加護は万能です……よね?
済みません短めです。
初めての魔物との遭遇は大きな猫位のサイズがある鼠でした……。 でかいよ(泣)
最初は一匹だけだったの。
可愛いーって思った事もあったさ。 それが煌夜のライトニングでクロ焦げになった時には可哀想になったものです。 でも…… 断末魔の悲鳴が仲間を呼んだらしい。
十匹とか普通に怖いんですけどー!!!
ヤバイあいつ中型犬位のサイズある…… もしかしてお父さんなの?! お父さん鼠なの?!
「煌夜っ 煌夜?! ここは一番強いブレスを一発どうですか! 」
「阿呆か。 こんな森の中でブレスとか森を燃やす気か。 もれなく俺達も丸焼だぞ? 」
おうマジか。コミカルに丸焦げされた自分を想像しちゃったよ。
「ゴメン。 忘れて。 ブレス無し」
私は煌夜の小さな身体の陰に隠れた。 鼠の威嚇コワイ。
そんな私を尻目に煌夜は、 何匹かにスタンを掛けて残りにライトニングを落としていく。 手際が良い。それにしてもどうしよう。 鼠が焼ける臭いが香ばしい。 気の所為かお腹が減って来た気がする。
煌夜が最後の一匹を倒した後、 私は恐る恐る煌夜の陰から顔を出した。
幸い仲間はもう来ないらしい。 煌夜の頼れる感じが半端ない。 うぅ。 これからもずっと、 着いて行きます。
「やっぱりこんな雑魚じゃレベルは上がらんな。 しょうがない次いくぞ」
半泣きの私の頭を、 ぽんと叩いて煌夜が私の横を飛ぶ。
なんとなく心細くて、 手ぇ繋ぎたいとか思った。 飛ぶの邪魔になるだろうし流石に駄目だよね……。
「……… 疲れた。 肩貸せ」
そう言っていきなり煌夜が私の肩に横向きに腰かける。 私のテンションが一気に上がった。
ヤバイ。 抱きしめたいーっ!!! ってか抱っこ。 抱っこがしたいよぅ。 そんな感じで身もだえていると煌夜から冷たい一瞥が……。
「今、 不穏な事考えたろ。 却下だ。 お前、 俺を抱いて歩いたら確実に転ぶぞ? 」
「…… おっしゃる通りです。 よく分かったね…… ところで煌夜ってなんでこんなに軽いの?」
抱っこして転ぶリアル映像が頭に浮かびました。 今日ほど、 我が身の鈍くささを呪った事は無い。
それにしても煌夜。 身体が小型犬位の大きさがあるのに、 全然重さを感じない。 不思議。
「実際はもっと重いぞ。 身体が重いままだと飛ぶのも大変になるから、 グラビティの変化版みたいな竜の特性があってな。 体重が変えられる」
「なにそれいいなぁ。 それって体重測定の時、 重さをごまかせられるよ! っていうか最近太ったから、 体重減らさなきゃなんだけど」
素敵能力、 羨ましい。 最近三キロ程体重が増えてたんだよね。
「別に痩せる必要ないだろ? 俺は丁度いい体型だと思うけど」
良い子、 煌夜は本当に良い子だよ。 コレは本当に将来期待できる。 きっと凄く良いオトコに育つ事だろう。 いつか、 お嫁さんを私の前に連れてくるのかなぁ……。 ちょっと寂しい。
そんな事を考えていたら煌夜に尻尾で頭を叩かれた。
「今度は何考えてんだよ。 良いから歩け。 次の魔物と食料になりそうなもん探すぞ」
「はいはい。 分かりましたょ。 歩きます」
そう言って、 えっちらおっちら歩いて行くと少し開けた所に出た。 日が多く当たるせいかそこは小さいながらも綺麗なお花畑。
「綺麗だよ、 お花! 摘んで行こうよ煌夜」
「バカ。 すぐ帰る訳じゃないんだ。 萎れちまうぞ? 帰りに寄ってやるからその時にしろ」
「あぁ、そっか。 そうだよね。 じゃあ帰りに絶対寄ってね! 」
そんな感じで花畑を歩いていたら、 端にある岩の上に黒くて丸い魔物がいた。 私達が来た事で目を覚ましたらしいそれが、 顔の真ん中にある大きな一つ目を開く。 そしてその目が妖しい輝きを放った。
「おっ、 属性のスキル持ちか。 コイツは経験値期待できそうだな」
煌夜がそう言った瞬間――。
ピシリっ
『警告 : 異常無効のスキルの一部に軽微の損傷がみられました。 損傷がある為、 異常無効のうち精神異常無効が正常に作動できません。 現在受けたスキル混乱は無効にできません』
はっ?! はっ…… あ? あれ? 何コレ?
機械音声でそんな事を言われた瞬間、 頭に激痛が走る。 目の前の景色がブレて判別がつかない。
そのうち目の前が真っ暗になって――
ジジッ
夏 暑い―― 学校
ジッ
黒い ハコ 私の手――
ジッ ジッ
――開いて わ た し が ?
えいぞうが あたまのなかを かけめぐる なにこれ へんだよ あの はこ はなに?
たいせつなことをわすれてるの だめだよ わすれなさい おもいだしてはイケナイの。
なにを? ナニヲ?
ジッジジ ジジッ ジジジジジジジジジjjjjjjjjjjjjjjjjjjjjjjjjjjjjjjjjjjjjjjjjjjjjjjjjjjjjjjjjjjjjjjjjj
『ウソだろ。 ましろっ!!! 』
煌夜が何かを言っている。
慌てて私の髪を掴み走り出した私に追いすがる。
『あの野郎! 本当に殺してやるっ!!! 』
周囲の音が消える。 喉が震えて声をあげている気がするのにそれも聞こえない。
ココは嫌だ。 嫌なの。 タスケテ――
ポンコツ神様の加護に欠損が有った模様。 新しいお友達は、 煌夜sideから登場する事にしました。
短いですが、煌夜sideも今日中に追加予定です。
『廃棄世界に祝福を。』 も本日次の話を投稿しました。 そちらも宜しくお願い致します。