月
夜になりそこないの空みたいに
僕は斑らになって歩く
気になって見上げるあやしい色
何かが飛び出すような
青い雲と紺色の空の狭間から
金色が躊躇う
情け無いように
僕は胸を零してく
月だ
刹那にむせる雲
少しずつ空に同化した
月よ
ああ なぜキミは何も言わないのだ
すべてを見透かしたように白く薄く
冷たくも温かくもなく
温度を感じないのだ
けれど月よ
なぜ息差しを感じるのだ 震えるのだ
なぜ蒼き光を放つのだ
かなしみもよろこびも越えてしまったように
淡く弱く脆く 濃く強く硬く
啜り泣いているように 微笑んでいるかのように
月よ
僕は今 解き放たれることはなく
日常に同化して そして時に
太陽を浴びるささやかな花を見つけて
笑うかもしれない
だからこのまま 佇むこともせず
歩くよ 月夜