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第2話

登場する施設名等は、実在するものと一切関係ありません。

その日から、私は計画を立てて勉強を始めた。

今は9月。受験は3月。

あと半年しかないが、元々勉強は得意な方だし、いまの偏差値高めのお嬢様学校でも常に上位をキープしている。


だけど狙っているのは、都内でもトップクラスの東高校。

今でも合格圏内だが、失敗はできないので余裕を持って合格したい。

塾は費用がもったいないので、ひたすら自宅で頑張ることにする。


引越しは来月に決まった。

今のマンションよりも東高に近い場所で、瑠奈ちゃんの家とも同じ沿線だ。

部屋のランクはかなり落ちるが、それでも家賃は今より高い……。

今まで、本当に恵まれてたんだな~。



あれから、瑠奈ちゃんはやや情緒不安定気味だ。

普段から明るくてハキハキしてる子なのに、何か考え込んだと思ったら、必死な目をして色々聞いてくる。

本人、何気なさを装っているつもりらしいが、焦ったような必死さは完全には隠しきれていない。

どうしたんだろうとちょっと心配になりながらも、私は聞かれた事に答えていく。


「引越し先は決まったの?」

「うん」

「ど……どこ??」

「最寄りはA駅だよ。駅から徒歩15分」

「(ホッ)それならうちの最寄り駅から3駅だね! よかった! 同じ沿線で。最低ライン、確保!」

え??……何?そのガッツポーズ?

「うん。元々行きたい高校の沿線で探したからね。偶然瑠奈ちゃんちと近くだったんだ~」

「ぐ……偶然? ……危っぶなぁ~」

「……何が??」

「ううん! なんでもない! で? どこの高校受けるか決めてるの?」

「うん。東高」

「……共学だね?」

「え?都立なんて、どこも共学じゃん」

「そ……そうだっけ~? ……あそこレベル高いけど、美希ちゃんなら余裕だよね」

「そんなことないよぉ。落ちてもすべり止めないから必死だよ」

「あ、じゃあさ! 家庭教師とか、いらない? ほら、うちのお兄ちゃんなら無駄に頭いいし、美希ちゃんならタダで――」

「だめだよ。そんな迷惑かけられないし」

「イヤイヤ、迷惑とか絶対ないから!」

「それに、悠ちゃんにだけは教えてもらいたくないっていうか……」

「え……? な……んで?」

「だって! あんなキラキラな王子様が目の前にいたら、集中して勉強できないよ」

「でもっ……!」

「とにかく、それはダメ。わかんないところがあれば学校の先生に聞くし、ひとりの方が勉強に集中できるの」


瑠奈ちゃんはまだ何か言いたげだったけど、私がけっこう頑固なのを知ってるからか、がっくりと肩を落としていた。

っていうか、何でそんなに気落ちするの??

ホント、この前から様子がおかしいよね。


そもそも、悠ちゃんの家庭教師なんて、とんでもない。

ぜひお願いしたいって子は掃いて捨てるほどいるだろうけど、私は無理。

悠ちゃんの視線はとにかく破壊力ありすぎで、向こうはなんとも思ってないのに、私だけが挙動不審になるのは目に見えている。

そんなのイヤだし、恥ずかしすぎる!



「そういうわけで、私受験モードに突入するから、終わるまであんまり遊べないかも……。ごめんね」

「でも! たまには気分転換しないと! 私の家ならいつでも大歓迎! だよ!」

「あは。ありがと、瑠奈ちゃん。でも気分転換なら、お家よりもカラオケとかショッピングとかがいいなぁ~。その時は一緒に出かけてね!」

「う……ん。そっか、出かける方がいいんだ……」

また肩を落としてる……?


う~~ん。瑠奈ちゃんの情緒不安定はまだまだ続くのかなぁ~。

元はといえば私のせいだったりするから、責任感じるなぁ。





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