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神様が言う事にゃ

題名等からネタが割れてた部分までをアップしました。

 

 「いやー、ごめんごめん。 ちょっと君がいた世界消えちゃって」


 なんだろ、 待ち合わせ遅れてゴメン位の気安さで男の子が現れた。

ピタっとした白いTシャツにダボッとした七分丈の白いズボン。 裸足で、 金髪ツンツン頭。

 青い目をしたその子は宙に浮かんで、 片眼を瞑って顔の前で両手を合わせて笑っていた。

気付けば真っ暗な世界は何処かに消えて、 穏やかな金色の世界にいた。


 「はじめまして神薙かんなぎ 真白ましろ僕は神様だよ! 」


 私はポカンとその子を見上げた。


 「まぁ、 そうなるよね? とにかく軽く説明するとね? 君が拾ったあの箱、 虚無の箱っていってさぁ。 まぁ、 あの箱を開けた事で入ってた虚無が君がいた世界を飲み込んじゃったんだよね? で、 箱を持っていた君だけが生き残ったんだけど…… 」


 ここまでは理解できた? ってニッコリ笑われて私は息を飲み込んだ。


 ―― は? それって…… 私が世界を……?


パチン


 理解して、 悲鳴を上げようとした瞬間、 恐怖が不安が、 それ以外のナニかが消えさる。

ううん。 そこにある気がするのに膜に覆われて良く分からない物に さ れ て ……。


「はいはいーそこ気にしない! まだ、 話は続くんだからサ。 箱を開けちゃったのは君なんだけど、箱を落としちゃったのは実は僕でね? 友達からは消した世界作り直せって言われたんだけど、 ビックバンからやり直すとかメンドイじゃん。 だからさ、 まぁ君にはあの世界を諦めて貰って、 僕の管理する別の世界で生きて貰うことにしました! 」


 神様の背後に花火が上がる。 嬉しいでしょ? 嬉しいよねって神様が目の前までやってきた。 若干引き気味で後ろに下がる私の顔を見た神様に、 突然顔を両手で掴まれる。 


「ふわぁ。 こんなことってあるんだねぇ? 君、 僕が召喚しようとしていた人材にピッタリだ。 ふん。 平行世界に行って貰おうと思ってたけど、 やーめた。 ちょっと、 君がいた世界とはまったく違う世界に行って行って貰う事にするよ。 その代わり加護を付けたげる。 僕は簡単に加護を与える方じゃないんだ。 感謝してよね」


ニヤリと嗤った神様が、 私の顔から手を離す。 また パチン と音がして私は小さな部屋にいた。


―― 子供部屋?


 あまり大きな部屋じゃない。 学校の教室位の大きさの部屋だ。 天井からはキラキラした星がぶら下がっている白い部屋。


「後は、 パートナーを付けてあげる」


 神様のその言葉に私の足元に色とりどりの毛玉が群がってきた。


「神様! このお姉ちゃんが、 そうなの? 」

「わーい! ねぇ、 僕を選んで」

「だめだよ! 僕だってば! 」


 零れそうな大きな目。 まだ子供なのだろう。 ふくふくとした体。 犬みたいな子や鹿みたいな子、猫みたいな子や虎みたいな子が尻尾をぶんぶん振りながら私に抱きついて来る。 羽が生えていたり角があったりするから魔獣とか幻獣とかになるのかな。 でも多分だけど同じ種族の子はいないみたい?

 しかしなんと言っても……。


「か、 かわいーっっ!!! 」


群がる子供達。 私はしゃがみ込んで抱き締めてモフモフもふもふ。


「気に入って貰ったようで良かったよ。 あぁ、 皆。 彼女の名前は真白だよ。 君達が待ち望んでいた人間だ。 真白、君にはこの中から 一人 を選んで貰ってパートナーにしてあげる」


「わ! ありがとうございます!! 」


 ニヤニヤと笑う神様にお礼を言って私は蕩ける気持ちで子供達を撫でた。 毛触りが果てしなく気持ち良い。 癒されるよ。 本当。 私の膝の上や肩の上、 果ては頭の上にも乗っかってチビさん達が「僕をかまって」状態ですよ。 私モテモテだね! いかん。 落ち着け私!!


