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またまたアイテムがご入り用なようです。

お兄さんの目的が明らかになった所で……。

 

 『困ったね。 取り敢えず、 子供達に調べさせてはみるけど。 後は、 各大陸の長に連絡したほうがいいよねぇ…… 』


 イーロウさんがそう言って腕を組んで考え始めた。 世界の危機と言うのなら、 疑心暗鬼が蔓延する前に事の次第を共有すべきだとイーロウさんはそう話す。 

 闇の民への誤解は少ない方が良いはずだろう。 民心は不安によって暴走する事がある。

例えば魔女狩り、 あとは伝染病―― 病気が悪魔や何かのせいにされていた頃、 閉じ込められそして……

 殺された。 このまま不安だけが先行すれば闇の民が私刑リンチされるような事が起こるかもしれない。


 「俺達、 闇の民が話に行くのでは信用されまい」


 タナトスさんが苦々しい顔でそう言った。 既に信用されていない状況では皆、 疑ってかかって話すら聞いて貰えるか怪しい。


 『だよね…… うちの子達にも不安があるしなぁ…… 』


 イーロウさんが言うには、 一人は引きこもり、 一人は短気で交渉事に向かず、 一人は眠っていて、 もう一人はふらりと現われる以外は音信不通、 最後の一人は人見知り…… らしい。

孫はまだ小さいから論外だそうで―― まぁ連絡役にするには不安しかないよね? 


 「なら、 私とコーヤが冒険者の登録をしたら? 異世界からの来訪者は保護対象なんでしょう? 少しは話を聞いて貰えないかな」


 確か、 冒険者の登録が終われば、 各大陸フリーパスなんだよね?

異世界からの外界渡航者だっけ? なら保護してくれるって言う位だから無碍にはされまい。 多分。


 『あぁ―― 確かに、 アリかな。 異世界人ならオウサマと面会できるかもしれないし』


 おう? オウサマですか? いやその面会はちょっとハードルが高い気がするけど…… いやいや、 こうやって知り合ったタナトスさん達、 闇の民の人達の為にも…… もちろん、 私が暮らす第2の故郷になるはずのこの世界のためにも頑張るべきだよね?


 「…… ナギ。 それにはレベルを上げてこの森を脱出しなければいけないんだぞ? 」


 「まぁ…… そうなんだけど…… 」


 煌夜にそう言われて、 現実を思い出した。 そう言えば、 レベルが足りなくてここで立ち往生してたんだよね。 うわぁ。 早くレベルを上げなくちゃ……。 けど、 宝石種モンスターを見つけない限り効率的なレベル上げって期待出来ない気がする――。


 「脱出だけなら、 俺が手伝えば可能だが。 それより街に出るなら、 コーヤとナギはその格好をどうにかしなければまずかろう」


 タナトスさんが何でも無い事のようにそう言って私と煌夜の顔を見た。

タナトスさんにも一目で異世界人ってバレたからねぇ。 確かにその対策は取らなきゃいけない。

 けど、 煌夜にも必要?


 「私はともかくコーヤもですか? 」


 「この世界に闇属性の竜はいない」


 きっぱり言われて驚いた。 イーロウさんも何にも言って無かったから、 煌夜と同じ属性の竜がいるって勝手に思ってたよ! 


 『あぁ! そう言えばそうだねぇ…… この世界の竜は皆、 僕とレーンの子供や孫だから…… 地属性の竜と水属性の竜しかいないね。 コーヤは見ただけで地属性じゃないのが分かるから、 ナギと一緒で見た目を変えなきゃだ』


 …… この世界の竜ってイーロウさんの一族しかいないって事か……。 イーロウさんは見た目からすると地属性っぽいから奥さんが水属性だったのかな。 

 いつか、 煌夜が結婚したらこの世界に闇属性の竜の子が産まれるんだ…… イーロウさんの孫とかと結婚するんだろうか…… なんか…… 嫌だ。 もやもやする……。

 少ししょんぼりした気持ちになってたら、 煌夜が飛んで来て私の肩に座ってくれた。

もしかして、 私が寂しい気持ちになったのに気がついてくれたのかな?


