第11話
生徒会メンバーは、現在全部で12名。
3年は会長と悠ちゃん入れて6名。
2年は4名で、1年は私と康介くんの2名。
そのうち、3年の副会長と2年の書記が女子だ。
2人とも出来る女タイプの美人さんだけど、私のことはなんだかものすごく可愛がってくれる。
長身の2人からすると、私はどうも子供というか小動物のように見えるらしく、しょっちゅう頭を撫でられたり、ぎゅっと抱きつかれたりする。
それを見て、眉間にシワが寄る悠ちゃん。
で、そんな悠ちゃんを見て、益々おもしろそうに私にベタベタする2人。
悠ちゃんもそんな細かいところまで演技しなくていいのに。
ちなみにこのお2人、康介くんのことはパシリ扱い。
いつだったか、康介くんが嘆いていた。
生徒会ではみんな基本苗字呼びだけど、会長だけは役職呼び。
そして、会長と兄弟の康介くんは紛らわしいので名前呼びになった。
で、なぜか私だけ悠ちゃんのことを名前呼び……。
本当に抵抗したんだけど、悠ちゃんはものすごく頑なで、周りの先輩たちも「別にいいんじゃない?」みたいになって。
入ったばかりのはずの生徒会なのに、悠ちゃんはみんなにかなり頼りにされてるようで、実際どんな問題も色んな方向からアプローチして、さらっと解決してしまう。
今や、生徒会になくてはならない存在になっているので、多少の我が儘(?)は許されるんだろう。
というか、機嫌を損ねて生徒会を辞めるなんてことになる方が困るというのが本当のところかな。
生徒会では、今、7月始めの文化祭について打ち合わせが行われている。
生徒会でテーマやスローガンを決め、ある程度筋道を立てて校長の許可をもらってから、各部活やクラスの希望を取り調整に入る。
なので、今は忙しい時期で、毎日遅くまで残っている。
今日も完全下校の時間である20時まで残り、駅方面とバス停方面に分かれてゾロゾロ下校した。
駅方面は、私と悠ちゃん以外に松河兄弟と、3年の副会長クールビューティの小松さんだ。
駅までみんなで歩いているはずなのに、いつも悠ちゃんがぴったり隣にいて、他の3人は「はいはい」という態度で少し離れて歩く。
ここでもバカップル扱いですか!
いや、みんなが悪いんじゃなくて、悠ちゃんが必要以上に甘い雰囲気を演出するから悪いんだけど!
いつものように、悠ちゃんは私の最寄駅で途中下車して、家まで送ってくれる。
駅からの道は夜でも比較的人通りも多いし大丈夫だって言ってるのに、もちろん聞き入れてはもらえない。
「生徒会に入ったのも僕が頼んだからだし、そもそも彼氏なら当然だよ?」なんて言われて、どう返事したらいいのよ~!
彼氏って何! 本物じゃなくて「フリ」だから!!
「じゃあ、今日もありがとう。」マンションのエントランスに通じるドアに手をかけて振り返る。
「うん。また明日ね。」そう言って、王子様スマイル全開のまま優しく頭を撫でてから、悠ちゃんは駅に戻って行った。
もう、最近の悠ちゃんに私はやられっぱなし。
これだけいつも一緒にいるのに、慣れるどころか日に日にドキドキが加速していく。
なんか……まずいよね?
これって悠ちゃんのこと好きになってるわけじゃない……よ……ね?
……いやいやいや! それはないよ! そこまでバカじゃないよね? 私!!
悠ちゃんの演技が完璧だからって、勘違いしたらあとで辛くなるだけだよ!
そこのところ、ちゃんとわかってるよね? うん、大丈夫、大丈夫。
私は自分に言い聞かせて、深く考えないようにしようと思った。