾女はベッド横にモニター付きのパネルがあるベッドに鳴かされていた。服装は手術着のような病院で着ているような服に変わり、腹部や腕、頭と言った部分に治療がなされ包帯がまかれていた。綾女はゆっくりと目を開ける。知らない天井・・・身体を起こし周囲を確認する。
「ここは何処だ?」
すると周囲を警戒し気配などを探り、誰も居ないと思っていた綾女の横から声がする。
「僕、家」
素早く首を振り横を向き目を見開き驚く。先ほど確認した時に居なかった少女に見えそうな可愛らしい長い髪をした少年がすぐそばの椅子に座っていた。
「・・・少年だよね?」
何とか冷静さを取り戻そうと綾女は声を発する。少年は首を縦に振り頷く。
「少年、親はどうした?」
少年は首を左右に振り
「いない。捨てられた」
綾女は息をのみ
「捨てられた? ここに?」
「僕、誘拐、親、見捨て」
片言の言葉を綾女は考え、推測を口にする。
「少年は誘拐され、親は少年を見捨てた。こう言いたいんだね?」
少年は頷く。綾女は更に考える。最近の誘拐事件、被害者の顔・・・どれも該当する者が無かった。
「少年、済まないが何時誘拐されたかわかるかい?」
少年は指を2本立て
「2年前」
再び綾女の瞳が見開かれる。
2年前? まさか・・・まさか・・・そうなのか?
2年前のある有名な誘拐事件、その記憶にある被害者の顔と少年の顔を見比べて綾女は口を開いた。
「少年、名を聞いてもいいかい? 私は綾女、綺羅 綾女と言う」
「僕、飛鳥」
そう言って少年は身分証に使われている【ステータスプレート】を綾女の方へと差し出す。
そのプレートにはしっかりと【皇 飛鳥】と記載されていた。生年月日も一致し、綾女は頭を抱えた。少年、飛鳥の言った「見捨てられた」と言う言葉の意味が分かってしまったのだ。なぜなら【皇 飛鳥】と言う少年は他に存在している・・・この子の救出を諦め、似通った者を救出したと大々的に報道が2年前になされていたのだから・・・この子はそれを知っている? どうやって? 言いようもない表情で綾女は飛鳥を見据えると飛鳥は
「僕、名、別、居るの、知ってる」
その言葉に綾女はどうして知ったのかと言うのはどうでも良くなり、その頬をとめどもなく涙が流れた。その涙を見た飛鳥は慌てて腕を振るとパネルが開き
「【操作】スキャニング・・・無。えっ? 綾女、どこ、痛い? 身体、問題、無い。どこ、痛い?」
綾女は涙を流しながら精一杯笑顔を作り、自身の胸へと手を当て
「心、心が痛くて悲しいんだ」
そう言って綾女は両手を伸ばし飛鳥を抱きかかえ
「えっ? えっ? 心?」
戸惑う飛鳥の頭をなでながらもう一方の手でギュッと強く抱きしめ
「泣いていいんだ。寂しい時は、悲しい時は泣いていいんだ」
綾女の言葉を聞き飛鳥は声を押し殺し涙を流した。
一頻り泣いた飛鳥は恥ずかしそうに綾女の胸から離れ
「ごめんなさい」
綾女は頬を指でかきながら
「そう言う時は【ごめんなさい】じゃなくて【有難う】で良いんだよ飛鳥君」
飛鳥は照れたように顔を赤く染め
「あっ有難う」
満面の笑みで言葉を紡いだ飛鳥に綾女が微笑みかえると、けたたましい警報が鳴り響く。すると飛鳥がまた腕を振り
「【操作】モニター、侵入者、映す」
するとモニターに迷彩服の男たちが映しだされる。
「こいつ等は、私を追って来たのか!」
綾女は目を細め動こうとして痛みに顔を歪めた。すると飛鳥の目が鋭さを増し殺気ともいえる物を放ち始め
「綾女、敵、僕、討つ。【操作】迎撃!」
飛鳥がパネルを操作すると、モニターに映る男たちの周囲から機械的な柱がせり上がり、一部が開いたかと思うとバチバチと放電し、あたかも電流の檻となり男たちを襲い、男たちはその場で倒れ込み意識を失った。
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明日もUP予定ですのでもしよろしければお読みください。