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第31話 王子様と私のその後7

「悠ちゃん、もう戻らないと! 午後からまだ課外あるんだよね? お昼は食べたの?」

「いや、食べてないよ。美希のことが気がかりで、すぐにこっちへ来たからね。美希も食べてないだろう? 売店で何か買ってから生徒会室に行くの?」

「ううん。今日はちょっと疲れちゃったから、今から帰るよ。悠ちゃんは何か買ってちゃんと食べてね!」


手を引かれて階段を下りながらそう言うと、悠ちゃんの足がピタッと止まった。

ん?? どうかした?


「――帰るの?」

「う、うん」

え? ダメ? 金曜日も言ったけど、もうそんなに急ぐ仕事はないはずだし、雑用もほぼ終わってるよ?


悠ちゃんは一瞬考えて、ニッコリ笑った。

「じゃあ、今日は俺も帰るよ。で、一緒に何か食べて帰ろう。 鞄取ってくるから、美希も帰る用意して昇降口で待ってて?」

「え!?」


驚く私を残して、「じゃあ、すぐに行くから!」と走り去って行く悠ちゃん。

帰るって…午後の課外授業はサボるってこと?

いいのかなぁ? 受験生なのに…。


そこまで考えてハッとする。

あ、全国模試、ひとケタでしたね?

むしろ、真面目に毎日課外授業に来てることの方が意外なのかも。


一応全員参加だけど、出席日数に関係ないから1年でも課外授業に出ずに塾の夏季講習受けてる人もいるみたいだし。

3年生はそういう人、もっと多いと思う。

悠ちゃんの成績なら、課外授業なんて受けなくても全く問題なさそうだしね。


そんな事を考えながら教室に戻ると、里奈ちゃんが私の席で携帯を操作中…。

あ~~っ!

里奈ちゃんと一緒に帰ろうって言ってたのに、すっかり忘れてた~~!!


「ごめん!里奈ちゃん!! ずっと待っててくれたの!?」

「あ~~。や~っと帰ってきた。なになに~? 休み時間の大半使って、先輩と2人っきりでナニやってたのぉ~??」

ニヤっと笑ってこっちを見る里奈ちゃん。


こんなに待たせたのに全然気にしてないって感じで、かえって申し訳なくなる。

その上、悠ちゃんに一緒に帰ろうって言われてるんだった…。

どうしよう。

悠ちゃんも一緒に3人で帰るとか…ダメかなぁ。


「待ってたって言っても、ずっと携帯で色々やり取りしてたからね~。 あの噂、知り合い全部に訂正したんだけど、そのやり取りがやっと一段落したところよ。 もう、大方『ガセだったらしい。なぁ~んだぁ』って具合に落ち着いたから安心して!」


うぅ~…。

私が悠ちゃんとあんなコトしてる間に、里奈ちゃんは私のために~~!

里奈ちゃん、大好き~!


「里奈ちゃん! ありがとう!! 悠ちゃんにもちょっと話はしたんだけど…わかってくれたかどうかは微妙で…」

「あ~~うん、だろうね~。先輩、もう何も取り繕ってないっていうか…。美希ちゃん以外はマジでどうでもいいって感じだったよね。あの後、うちのクラス騒然としてたよ~。王子様の仮面を被った魔王様だったっていうのが、あの場にいた全員の最終意見ってとこ。明日には、そっちの噂が広まってるかもね~」


そ、そっか。 

確かに悠ちゃん、別人みたいだったもんね。

でも、あれを実際に見てない人は、信じられないんじゃないかなぁ。

そのくらい、悠ちゃん=王子様ってイメージ、定着してるもんね。


「実はその悠ちゃんなんだけど…。私が帰るって言ったら一緒に帰るって言うの。で、えっと…3人で一緒に帰ってもいい…かな?」

里奈ちゃんのことをすっかり忘れていた罪悪感から、おずおずと聞いてみると、呆れた顔で見返された。


「何言ってんのよ、美希ちゃん! それならあたしはいいから2人で帰りなよ!」

「え、でも、今日は里奈ちゃんと帰るつもりだったし。こんな時間まで待ってもらって、もう他のみんなは帰っちゃったでしょ?」

そう、教室はがらんとしていて、部活組も行ってしまったし、帰宅組はとっくに帰ってしまっている。


「う~~ん。じゃあ、駅まで、ね! 2人のラブラブっぷりを間近で見るのも、そのくらいの間ならなんとか耐えられるかも。――先輩に邪魔するなって思いっきり目で言われそうだしね~」

そんな、ラブラブとかないし!…って言いたいけど、正直今の悠ちゃんはちょっと変だから、絶対ないとは言いきれない…んだよね~。

はぁ~~~。





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