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BMP187  作者: ST
第六章
334/336

ただし、ナックルウエポンはダメ

賢崎藍華ナックルウエポンの場合】


「ナックルウエポンはダメ」

校門のところで待っていた賢崎さん(と俺)に、麗華さんが言った。


「待ってください。【ドキドキ! 澄空悠斗のお嫁さん探し(ソードウエポンと別れたら)】開催中なんですよね? 仲間外れは酷くないですか?」

「【悠斗君のお嫁さん探し(でもナックルウエポンはダメ)】ならやってる」

「……」

れ、麗華さんがジョーク返しを……。


「お言葉ですが、私はお買い得な女ですよ。容姿も才能もBMP能力も財産も。たいていの男性なら満足できるレベルで揃えていますし。……なにより、嫉妬のような面倒な感情はちょっとしか持ちません」

「ちょっと持つの?」

ちょっとは持っていただけるらしい。

「ソードウエポンの私的な感情で、澄空さんの優秀なお嫁さん候補を潰すのはどうなんでしょう?」

「べ、別に、私的な好き嫌いじゃない。ナックルウエポンが素敵なじょせ……使える女だということは分かってる」

……あえて汚い言葉で言い直さなくても……。

「では、なぜ私ではダメなんですか?」

「な、ナックルウエポンにあげるくらいなら、私が結婚する!」

「え?」

「え?」

言質取れた!?


《おうさま、かしんからちゅうこくです。あせりはきんもつです。なっくるうえぽんのものになるというじょうたいがめいかくにていぎされていません》

そうなんですか、かしんさん?

《ここは、あえてするーし、いざというときのきりふだにすべきだとかんがえます》

き、切り札!?

《れいかさんとわかれるくらいならなっくるうえぽんとけっこんしてやる。とおどすのです》

《お、おお……》

さ、さすがはかしんさん。恋の駆け引きが、まじパネェぜ……


★☆


【本郷エリカの場合】


玄関に天使……ではなく、天使のように可愛いらしい金髪の天使がいた。

要はエリカである。


「麗華さん! ト、澄空さん!」

華が咲いたような笑顔を見せて、駆け寄って来るエリカ。

だが、運悪く足を詰まらせる。

「キャッ」

「おっと」

可愛らしい悲鳴を上げて転倒しそうになるエリカを抱き留める。


「ア、ありガトウございマス。デモ、麗華さん二向かっテ、強め二突き出してクレると、モット嬉しカッタです……」

「ご、ごめん……?」

謝った方が良いセリフかどうか悩ましいが……。

「ア、誤解しないデくだサイ。悠斗さんガ嫌いナわけではナクて、麗華さんガ好きなダケですカラ!」

「は、はい……」

朝イチで、玄関で、ヒトの恋人に愛の告白をするのはいかがなものかと……。

「悠斗君……」

ほら、麗華さんも思うところが……。


「いつまでエリカを抱いているの?」


「…………」

…………。

「ご、ごめん!!」

やらかした!

「悠斗君って、そういうところあるよね」

どういうところ!?

「ち、違うんだ麗華さん! 考え事をしてたら……!」

「考え事をしてたら女の子を抱きしめ続ける男の子はきっと少数派だと思う」

全くもっておっしゃるとおり!!

《おうさま、けんげんをしようしてとうけいをとるひつようはありますでしょうか?》

ないので、ちょっと黙っていてください。


「新月祭で、補給と称してエリカに吸血した件についても説明責任を果たしたわけではないと考えているからね」

「……すみません」

10年前の経緯とは無関係の地雷もあった……。

「あ、アノ……。私ナラ大丈夫ですカラ。麗華さんに触れた腕や口だと思えバ、吸血されたリ、抱き締めラレても大丈夫デス」

許してくれるのは有り難いが、今はそこが論点ではない。


「……麗華さん?」

が、じーっと俺とエリカを見つめている。

「エリカはBMP能力を含めて将来性が高い」

「は?」

「外見は文句の付けようがないし、中身はそれ以上」

「……はい」

「けど、同性愛……というか私のことが好きみたいに見える」

あ、気づいてたんですね。

「私が正妻の状態での第二夫人なら可能性があるかもしれないけど、エリカだけと結婚するのは難しいと思う」

普通は逆なんですよ、麗華さん。


「だから、エリカは諦めて欲しい」

「承知しました」

俺がハーレムを作ろうとしているかのような流れは気になるが、手強いフラグが一つ消えたのは素直に喜ばしい。


「ちょっト、待ってクダさい。」

しかし、エリカが引き留めてくる。

「麗華さんガ、正妻ノ状態での側室ナラ、交渉に応ジル用意がアリます」

「マジですか?」

麗華さんのこと、愛し過ぎではないですか?


★☆


【二雲楓の場合】


「おはようございます! 澄空様!」

廊下で二雲楓先輩 with KTIの皆様にお辞儀をされた。

……なぜ、【様】?


