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煌夜落ち込む。

またもや短めで済みません。

 「ふ…… うん」


 身体の下にガサガサとした……? 感触。 お腹の上が重くて温かい。


 「な に ? 」


 ぼやぁっとした視界がハッキリすると、 心配顔の煌夜が私のお腹の上からガバっと身体を起こした。


 「煌夜? どーしたの? 私…… 寝てた? 」


 てか、 ここどこ? 寝てる間に移動したの? 手の下を見ればガサガサとしてたのは草だったらしい。


 「無事か……? 」


 煌夜が動いて、 ぎこちなく手を伸ばす。 伸びた手が、 そっと私の頬に触れアメジストの瞳が何かを窺うようにじぃっと見つめて来た。 

 何? どうしたの? って問いかけすら許されないように、 じっと見つめられてどうして良いのか分からなくなる。 思わずもぞもぞと動いてしまった。


 「無事だな」


 安心したように溜息を着いてから、 煌夜がそっと私の上から降りた。

なんだろ…… 心なしか元気がない。


 「お前、 どこまで覚えてるんだ? 」


 「う、 ん? …… 煌夜と花畑にいたよね。 後は…… 何かあったんだっけ? 」


 私のその言葉に煌夜が顔を顰める。


 「あー…… そこでモンスターに会ったんだけどな…… それにスキルを使われてお前は『混乱』 したんだ」


 「加護に精神異常無効って無かったっけ? 」


 オカシイでしょ? と首を傾げていたら声がした。


 『その加護に軽微の損傷があるみたいだね』


 「…… ? ひょえっ! 」


 突然頭に響いて来た新しい声にキョロキョロしてたら、 視界のずっと上に顔があった。

私が小山だと思っていたのは緑の竜だったらしい。


 「…… はじめまして…… 」


 『はじめまして、 ヒトの子』


 煌夜が私の前に来て緑の竜に威嚇してる。 えぇ、 悪いひとなの? 


 『怒るなよ。 しかた無いだろう同胞。 そう言えば、名乗ってなかったね。 僕の名前はイーロウ』


 穏やかな声は悪い人には思えない。 それなのに煌夜の態度はトゲトゲしい。


 「神薙 真白です! こっちは煌夜」


 『そのまま名を呼ぶのは良くないから君の事はナギ、 同胞の事はコーヤと呼ぼうか』


 「…… 普通に呼ぶのはいけないの? 」


 『名前って結構特別なんだよ。 本当の名前は家族しか呼んじゃ駄目なんだ。 本当の名前を真名って呼ぶんだけどね、 それが分かると呪いをかける事ができるから注意してね? だから、僕が名乗った名は愛称だね。 本当の名前は亡くなった妻―― まぁ家族にしか許していない。 だから、 次に誰かに会ったら君も愛称を名乗った方が良い』


 「へぇ。 意外と怖い事があるんですね…… ありがとう。 次から気を付けます。 あ、 じゃあ私もコーヤって呼んだ方がいいのか」


 そう呟いたら煌夜がピシリと固まった。


 『あー、 もうコーヤそんな顔しないの。 説明してなかった君が悪いでしょ? 私がつけたのは愛称なんだから、 別の名は君が付ければいい…… ねぇナギ。 誰かが傍にいるときはコーヤ。 居ない時は君が付けたさっきの名で呼んであげて』


 苦笑しているイーロウさんをプルプルした煌夜が睨んでる。


 「分かりました! そうします」


 コーヤ、 コーヤ。 煌夜、 煌夜。 呼び間違えないようにしないと。

そんな感じで考えていたら、 煌夜がなんだかどんどん落ち込んでる気がするんだけど……。


 「ね。 コーヤ大丈夫? なんか変だよ」


 「別に…… 何でもない」


 「嘘だよ。 顔色も悪いし、 元気無いじゃない」


 「何でもない」


 「だって…… 」


 更に言い募ろうとした所でイーロウさんからストップが入った。


 『コーヤの事そっとしといてあげて。 そのうち元に戻るさ。 今日はもう疲れたろ。 家に帰った方がいい。 僕はここに当分いるから、 コーヤと一緒にまたおいで。 この世界の先輩として色々教えてあげるから』


 「ありがとうございます、 イーロウ。 そうします。 ね、 コーヤ帰ろ? 」


 肩を落とす煌夜を抱きあげる。 具合が悪いんじゃないと良いんだけど。 

だって煌夜、 抱きあげても全然何も言わないんだもの―― いつもみたく抵抗されないし。  

そう言えばどうやって帰ればいいの? そう思って煌夜を見るとそっと「ゲート」 と呟いた。 

あの虹色の膜が、 扉サイズに広がって目の前に現れる。


 『またね。 コーヤにナギ』


 「はい。また」


 イーロウさんに別れを告げて七色の膜を通りぬける。 そこは出発前と変わらない私と煌夜の家だ。 


 「煌夜…… 」


 なんていうかコレは落ち込んでるのかな……? それともやっぱり具合が悪い?

取りあえず、 階段を上って寝室に連れて行く。 

 天蓋の布をかき分けて煌夜をベットの上に横にならせた。 そうしたら煌夜はまるでアルマジロみたいに丸くなってしまう。 思わずツンツン突いてみたけど、 一切反応がない。

 イーロウさんは放っておいてあげてと言っていたし、 暫くはこのままでいよう。

お腹が減ったけど、 何処に何があるかは分からないし…… 煌夜をこのままここに、 一人にしておきたくもない。 


 「傍にいるくらいは許してよね…… 」


 そう言って私は煌夜の傍に横になった。


次は再びイーロウに会いに。 煌夜は元気になるのか?

『廃棄世界に祝福を。』 も更新しましたので、 宜しくお願いします。

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