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子供扱いはしない方が良いようです。

煌夜は暫く外側ツンツンです。 デレはいつくるのか………。 ましろが最初からデレているのでお許し下さい。

 私の右手はふにっとした温もりのある何かを触っている。 左手はひんやりとした何か。 

何だろうこれ? 

 ちょっとゴツゴツしてて、 だけどツルっとしてて、 しかもちょっとザラっとしてる? 細長い……。

何だか良く分からないけれど、 両手ともに手触りは気持ち良い。


 ふにふにふにふに、 さわさわさわさわ、 ふにさわふにさわ、 ふにふにふにふに……


 「おいっ! いー加減にしろよ!! 少しは恥じらいを持て」


 顔面を叩かれた。 地味に痛いよぅ。

涙目で目を開けると、 ちっちゃなちっちゃな紅葉型の手が私の顔をペシペシと叩いている。


 ―― ほわぁ……。 これって竜の仔だぁ……。


 私を叩いていたのは、 私が横抱きにしてたが為に身動きが取れなかったらしい竜の仔だった。

私の右手が触っていたのは柔らかいお腹で、 左手が触っていたのはどうやら尻尾だったらしい。

 黒い金属質の鱗は光を反射して黒々とした光沢を放っている。

それより印象的なのは瞳だ。 星をちりばめた濃いアメジストの……。


 「煌夜ちゃん? そうだよね? この目、 間違いない」


 嬉しくなって満面の笑顔でそう言えば、 煌夜は怒ったように顔をしかめた。


 「俺が誰だか解ったようなのは良いけどな……。 『ちゃん』とか付けるな気持ち悪い。 それから腕重いんだよ。 離せ」


 「あ、 ゴメン。 えと、じゃあ煌夜クン」


 「…… 煌夜って呼べ」


 げんなりとした煌夜に「煌夜ね」 分かったと言ってから、 私は慌てて上半身を起こした。 

あそこにいた子供達よりは大きめだけど、 体に比べると大きい頭にぷくぷくとした手足、ぽてっとしたお腹をみれば煌夜は小さな子供だ。それなのに私の腕が体に乗っかっていたら、 さぞかし重かった事だろう。

 煌夜の脇に両手を入れて持ち上げる。 ゴメン重かったよね? と言って謝ったら思い切り尻尾で腕を叩かれた。


 「俺を子供扱いスンナ」


 いやー。 だって子供でしょ? と思ったけれど、 小さい子って子供扱いされるの嫌がる事もあるしきっと煌夜もそうなのかなって考えて、 羽毛を敷き詰めたようにフワフワしたベット? の上に降ろした。 それからもう一度ゴメンって謝る。


 「…… 絶対お前は理解してないだろうな…… メンドクセぇ」


 小さな手で、 頭を抱える様子はちょっと、 いやかなり可愛い。 

ひとしきりその姿を堪能した後で、 私は周りを見回してみた。 ここは何処だろう?

 円系の広いベットらしき物の上に今私達はいるみたい。 周りは天蓋になっているようで、 シフォン状の柔らかそうな白い布が幾重にも重なっていて外は見えない。 上を見上げれば大小様々な金色の星が細い銀色の鎖にぶら下がってキラキラと光っている。 多分、 これのお陰で周囲が明るいみたい。


 「綺麗だねぇ」


 「いくらなんでも能天気過ぎるだろ。 少しは危機感とか持たないと、 そのうち痛い目にあうぞ」


 煌夜に呆れたように溜息を吐かれた。 

なんか、 私の方が子供みたい? 煌夜ってしっかりしてるなぁ。


 「……… 本当は神のヤローが色々説明するべき事なんだけどな。 丸投げされたから、取りあえず説明するぞ? 面倒だけど」


 煌夜はヨチヨチ歩こうとしたけどベットが柔らか過ぎて上手く歩けなかったらしく、 ムッとした顔をしながら背中の小さな羽をパタパタ動して私の顔の前まで飛んだ。


 「その羽って小さいのに飛べるんだねぇ」


 私がじっーと見つめれば、 煌夜は少し居心地が悪そうにもぞもぞしている。


 「羽は舵みたいなものだ。 飛ぶのに必要なのは大気中の魔力」


 そう言って煌夜は後ろを向いて天蓋の布の方に飛んで行った。 私も煌夜の後を追う。 

歩くたびに足が埋まるので確かに歩きにくい。 シフォンの布をかき分けると、 シャラシャラと星が音を立てて鳴った。 天蓋ベットの外は半円の形の部屋だ。 部屋といってもこの場所は宙に浮いているような感じがする。 二階っぽい。 しかもこの二階、 壁がない。 

 ただ、 金色の蔦みたいな意匠の柵が、 部屋の端から鳥篭のような形で天蓋ベットを覆っている。 


 鳥篭の端から外を見ればここは沢山の木が寄り合ってドーム状の形を作っている場所みたいだ。

窓は無いのに部屋はとても明るい。 

ドーム状の天井にあるひと際大きな星がこの部屋に明かりを灯しているからだ。 


 煌夜が下に飛んで行ったので私も後に続く。 もちろん飛べないから鳥篭の出入り口から壁沿いに延びる階段を下りてだけど。

 

 下の部屋の中央には大きな切り株。 

その周りに小さめの丸太がイスみたく配置されてるから、 きっとこれがテーブルだろう。

 後は、 レンガで出来たかまど。 その横には白い石造りのシンクがある。 

コックの着いた蛇口があるから、 多分水もでるのかな? と言う事は、 お風呂とかトイレもあるだろうか。 ぜひともあって欲しい。 そう思ったけど、 残念ながらそれらしい物はなかった。


