表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/45

第33話 王子様と私のその後9

「で? いつにしようか?」

「――?? 何が??」


唐突なセリフに、なんのことやらさっぱり分からず、ポカンと悠ちゃんを見返すと……。

これ以上ないくらい極上の笑みを浮かべたまま、昼下がりのカフェでとんでもないことを言い出した!


「あの噂を本当にするのを、だよ。――気持ちが通じ合った以上、待つ必要なんてないだろう?」

その言葉の意味を理解するのに数十秒費やし、そして理解したとたん真っ赤になってカチンと固まる私。

な、な、なに言ってるの~~!?


「今までは美希の気持ちがちゃんと俺の方を向くまで……と思って我慢してたけど、こうやって恋人同士になったんだから、そんなに長く待てないよ? 早く、美希の全部を俺だけのものにしたいんだ」


思わず周りを見回してしまう。

幸いお昼のピークを過ぎた時間のためか、近くの席に座っている人はいなくて、誰にも聞かれてないみたいだった。

よ、良かった~~!


それでも、あまりにも……な会話の内容に、赤くなったり、青くなったり。

どうして悠ちゃんは、平気な顔でこんなこと言ったりできるの~!?


「――悠ちゃん」

「ん?」

艶っぽい顔でこっちを見ているであろう悠ちゃんを、なるべく見ないようにしながら、きっぱりはっきり宣言した。


「私、相手が誰だろうと、結婚するまでそういうことはしないって決めてるから」

近くに人はいないけど、それでも小声でしか言えない、こんなこと!


「……それは……なんの冗談かな?」

「え? 本気だよ? 今どきって思うかもしれないけど、結婚前にそういうのって抵抗あるんだよね」

今までずっと笑顔だった悠ちゃんの顔から笑みが消え、一気に引き攣った。


「――じゃあ、結婚しよう。今すぐ!」

「はぁ???」


なんだか必死な形相で、訳の分からないことを言い出した悠ちゃん。

「何言ってるの? そんな真面目な顔で冗談言わないでよ~」

うん、冗談……だよね??


「いや、本気だよ? どうせいつかは結婚するんだから、同じ事だろう? 俺はもう18歳になってるし、美希は……あぁ、12月で16歳か。じゃあ美希の誕生日がきたらすぐにでも籍を入れて――」

「ちょ、ちょっと待って!!」


……本気っぽい!……ナニコレ、まさか本気で言ってる!?

エッチしたいから結婚って、ありえないでしょ~~~!?


ちょうどそこへランチが運ばれてきて、慌てて口をつぐむ。

会話が途切れたおかげで、悠ちゃんも私もちょっと冷静になれた?のかな??

そのまま無言でランチを食べ、何を食べたか記憶にないほど2人とも考え事に没頭し、気が付くとカフェを出て悠ちゃんに手を引かれて歩いていた。


「このまま、俺の家に行くからね?」

もはや決定事項らしいその言い方に、頷くしかなかった。

さっきの話の続き……って事なんだろうなぁ……。


でも、どうしてこんな大ごとっぽくなってるんだろう?

付き合うって、そういうことしないといけないわけじゃないでしょう?

大人の人ならともかく、私たち高校生なんだし。




――――思春期以降、男の子と接点なく過ごしてきた私に、一般的な男子高校生の性事情なんてわかるはずもなく……。 

彼女のいる男子にとって、目の前にいる大好きな彼女に手を出さないでいることが、どんなに大変であるかなんて考え付きもしなかった。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