 「ナギ、 風呂はまたお預けになりそうだな…… 」


 「…… いいよ。 しょうがないし…… 」


 意地悪そうに煌夜が笑って言った。 むう。 これだけを言いに私の肩に来たのか……。 

いいですよ。 別に。 お風呂が無くても死なないもん。


 『取り敢えず必要なのは『変化の首飾り』 かなぁ…… 』


 「首飾りだらけになっちゃうね…… 」


 イーロウさんに言われて煌夜の首元を見た。 私が煌夜に貰ったネックレスは小さいからまだ良いけれど、 煌夜の首にしてる『異空間の首飾り』 は大きいので、 もう一つ首飾りをするのは首が大変な事になりそうだ。


 『んー。 だったら『変幻の腕輪』 か『蜃気楼の指輪』 かなぁ…… 』


 イーロウさんが思い出す様にして呟く。


 「なら『変幻の腕輪』 だろう。 『蜃気楼の指輪』 は装着者の上に幻影をかけてるだけなので揺らぎが出る事がある。 『変幻の腕輪』 は装着者が設定した外見に見えるように相手の視覚にスキルをかける――。 流石に、 邪眼持ちには効きませんがね。 そんな加護持ち相手なら、 大抵は看破されるからそこは考えるだけ無駄だが」


 タナトスさんがそう説明してくれる。 姿を変えると言っても方法は色々あるらしい。

タナトスさんの言葉にイーロウさんもうんうんと頷いた。


 『確かにそうだね。 『変化の首飾り』 は髪の色と目の色が実際に変わるから良いと思ったんだけど…… 『変幻の腕輪』 なら、 とりあえず服も変えて見せられる』


 実際は変わってないんだけどね、 とイーロウさん。 

けど、 見た目を変えて見せれるならそれに越した事はない。 こちらの世界の服を手に入れるまでの繋ぎにはなる。 


 「冒険者になるなら、 服は実際に着て着心地や動きを確認した方が良いからな」

 

 タナトスさんがそう言って笑った。 服にも色々あって、 自分に合って無い物を着ると動き難いそうな……。 普通に生活する分にはそれでも良いけれど、 冒険者として世界を巡るなら「動きにくい」 と言う事が時には致命傷になる事があるんだって。 まぁ、 確かに走りにくい服で魔物の攻撃とか避けれる気はしないね。


 『うん。 そうしたら、 コーヤとナギにはまず『変幻の腕輪』 を手に入れて貰おうか。 僕は持ってるアイテムの中から、 ナギ必要なアイテムを探してみよう…… 『蓑虫の寝袋』 とか必要だと思うんだよね』


 少しワクワクしたようにイーロウさんがそう言った。 蓑虫? いったいどんな寝袋なんだろ。


 「街まではどれ位かかるんだ? 」


 煌夜がタナトスさんに確認するようにそう言った。 タナトスさんが考えるようにして空を仰ぐ。


 「探しながら来て、 ここまで6日かかった。 ナギを連れて真っ直ぐ行くとして…… 3日、 いや4日かといったところだろうな」


 6日間、 森の中で野営しながら来たそうだ。 こんな所で毎日えっちらおっちらしてる私とはエライ違いだ。 


 『最短距離の道を教えてあげるよ。 そうしたら多分3日で着く』


 イーロウさんがウィンクしながらそう言った。 その道がどうか、 坂とか崖とかない道でありますように……。 1日短縮できるのはとってもありがたい。


 「チナちゃんはどうしよう…… イーロウさんと一緒にいる? 」


 『チナは3日間は僕が預かるよ。 けど、 それ以降は名付けたナギの傍にいるほうがいい。 君に一番懐いているしね』


 街に着けば、 マナの木が必ずあるから迎えに来れば良いよ、 とイーロウさん。 その言葉にコクコクとチナちゃんが頷く。

 愛称とはいえ名付けって結構特別らしい。 名付ける事によって絆が産まれるんだって。 

シロガネさんと繋がれない今、 チナちゃんと唯一絆がある私がいわゆる精神的な支えみたいなものになってるらしい。 3日位ならギリギリ大丈夫だけど、 一週間も離れてたら不安定になるようだ。

