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第29話 王子様と私のその後5

教室を覗いて私を見つけるとそのまま躊躇なく入ってきた悠ちゃんに、教室に残っていたみんなが興味深々な様子でこっちを見てる!


「何度もLINEしたのに全然見てないみたいだから、様子を見に来たんだよ。何かあったのかと………… っ!! 美希!? 泣いてたのか!?」


さっき里奈ちゃんの優しさに感動して涙ぐんだ目を、至近距離で見られたらしい。

「ち……違っ!! 泣いてたわけじゃ……!!」

慌てて説明しようとしたのに、悠ちゃんが纏う空気が一瞬で氷点下になり、凍りつくような視線で教室を一瞥する。


ヤバい!!

王子様の仮面が一瞬で剥がれちゃったよ~~!!


「――――誰だ?」

低い、地の底から聞こえてくるような声。

さっきまでとは別人のような、冷たく凍りつく目つき。

そして、全身から恐ろしい程の冷気を撒き散らしている……!

これは、本気でマズイ!!

悠ちゃんの背後にどす黒いオーラが見える気がしてるのは、きっと私だけじゃないはず~!!


「――美希を泣かせたのは誰だ? 何を言った? 今すぐ名乗り出た方がいいぞ。でないと……」

「待って~~!! スト~ップ!!」

私は慌てて、悠ちゃんの腕にしがみつき、そのままグイグイ引っ張った。


「――美希?」

必死な私を見て気が削がれたのか、悠ちゃんも抵抗なく引っ張られてくれる。

そのままズルズルと悠ちゃんを引っ張って教室を出ると、屋上へ続く階段を上って行った。


教室を出るまでの間、クラスの子たちは唖然としてその様子を見ていた。

里奈ちゃんだけは「あらら……」って言いつつ、ヒラヒラと手を振っていたけど。




――後から聞いた話だけど、私たちが出て行った後、すぐに教室中がザワザワし始め、皆一様に青ざめていたらしい。


「なんだ……? 今の……」

「あれって、神木先輩……だよな?」

「そうだけど、途中から別人だっただろ! あれは王子様なんかじゃないぞ、それより――」

「……悪魔?」

「……いや、あの恐ろしさの中にも気品や威厳がある感じ、どっちかというと魔王――じゃないか?」

「背中に黒い羽生えてるかと思った……」

「あの目、その気になれば視線で人を殺せるレベルだろ……」

「とにかく、実は王子様の仮面を被った魔王様だったって事か……」


こ、怖ぇぇ~~~!!! ハンパねぇぇ~~~!!!



魔王様バージョンの悠ちゃんを間近で見てしまった人たちは、あまりの恐ろしさにもう決して実生活上はもちろん、SNS上でもあのカップルには関わるまいと心に誓ったのだった。





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