第4話
受験勉強中、瑠奈ちゃんとはたまに外で会って息抜きしていたけど、どういうわけか悠ちゃんとばったり出くわすことが多かった。
悠ちゃんはいつもひとりで、せっかく会ったんだからと結局3人で遊んだり、食事に行ったり。
で、いつもよりさらに距離が近かったり、さりげなく腕や肩に触れられたり…。
だ~か~らぁ~
そういうの変にドキドキして困るんだってば~!
英国仕込みのエスコート癖がついちゃってるんだろうけど!
となりに女の子がいたら誰にでもそうしちゃうんだろうけど!
純日本人で、おまけに男の子に免疫のない私は、そういうのホントダメなの!慣れないの!
おまけに一緒に街を歩いてみて再認識させられた。
どんだけ女子の視線独り占め状態なんですか!
とにかくみんな振り返る。
顔を赤らめて目はハートになっている。
彼氏と一緒の子ですら、引き寄せられるように悠ちゃんを見てる。
はぁ~。
この王子様は一体どんだけの女子を虜にすれば気が済むんだ…。
って、好きでモテてるわけじゃないみたいって瑠奈ちゃんは言ってたけどさ~。
ん??
でも、、そういえば、こんだけモテるのに悠ちゃんに彼女いたとか聞いたことないなぁ。
今だって彼女いたら、休みの日に妹とその友達と一緒に過ごしたりなんかしないよねぇ?
よっぽど理想が高いのか……それとも好きな人がいるのか……。
――悠ちゃんに好きな人……??
あれ? なんか今胸がモヤモヤした。
う~~~ん。なんだろ? これ。
そして春。
私、早瀬美希は晴れて高校生になった。
あれから受験勉強もかなり頑張り、東高校に無事合格。
新入生代表挨拶をすることとなり、どうやら首席で合格したようだ。
びっくりしたけど、うん、けっこう頑張ったもんね。
そして、その入学式で、私はそこにいるはずのない人物と遭遇して呆然とすることになる。
東高校入学式当日。
少しの緊張と期待を抱きつつ、まずは教室へ入る。
当然のことながら、教室にはたくさんの男の子がいて、小学校以来のその光景にやっぱり慣れなくてぎくしゃくしてしまう。
「ねぇねぇ、私、さっきすごい人見たんだよね!」
黒板を見て自分の席につくなり、近くの席の女子2人の興奮したような会話が耳に入ってくる。
「靴箱のところでたくさんの女の子に遠巻きに見られてる先輩いてね! それがもう、超かっこいいの! リアル王子! あんな人が東高にいたとか、もう夢みたい!」
「えっ! ホントに? 私も見てみたい! 先輩なの? 何年生??」
「靴箱の位置からして、3年生だと思うよ。あんな目立つ先輩なんだもん。すぐ見つけられるよ、きっと!」
そっか…学校に男子がいるっていうのは、こういうことかぁ~。
憧れの先輩とか、中学でも女同士できゃあ~なんてやってたけど、その対象が男の子になるのかぁ~。
でも、今の会話の先輩って、、な~んか悠ちゃんのことみたいだったなぁ。
悠ちゃんより王子様なのか、ちょっと興味あるかも?
っていやいや、悠ちゃん以上の王子様なんてそうそういないでしょ!
時間になり、入学式のために並んで体育館へ。
私は新入生代表挨拶のことが頭から離れず、脳内リハーサルを繰り返しながら入場したので、20人くらいいる、在校生代表の席の中からジッと見つめられていることにも、そちらを女子がチラチラ見ながら目を丸くしているのにも気付かなかった。
新入生代表挨拶の大役を終え、ホッとして壇上から降りようとしたまさにその時、ありえない人を視界に捉えた私は、驚きのあまり階段を踏み外しそうになった。
なんとか無事に自分の席に戻れたが、ちょっと、どういうことかわからない。
混乱して思考がついていかない。
なんで? どうして!?
在校生の席から微笑んでこっちを見ていたのは、見間違いようのない王子様、悠ちゃんその人だった。