「お、おはようございます」

「おはようございます」

俺と麗華さんが挨拶する。

「澄空様、今日はお話があります」

「は、はい」

真剣な顔で詰め寄られた。


「私たちKTIは、【真なる美少女】剣麗華さんに出会い、Kawaikunakutemo Tuyokereba Iinjanaiから、Kawaikutemo Tuyokutemo 【I】 ganakerebadamenanoに生まれ変わりました」

その辺は聞いていましたが……。

「その後、麗華さんと親交を深めたり、なんやかやありまして、Kanarazu 【sukuyuto】no Tikakuni Iruとして生まれ変わろうとしています」

「…………」

思考が、一瞬止まった。

……略称に【S】がないではないか。

いや、そうじゃなくて……。


「やっぱり分かりにくいですよね。澄空悠斗親衛隊とでも思っていただければ」

……すみません。もっと分かりにくくなりました。

「麗華さんから澄空様の御活躍をお聞きしているうちに、こう、自然とファンになってしまった次第です」

「いやでも。俺は芸能人とかじゃないですし……」

「いえ! 澄空様は100年前に活躍した偉大な二刀流メジャーリーガーと同じくらいの人気とニュースでも言われてます」

恐れ多すぎるんですが……。

「それに気がついたのです。我々でも適切におしゃれをすれば、澄空様の背景となっても許されるくらいには見られるのではないかと」

と、おしゃれなしでトップクラスの美人である二雲先輩が言う。

ツッコミ待ち……じゃないんだろうな、多分。


「麗華さん……。一体どんな伝え方を……?」

「別に、普通にお茶会して。お話しただけ」

お茶会!? 麗華さんが?

「いつもセンスの良いお店に連れて行っていただき、感謝しています」

KTI四天王。俊足ライトステップの前田先輩もそう褒めるが……。

「……」

センスの良いお店でお茶会? 麗華さんが?


いやしかし……。

麗華さんはこれでも剣財閥の令嬢にして、現首相の孫娘。

研究者としての交流もあるし、手がかかる系美少女に見せかけて、実は一般人よりも遥かに社交スキルは高い……のでは?

それに比べて俺は……。


「……」

センスの良い店なんて、想像もできないぞ……。

ダメだ!

10年前の誤解云々以前に、基本スペックで大幅に釣り合いが取れていないのを、今更ながらに思い出した!!


「お、俺も、お茶会出れます!」

「え?」

麗華さんがキョトンとする。

「「出ていただけるんですか!?」」

KTIが喜びの声を上げる。

何か間違った気もするが、今は少しでも麗華さんの得点を稼がないと本気で捨てられる気がする。


「ではまた、後日」

ということで、お茶の約束をして、KTIと別れた。


「悠斗くん、話がある」

別れた後に、麗華さんに話があるらしい。

「二雲先輩をどう思う?」

やはり、それか……。


「美人だとは思うよ」

「そう。なんであんなに容姿に自信を持たないのか不思議だよね」

ぐぐいと顔を近づけてくる麗華さん。お茶会とやらで、この超絶美顔を見過ぎたせいの可能性はある。

「悠斗君はもちろん分かっているはずだけど、二雲先輩の汎用装甲エンチャントは物凄いスキル」

それはわかる。

属性攻撃を【吸収】する仕様なので、決戦兵器級の幻影獣の攻撃を防ぐことも可能かもしれない。

「高校に来ているのがおかしいレベル」

あなたが言っても……。

「それにお父さんが新進気鋭の政治家で、人気急上昇中」

そうなの……?

「若者に人気の論客で、飛ぶ鳥を落とす勢い。もちろん、二馬力選挙で顰蹙を受けた方じゃなくて、年収の壁で人気を集めた方みたいな人だよ」

……100年前の政治家の話か……?


「それに話してみて分かったけど、とっても尽くすタイプ」

「そ、そうなの……?」

「……」

「…………」

「……尽くすタイプって何?」

分からないなら、セールスしない!!

どうせ、三村あたりの発言だと思うが……。


「とにかく、お買い得物件。ナックルウエポンと違って、私の怒りを買うこともない」

《なっくるうえぽんだといかりをかうのですか?》

だんだん隠さなくなってきたな、この美少女は……。

「ただ、一つだけ……。悠斗君は年上がいける人?」

……チャンス!

「いや、ちょっといけない人かな」

「年下?」

「それもちょっと……。同級生がいいかな」

《ろこつすぎませんか?》

いや、多分これくらいでは通じない。


「悠斗君、この世の女性の大半は年上か年下だよ」

そうだとは思いますが。

「同級生なんて、結婚適齢期の40分の1くらい」

結婚適齢期、広くないですか?

「私が年上だったら嫌だったの?」

「だったら、大丈夫かな」

「そんなの、私だけが好きって言ってるみたいだよ」

言ってんだよ!!

《れいかさんはきょうてきですね》

チョロイン気質のくせに、難易度は高い……。


「決めておこう。どっちがいいの?」

どっちといっても……。


◯年上

・天竜院透子

・二雲楓

・前田朱音

・河合渚

・犬神彰

・茜嶋光

・火野了子

・風間仁美

・土御門凛

・金森貴子

・水鏡彩音

・式春香

・上杉時子


〇同級生

・剣麗華

・賢崎藍華

・本郷エリカ

・武田紬

・鈴木直

・真行寺真理


◯年下

・鏡明日香

・かしん

・式雪風


確かに年下枠が弱いな……。

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― 新着の感想 ―
100年前に活躍した偉大な二刀流メジャーリーガー →地味に年代の設定が明確に出てきたのってコレが初めてでは? ギャグのノリでお出しされるとは
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