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煌夜side

題名通り煌夜くん視点です。

 馬鹿みたいだ。 どいつもこいつも、 やって来る女達に媚を売る。 事情は分かってるさ。 生き残る為だ。


 俺達のカミサマはものぐさで、 世界を育てるのが下手だ。 種を続けさせるのが特に下手。 それで俺達はここにいる。 ココは各々の世界で一人だけになってしまった種の雄だけの部屋だ。 絶滅危惧種…… というか、 ほぼ絶滅って言う状態は神様業務の査定に響くらしい。 絶滅させない為に俺達はここに集められた。 

 絶滅させない手助けをさせるために神の野郎は適性を持った女達を召喚してここに連れて来る。 この部屋にいるあいつらが女達にすり寄るのは、 自分の種を存続させるために女達の協力が必要だからだ。 

 だけど!


 俺はプライドを捨てて女達にすり寄るなんてできなかった。 馬鹿だって理解はしてる。

どっちにしても俺はあいつらみたいにフワっフワじゃないし、 目付きもあまり宜しくなくて、 口が悪いって言われる。 ここに来た女にキツイ事を言って泣かせた事だってあるしな。

遂には他の連中からは邪魔者扱い。 

 だから、 もういいやって思ってたんだ。 どうせ誰からも好かれないし。 ご先祖様には悪いけど、最後に残ったのが俺だった事を呪ってくれって。 元々嫌いな神の野郎の為になるのも腹立たしいしな。


 そう思ってたんだ。


 新しい女がきた。 俺はもう面倒だから部屋の隅で姿を隠して寝てた。 そうしたら普通、 カワイイあいつらのなかから選ぶだろ? なのにアイツは隠れていた俺の傍に来たんだ。 


 ましろ。 そう名乗った。


 ふわふわの黒い髪だ。 肩まで届きそうな髪は一カ所だけくるんと外側に跳ねてる。 まじまじと俺を見る目は大きく黒い。 色の白い肌に卵型の顔。 多分可愛い。 多分だけど。 


「君、 私のパートナーになってくれないかなぁ? 」


 コイツナニイッテンノ? 俺は思わず立ち上がって凍りつく。 だっておかしいだろ? あいつらは俺の事悪く言ったはずだ。 こんな隅っこで隠れて姿形も分からない、 ましてや俺、 話す気なんてなかったしな?!

直感ってなんだ? 意味分からん!! 部屋のそこここから、他の奴等の悲鳴が聞こえる。


 そして神の野郎が名前を付けろと言っているのが聞こえて俺は我に返った。

ましろが真っ暗な場所にいた時から俺は遠見の術で神の野郎とましろのやり取りを見てた。 だから俺はあの野郎がましろに何をしたのか思い出して――。


―― おい! 感情弄ったまま放り出す気かよ!


俺が思わず睨みながら頭の中でヤツに話しかけると、 馬鹿にした感じで神の野郎は言った。


―― 良かったじゃないか。 お前なんかを選んでくれる人間はこれから出ないかもしれないんだ。 大人しく彼女を連れて来た僕に感謝して黙ってろ。


―― お前がした事に対する恐怖や悲しみなんかを全部感じないようにさせたままで、 ろくな説明もせず放りだすのは公平じゃねーだろ。 後で、 感情の封印が解けたらどうすんだよ!


 俺はイライラとしながら、 睨みつける。


―― だってお前、 泣き叫ばれるのって面倒だろ。 この方が無駄なく穏やかに事が進むんだ。 楽じゃんか。 後の事なんて知らないよ。 お前が何とかすればいいだろ。 万が一精神が崩壊したって、 お前にとっては何の問題もないんだからさ。


 アイツの物言いに俺の腸が煮えくりかえる。


――……マジで死ね!!! お前なんか 殺 して や る!!


 そんな中、 神の野郎に催促されて、 ましろが俺の名前を呼んだ。 煌夜って。


―― あはは(笑)お前に僕が殺せるハズないでしょ? お前の種の評価が高くなければとっくに廃棄できたんだけどねぇ。 ま、 先の事なんて分かんないけど、 精々パートナーと仲良くしてね? 


 煌 夜 ク ン ♪


 視線だけでコイツを殺せたらいいのに。 俺の想いだけであいつを殺せたらいいのに!!


 あいつが俺の身体を掴んで、 ましろに押し付けた。 一瞬戸惑ったようだったけれど、 ましろは優しく俺を抱きしめてくれる。 

 頭の血管が切れそうな位腹を立ててたのに、 一瞬にして別の何か訳の分からない感情が俺の中で荒れ狂う。 温かい腕の中で俺は馬鹿みたいに戸惑った。 こんな温かさ俺は知らない。 きっと、 こんな部屋の隅で丸まっていた俺をパートナーなんかに選んじまった…… ましろはとても優しい。 

それなのに、 諸悪の根源に何もできない俺はとてもとても惨めだった。



結局、私の中でキリが良い所まで書いてしまいました。 本日の更新はこれにて終了ー。

このお話とは関係ない話ではありますが「廃棄世界に祝福を(仮)」を近日中に上げる予定です。

そちらも宜しかったら読んでやって下さいませ。

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