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第23話

「これ!? 誰が!?」

「知らないけど、2年の女子のツイッターらしい。慶一が見つけてすぐに削除させたから、広まることはないよ」

そう言いながらも悠ちゃんは憮然とした表情で、機嫌が悪そうだ。


2年女子……そういえば、あそこにいた気が……。

知らない人だと気にしなかったけど、向こうはこっちを知ってたってことよね。

自分がツイッターとかしないから思ってもみなかったけど、おそるべしSNS……。


「で、これを慶一に見せられて、僕は学校を飛び出したんだよ?」

「えぇっ?」


「美希ちゃんには偶然って言ったけど、そんな訳ないでしょ? そのカラオケ店の場所調べて、近くまで行ったからあそこで会えたんだよ」

「…………」

びっくりしずぎて言葉が出ない。


「だからね? その画像で、美希ちゃんがだれか男といるとわかって、冷静さを失って飛び出してしまうほど、美希ちゃんのことが好きだってこと。これでわかってくれた?」

もう私はコクコクと頷くしかなかった。

さっきからずっと顔は真っ赤になったままだっていう確信がある。


どうやら、悠ちゃんは本当に私のことを……?


じゃあ……今までどおり悠ちゃんの隣にいてもいいの?

他の誰かにおびえなくていいの?

――もうこの気持ちに蓋をしたり、打ち消したりしなくてもいいの?


そう思った途端、じわっと視界が滲んだ。

張り詰めていたものが緩んだ瞬間だったのかな。


感じたのは、大切なものを無くさないですんだという安心感。

そして、気恥ずかしいような嬉しさ。


「好きだよ? 美希ちゃん。 恋人に、なって……?」

「うん……! 私も、悠ちゃん好きっ!」


涙で目を潤ませたままそう言うと、悠ちゃんは息を飲み、次の瞬間、満面の笑みを浮かべて思い切り抱きしめてきた。


ギュウギュウ抱きしめられ、ちょっと苦しかったけどそれ以上に嬉しかった。

腕が緩められると、自然に目が合い、そっと顔が近づけられ……

うわ~~! 心臓、壊れそう!!


「美希……」


今度はギュッと目を閉じて、ついでに口もギュッと引き結んで、ガチガチのまま悠ちゃんの唇を受け止めた。

何度も何度も口づけられて、その内引き結んだ唇に悠ちゃんの舌が這い出したのを感じて、ギョッとして悠ちゃんの胸をぐいっと押しやった。


「美希……?」

「な……な……何、今の~! もうこれ以上はムリ~!!」


真っ赤になって俯く私の頭のてっぺんに「チュッ」とキスが落とされる。

「可愛い、美希」


なんだ~!この甘々な感じは~~!!

恥ずかしさにジタバタしていると、フッといつもと違う雰囲気がした。


顔を上げると、そこにはいつも見慣れた王子様は存在せず、見たこともないような悪い笑みを浮かべた別人のような悠ちゃんが……!?


「やっと美希が俺のものになったんだから、本当はもっとイロイロやりたいけど、今日のところは見逃してあげるよ。 でも、美希も俺が好きだって言ったからにはもう遠慮しないから。近いうちに美希を全部……貰うからね?」

耳元で「覚悟して?」ってセリフ付き。それも、わざと息を吹きかけるように!


……誰ですか……?? コレ……。


いや、この綺麗なお顔は悠ちゃんで間違いないんだけど、この表情、目つき、黒い笑い方と話し方、私を呼び捨てだし、僕じゃなくて俺……?


「フフッ。やっと気が付いた? 本当の俺は王子様なんかじゃないんだよ。 ごめんね? でももう美希は俺のものだから。もう絶対、一生、何があっても離さないからね? 愛してるよ、美希」



顔から血の気が引いていく音って本当にするんだ……。

いや、実際はそんな音がするはずないんだけど、そう感じるくらい一気に真っ青になったってことで。


引きつった顔で呆然と悠ちゃんを見ると、その背後から見間違いようのない黒い禍々しいオーラが溢れ出ていた……。


えーっと…… 私、色々間違えた……?





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