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『波間歌集』  「タザリア王国物語」より

ベトゥラの森

 凍えた敷石を裸足で走る

 窓の隙間から忍び込む雪

 嵐は過ぎる気配もなく

 わたし達は互いを抱き合った

 夜が本物の夜だから

 わたしの躰は震えてしまう


 囁き声 (もみ)の木は沈黙しているのに

 足音 馴鹿(トナカイ)すら眠りについたのに


 かすかな松明(たいまつ)の灯火だけが

 主の最後の恩恵でしょうか

 吸い取られる温もりを

 せめてあなたに残したい

 どうか どうか


 涙は頬を焦がすごとく流れ

 鼓動と吐息だけが闇を打つ

 嵐は激しく吹きすさび

 わたし達はせめて冗談を言う

 夜が凍りついてしまったから

 わたしの躰は感覚を失っていく


 揺れる影 幻影かもしれないけれど

 木菟(みみずく)達 羽ばたきは遠ざかっていく


 かすかな松明の灯火だけが

 主の最後の恩恵でしょうか

 吸い取られる温もりを

 せめてあなたに残したい

 どうか どうか



アンブロシアーナ作『波間歌集より「ベトゥラの森」』


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