 コレは絆を結び立ての頃に良くあるようで、 お互いが信頼できるようになれば安定するようだ。 

―― 何気に名付けは責任重大でした。 


 「では、 準備が整い次第出発するという感じでいいか? 」


 「そうだな。 まずは『変幻の腕輪』 を手に入れる所からだ。 …… もし、 街に行く途中で魔物に会ったらできるだけトドメは俺が刺したい。 少しでもレベルを上げたいんだ」


 タナトスさんに確認されて、 煌夜が頷いた。

確かに、 レベルは少しでも上げたい。 私の体力とかまぁ色々、 紙装甲だしね。 私的には足手まといな現状から少しでも早く脱出したい所だ。 

 それに世界中をまわるんなら、 少しでも強くなったほうが良い気がした。


 「構わない。 ついでに素材になる物があれば剥いで行こう。 街で換金すれば、 服ぐらいは買える」


 タナトスさんが、 そう現実的な指摘をしてくれた。 素材剥ぎ! ゲームっぽいな……。

できれば、 防具や武器も揃えたいらしいけど……。 私、 武器は使えないと思いマス。 

 こんな事なら、 剣道とか居合いとか…… なんならフェンシングでも習えば良かった。

…… 弓道とかアーチェリーでも良いけど。


 「武器ね…… ナギには荷が重そうだけど、 街に行くなら一応何かあった方が良いよなぁ…… 牽制位にはなるし」


 煌夜がそう言って私を見る。 うぅ。 煌夜の視線が痛い。 

武器を持たせたら自分を刺しかねないって視線でうったえられてる気がするのは、 間違いだろーか。

 可能性は高いですけれども! そりゃ、 刃物なんて包丁しか持った事ないよ!! 

あぁ、一応料理は得意です。

 両親が共働きなもんで、 特に母が病院でヘルパーさんしてるもんだから夜勤とかで朝いない事もあったんだよね。 そういう時の家族の朝ご飯とお弁当づくりは私の仕事です。

 

 「遠距離武器が使えればいいんだがな」


 タナトスさんがそう言って私の方を見た。 遠距離って言うと、 弓系とかパチンコとか? 後は投げナイフ位しか思い浮かばない。


 「確かに、 近距離攻撃は絶対にできないと思う」

 

 「…… 」


 やけにキッパリと煌夜に言いきられて、 思わず不満そうな顔をしてしまった。

一応分かってはいますよ? けど、 そんなにキッパリ言う事ないと思うんだ。 


 「そんな顔するなよ。 だって無理だろ? 魔物の傍に行って攻撃するのとか。 そもそも力がないからスッ飛ばされるぞ? 」


 現実を突き付けられて返す言葉がありません。 今まで戦った(私は逃げ惑った) 敵を思い出しても近距離攻撃? 絶対できない。 万が一できたとしても、 煌夜の言うようにスッ飛ばされる未来しか思い浮かべられなかった。

 はぁ、 せめてもう少しまともにスキルが使えればいいんだけど……。 練習…… しようかな。 街につくまでに。


 「まぁ、 武器の方は何か良い物がないか俺も調べてみるさ」


 カタログの中でな、 と私にしか聞こえない囁き声で煌夜が言う。 あぁ、 確かに武器の項目もあった気がする……。 私に使えるような良い武器あるかなぁ…… 少ないポイントで。

 そもそも、 『変幻の腕輪』 が手に入るかどうかが問題だけど。 あぁ…… ポイントが足りますように……。

 

 ましろと煌夜の街行き決定しました。 ましろに扱える武器がカタログさんに果たして存在するのか……。 あるといいね?

 それよりポイントが足りるのだろうか。

次回はちょっと煌夜sideが入ります。 ましろのネックレスの紐の正体が明らかに(笑)


 『廃棄世界に祝福を。』 も更新致しました。 そちらも宜しくお願いします。



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