 煌夜はテーブルまで飛ぶと、 そのまま上に着地した。

私は慌てて煌夜を追いかけて、視線が合うように椅子に座る。


 「この部屋は異空間にある『幻の家』って名前の魔道具だな。 この部屋に入れるのは一緒に暮らしている者だけ、 だ。 この家の外の世界、 どこにいてもこの場所に帰って来られる。 逆に家から行ける場所は限られている。 マナという樹が生えている場所で行った事のある所にしか行けない。 マナの樹は大きな街には大抵あるな。 後は野生種の樹が数は少ないが生えているからその場所には一度行ったら行けるだろう」


 便利なんだか不便なんだか良く分からないなぁ。 

まぁでも行った場所が増えてけば便利なんだろう多分。


 「でもここ、 ドアとかないよ? それに今のところ行った事がある場所とかないけど…… 」


 「ドアはあるさ。 使う時だけ出てくるのがな。 確かにまだ行った事がある場所はないが、 今外に出たなら辺境の森の中に出るようになってる。 村はあるが、 半日は歩くはめになるはずだ。 俺はともかくお前にはまだキツイと思うぞ」


 煌夜にそう言われて考える。 私は歩くの嫌いじゃないし、 半日だったら頑張れば……?


 「それ位だったら―― 」 「無理。 道が無い所を歩くんだ。 森の中には獣や魔物も出る。 村まで行けると思うか? 」


 間髪いれずに却下されてちょっと吃驚したけど、 言われた内容を考えて私は慌てて首を振った。

 

 「確実に無理だと思いマス。 でもそれだと一生、 ここから出れる気しないんだけど……」


 普通ならな、 と煌夜が呟いて私のすぐそばまで歩いて来る。 そして、 私の左手の甲にちっちゃな右手を重ねた。 そこには見慣れない紋章があった。 煌夜が乗せた左手の甲にも同じ紋が描かれてる。

 ヘルメスの杖って分かるだろうか? あんな感じに尾を絡ませ合ったデフォルメされた二頭の竜。 それが丁度、 ハートみたいな形をしてる。 交差してる下の方には一対の小さな竜の羽、 そしてハート状になっている所の下の方には何かの葉っぱが二枚ずつ、 それぞれ左右対称に描かれていた。 ハートの中心には星型の………多分花? が咲いている。


 「契約紋だ。 俺とお前が契約で結ばれ繋がった証だ。 神のヤツが加護をくれると言ってたろ。 それの一つだと思え。 契約紋に反対側の手を乗せて『我はみる(セプト)』と唱えろ。 唱えるのは初めて接続する時だけだ。 後は、見たいと思えばいつでもコレが見れるようになる」


 煌夜がセプトと唱えると小さな左手から空中に透明なポップアップウィンドウが現れた。

横から覗いてみれば……


 

 『名前 : 煌夜

  属性 : 闇 雷 氷 重力

  体力 : ☆☆☆(青)

  魔力 : ☆☆☆☆☆(白)

  戦闘力 : ☆☆☆(緑)

  絆 : ??? ※任意設定によりブロックされています※

  加護 : ???

  称号 : ??? ※任意設定によりブロックされています※』


 

 う…… ん??? ステータス画面っぽいけど コレなんぞ? ☆と? しかないんですが?


 「えーっと、 ステータス画面だよねぇ。 体力とか普通数字じゃないの? コレって文字化け?? 」


 画面自体は透明な青で文字と? は白い。 ただ、星のマークには色がついていて体力の星は青で魔力の星は白、 戦闘力の星は緑だった。  


「いや。 面倒臭がりのヤツが作ったから数字じゃなくて星で問題ない。 星は力を表す。 星の数は5つで最大だ。 色は赤、 青、 緑、 白、 黒、 銅、 銀、 金、 とあって赤が一番弱くて金が一番強い。 赤の星が五つになってレベルが上がると次は青の星一つになる。 ? になっている部分は俺とお前の絆…… 信頼度みたいなものが足りなくて見れないのが一つ。 後は俺が見せる気ないから隠してる」


 面倒臭がりのヤツって神様の事だよねぇ。 さっきから気になってたけど、 煌夜って神様嫌いなんだろうなぁ……。 なんでだろう。

 うぅ。 信頼度か…… 出会ったばかりだもんね、 私の名前呼んでくれる気配ないし…… はぁ、 煌夜に早く信頼して貰えるように頑張ろう。

 

 「セプト」


 煌夜に促されて私もステータス画面を出してみる。


  

  『名前 : 神薙 真白

   属性 : 癒 光 地

   体力 : ☆☆(青)

   魔力 : ☆☆☆☆☆(白)

   戦闘力 :☆(赤)

   絆 : 駆け出しパートナー

   加護 : 幻の家使用権 自動治癒 成長促進(パートナー含む) 

        言語、 文字自動変換 死亡回避 

        ランダム幸運  魔力回路増設 魔力付与  

        異常無効(毒、 精神異常) 精神プロテクト 

   称号 : 黒竜の?? 異世界転移者  

        ※黒竜の?? が解放されていないため、 称号による効果を得る事ができません※』


 

 私の星の色は体力が青、 魔力が白、 戦闘力…… 赤。 魔力以外まだ小さな煌夜よりも低いとか。

私どれだけ貧弱なの。 私が煌夜を守らなきゃとか思わなくて良かった。 これだと守って貰わないとアカンやつだ。 うわー、 私って完全にお荷物。

 

黒竜の?? ある程度予想のついている方もいるかとは思いますが、 重要部分です。 ココが解放されるのはまだ先の予定。


廃棄世界に祝福を。 も次話投稿しました。 合わせて読んで頂ければ嬉しいです。

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