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第37話 王子様と私のその後13

う~~わぁ~~~!!

今まで見た黒い悠ちゃんの中でも、一番怖いかもしれない!!

両肩にがしっと悠ちゃんの手が置かれ、痛いくらいの力で掴まれている!

正面から私を見つめるその目は暗く陰り、さっきまでとは別人のよう……!


「俺から離れる……? なんだよ、それ。 視野を広げて、俺以外の男も知りたくなったのか? そんなの許せるわけないだろう。 先週、気持ちが通じ合った時に言ったはずだ。もう一生、絶対離さないって。――忘れたなんて、言わせない」

「ゆ、悠ちゃん……? イヤ、その、そんな大げさなことじゃなくて、ね……?」

「たとえ、少しの間でも、離れるなんて絶対許さない。美希が側にいない生活なんて、俺にはもう考えられない。――それとも、しばらく顔も見たくないほど、俺の事がイヤになった、の、か……?」

その言葉を口にした途端、悠ちゃんの顔が苦し気に歪んだ。


「俺が、あんなことをしたから? ――そんなに、イヤだったのか……?」

両肩を掴んでいた腕が離れ、力なく下ろされる。

私を見つめる暗く陰ったその目が、徐々に強い光を帯び始めて、その視線に囚われたように目が逸らせない!


「――美希は、俺の気持ちを見くびってるよ? そんな簡単に俺が離れてくれるとでも思った? ……悪いけど、美希がどんなに泣いても、どんなに嫌がっても、絶対離れないよ?……そう、絶対に、ね!」

「ゆ、悠ちゃん……?」


なんだか、悠ちゃんの様子が……変?

突き刺さるような強い光を帯びた目で見つめられ、身動きも出来ない。

でも、その目の奥には緊張や焦燥が見て取れて、かつてないほど余裕を失っているのがわかる。

なんか、これ、ちょっとヤバいんじゃ……?


「それでも、美希が俺から離れようとするんだったら……。 仕方ないね? その時はどこか遠くに2人で行って、そこで誰にも邪魔されずに過ごすのもいいよね? どこがいいかな? やっぱり誰も近付けないような人里離れた場所がいいよね? 家族や友達にはもう会えなくなるけど……大丈夫。 俺がずっと側にいて、全力で愛して、寂しい思いなんてさせないから……ね?」


フフっと笑ったその目は、どこか狂気を孕んでいて……!

やっぱりヤバい!!

いつか言ってた暴走が、今まさに起ころうとしているかもしれない!!

な、何とかしないと~!


悠ちゃんとしばらく離れて、視野を広げて~なんて、呑気なこと考えてる場合じゃなかった!

悠ちゃんは本気だ!

疑いようもないくらい、本気で私を監禁する気だ!!


その狂気を孕んだ目の奥で、優秀な頭脳を駆使して私を監禁するまでのプランを綿密に計画している様子が容易に想像できて、焦りと恐怖で全身に震えが走る。

今の悠ちゃんを止めるためなら、もう何だってするよ、私~~!!


「わかった! わかったから、落ち着いて! 離れるなんてもう言わないから! ねっ?」

その一言で、危ない目つきはかなり軽減された。

「――本当に? 絶対離れないって約束できる?」

絶対って言葉に、うっ……っと一瞬躊躇したけど、今はそんなこと言ってられない!


「――うん。 そもそも、しばらく離れていたかった理由も、今の悠ちゃん見てたらもうどうでも良くなってきたし……」

だって、本気で監禁するとか言っちゃうほど私に執着してるのに、過去のことにこだわるのがなんだかバカらしくなってきちゃって。


今ならわかるけど、過去を気にしないでいられるほど強くなる方法って、離れることじゃなくて、悠ちゃんの気持ちをしっかり確かめる事……だったんだね。

こんな怖い思いしたけど、そのおかげで悠ちゃんの過去に無駄な嫉妬をしないでよくなりそうで、それはそれでよかった……のかな??


「――俺から離れたかった理由って、俺のことがイヤになったからじゃないのか?」

あ、そっか。

まだそんな風に思ったままだったんだ。

「もちろん。そんなに簡単にイヤになったりしないよ? 悠ちゃんが思ってるよりずっと、私、悠ちゃんのこと好きだもん」

あんなに余裕がなかった悠ちゃんの顔が、次第にいつもの表情を取り戻していく。

よ、良かった~~!


悠ちゃんの取り扱い方、一歩間違えるとエラいことになるって、しっかり肝に銘じておこう……。


「じゃあ、何が理由だったんだ? 俺をあそこまで追い詰めて地の底まで突き落としたんだから、ちゃんと説明してもらうよ?」

うっ……。そうだよね。

あんなになるまで悠ちゃんを苦しめてしまったのは事実なんだから、やっぱりちゃんと言わないとダメだよね……。


「――あのね? 悠ちゃんにイロイロされたことは、そりゃびっくりしたし少しは怖かったんだけど、でもそれで悠ちゃんを嫌いになるとかは、ないよ?」

こういうこと打ち明けるのって恥ずかしくて、つい、悠ちゃんから視線をそらして小声になってしまう。


「あの時泣いてしまったのは……その……悠ちゃんの過去にヤキモチ焼いちゃったからなの……」

あ~~もう! 恥ずかしい!!

こんなの、悠ちゃんのことがめちゃくちゃ好き!って言ってるようなもんじゃない!







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