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第18話

やっとプリクラコーナーから出て、どうしようか……という話になった。


里奈ちゃんはさすがに、これ以上私を付き合わせるわけにはいかないと思ったようで、ここで渉くんたちとは別れることになった。

よ……よかった!


このままその辺のお店を見に行くと言った私たちに、じゃあ俺らは何か食べて帰るよと、一緒にゲーセンの出口に向かう。

お昼をカフェで食べたあとカラオケでも軽食を食べていたのに、まだ食べるんだ!

部活やってるから? 高校生男子の食欲に驚きを隠せない。


悠ちゃんももしかして、こんなに食べるのかなぁ?

去年は瑠奈ちゃんと3人で何度か食事したけど、普通だったような?

今は2人で食事したりとかすることもないし。

登下校と生徒会以外で、一緒にいることもあんまりないしなぁ。


そこまで考えてハッとする。

そ……そっか、そりゃそうだよね!

本当の彼女じゃないんだから。

やだ、なに勘違いしてんの? 私。

ひとりで恥ずかしがっていると、目の前にその悠ちゃんが現れ、目を疑った!


「えっ!!ゆ……悠ちゃん!?」


びっくりしすぎて声が裏返る。

なんでここにいるの!? っていうか、まだ3年の課外って終わってない時間じゃない?


驚いている私に悠ちゃんも驚いたと言ってたけど、相変わらずの王子様スマイルで、ちっとも驚いたように見えない。

悠ちゃんにはどこに行くとは言ってなかったので、こんなところでバッタリ会うなんてすごい偶然だ。


ふと会話が途切れ、悠ちゃんが私の後ろをジッと見ていた。

そこでやっと渉くんたちの存在を思い出した!


「そっちの南高の男子は? 知り合い?」


制服で南高だとわかったのかな……。一瞬そんなことを思っていると、横にいた里奈ちゃんがかなり慌てて事情を説明しだした。

いつもの里奈ちゃんとは違う真剣な様子と、頭まで下げてしまうのを見て、私のほうが慌ててしまった。


里奈ちゃんは本当の事知らないから、きっと男の子が一緒で悠ちゃんが怒ってると思ったんだよね?

でも悠ちゃんずっと笑顔だし、そもそも怒る理由もないんだから大丈夫なのに~!


でも、付き合ってるという設定である以上、悠ちゃんもこのままひとりで帰るのは不自然だと思ったようで、気が付くと一緒に帰ることになっていた。

……このあと里奈ちゃんとやっと2人で楽しめると思ったのに~。


そんな不満を抱きつつも、悠ちゃんの王子様スマイルに赤くなってしまう私って、本当に単純だと思う……。



悠ちゃんに手を引かれ、駅に向かって歩く。

手を繋いで歩くなんて今までなかったのに、ギュッと握られたその手は簡単には離れそうもない。


なんだかいつもと様子が違う悠ちゃんに、戸惑ってしまう。

いつもなら私に歩幅を合わせてくれるのに、今はその長いコンパスをフル活用して、ずんずんと早足で歩いている。

まるで、早くここから離れたがっているかのように。

手を繋いだままだから、当然私は小走りで必死に付いていくことになる。


まるで兄妹……いや、親子みたいだ、これじゃあ……。

悠ちゃんはどこにいても注目を集めるから、当然今も周りの視線を感じるんだけど、この状況じゃ、いくら手を繋いでいても、付き合っているようには見えないんじゃないかなぁ。





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