 そんな中、 私はふと部屋の隅が気になった。 なんだろう? あそこだけ暗い……?

行ってみようと膝に乗っていた猫みたいな子(水色で透明な翅が生えてる)を床に降ろして立ちあがろうとすると、 真っ赤な犬みたいな子(額に金色の石が嵌ってる)に制服のスカートを引っ張られた。


「真白。 駄目だよあんな奴。 ずっと残り物のヤツなんか放っておいて僕たちと遊んで! 」


「…… あそこにも、 いるの?? 」


 他の子たちに口々に引きとめられて、 私は逆にその子の事が気になってしまった。


「ごめんね。 やっぱり気になるから、 あの子にも挨拶しに行きたいの」


 そう言って立ちあがると、 私は部屋の隅に向かった。

歩いて行く私に不満そうな子達が、 あの子は性格悪いよとか暗いよとか言われたけれど、 そっかぁ、でも話してみたいのと言うと諦めたようにその場で立ち止まってしまった。 縋るような目で私を見てくるから、 正直ちょっと後ろ髪を引かれるんだけど。 視線がちくちく痛い。

 そんな私の後ろを興味深そうに腕組みした神様がついて来る。

部屋の隅に辿り着くと、そこにはただ闇があった。 正確に言うならそこだけ切り取ったように闇に閉ざされてて、 そこにいるらしい子の姿は全く見えない。


「はじめまして、 こんにちは。 う、ん? こんにちは、 は変かな。 私は神薙 真白っていうの。 宜しくね? 」


 しゃがんでにっこりと笑ってみる。

瞬間、 ぱちりと目が合った。 濃いアメジストの瞳、 その中にキラキラと金色の星が瞬く。


「夜空みたい…… 綺麗な瞳だねぇ」


 なんだろう。 自分でも意味が分からないけれど、 私はこのちょっと目つきが悪そうな綺麗な目に魅せられた。 隅っこでたった一人。 おそらくはここで友達とかもいないであろうこの子。 

 いきなりこんな所に連れて来られて、 たった一人になったと言われた私。 姿形も分からなければ、口をきいてくれないから性格だって分からない。 けど、 なんでだろう私は 彼 が良いのだ。


「君、 私のパートナーになってくれないかなぁ? 」


 そう言った時の周りの反応は凄かった。 神様は目を見張り、 他の子達はこの世の終わりと言わんばかりの悲鳴を上げた。

そして、言われた当人は思わず立ち上がって「は? 」と一言いったまま凍りついている。

一番初めに正気に返ったのは神様だった。


「本当にその子でいいの? 普通は暫く時間を掛けて話したりしてから決めて貰ってるんだけど」


「はい。 私も上手くは言えないんですけど…… 直感っていうか」


ふうん。と呟いて神様は暗闇の中にいる子を覗き込んだ。


「良かったじゃないか。 お前がここ、 一番長かったしね。 あぁ、 真白。 君はこの子にお願いをしていたけれど、 その必要はないよ。 君が選んだ、 それだけが必要なんだ。 正直ろくに話しもしなけりゃ、 姿を隠してるソイツを選ぶとはさすがに思わなかったけどね。 さぁ真白。 これに名前をつけてくれ」


そうすれば、パートナーの契約は完了だ。 そう言って神様はニッコリと笑った。

気のせいかな? 凍りついた状態から再起動したらしい、 あの子が神様を呪い殺さんばかりに睨んでる気がするんだけど。 不審げにその様子をを見る私に神様が名前を催促して来る。


「う、ん…… じゃあ煌夜こうやかな? 」


あの煌めく瞳に夜空を想った。 だから。


「ふむ。 煌夜ね。 了解したよ。 じゃあ、 後の事は煌夜に教えて貰って? 異世界生活満喫してねー♪ 」


 神様は楽しげに手をあげると、 姿を隠したままの煌夜を私の胸に押し付けた。 金色の光に包まれて身体が宙に浮かぶ。 涙に暮れる他の子達を残して私の意識は光に溶けた。 

真白ちゃんは基本即決の人です。

私はうだうだ迷うほうなので、すぐに決められるのは羨ましい。

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