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BMP187  作者: ST
第五章『迷宮の突破者』
282/336

裏新月祭対策会議 ~天竜院透子以外~

裏新月祭対策会議


〇攻略対象No.1:三村宗一

・クラス:ランスウエポン。

・BMP能力:超加速システムアクセル絶対加速システムゼロ過剰不可ブースト時のみ】。加速力を力場変換しての攻撃スキルあり。

・BMP:131

・タイプ:遊撃


賢:絶対加速システムゼロさえ警戒すれば、澄空さんの敵ではありませんね。

剣:飛び道具で攻撃してもいいし、攻撃スキルをかわした後にカウンターを狙ってもいい。絶対加速システムゼロは2回以上使うとたぶん自爆するし。

賢:手を下す必要もありませんね。エンカウントするまで生き残っている方が難しいかと。

三:ヤバイぞ、峰。賢崎さんがSだ。

峰:いや、あれは、的確に戦術分析しているせいで、表現がオブラートに包まれていないだけだな。

本:峰さんモ、結構言イマスね……。



〇攻略対象No.2:本郷エリカ

・クラス:支援士サポーター

・BMP能力:豪華絢爛ロイヤルエッジ

・BMP:125

・タイプ:トラップ


賢:単純な戦闘力では澄空さんの敵ではないですが、乱戦でトラップタイプのBMP能力は怖いですね。

剣:完全に不可視化する刃と、可視状態でなら動かせる刃。意表を突くには十分だし、威力もある。

賢:なにより見目麗しい少女が使い手というのが、トラップとしては優秀です。容赦せずに飛び道具等で殲滅する覚悟が澄空さんには求められますね。

本:どうシマしょう……。賢崎さんガSデス。

峰:それは、さっき三村が言ったぞ……。

本:私、やっパリ、Mノ気がアルのカモ知れまセン……。ちょっト、ドキドキしマス……。

澄:今、それ言わなくちゃだめですか……?

三:エリカエリカ。俺、実は、Sについては(※ゲームで)若干の心得が……!

本:すみまセン、三村さん。できレバ、S側は女性限定でお願イしたいデス……。麗華さんトカ最高デス……。

三:す……澄空は、女性化できるぞ……!

澄:……その情報が、今、お前になんの利益をもたらすというんだ……?



〇攻略対象No.3:峰達哉

・クラス:砲撃手ヘビーガンナー

・BMP能力:砲撃城砦ガンキャッスル爆撃領域ビーストイーター。直接攻撃力・防御力を上昇させるサポートスキルあり。

・BMP:140

・タイプ:中・遠距離


賢:このあたりから手ごわさが増してきますね。

剣:裏新月祭では遠距離というのは難しいから、悠斗君としては近接戦闘に持ち込むのが一番確実。

賢:素質も努力も十分なんですが、何より澄空さんと共に数々の高レベルの闘いを潜り抜けてきたという経験が大きいですね。十分に警戒したい相手です。

澄:いや、ストップ。ちょっといいかな。



俺は、一度、裏新月祭対策会議をストップさせた。

別に、「なぜ『俺』が裏新月祭を攻略する会議になっているのか」とか、そういうことが言いたいわけではない。


「峰は、なぜそんなに元気なんだ?」

俺の記憶が確かならば、『折れた肋骨が、腹の皮を突き破って見えていた』のだが……。

「たまたま運よく、内臓に刺さらなかったからな」

平然と言う峰。

「いや、そういう次元の話ではなく……」

ほんの数日前の話だぞ……?

見舞いに行く間もなく登校してきた時にも驚いたが、普通に裏新月祭に参加しようとしている光景には違和感すら覚えるのだが……。


再起動リスタートでしょうね」

なんでも知っている賢崎さんが、そう言った。

再起動リスタート?」

魔弾グレイズ……師匠の方ですけど。彼女の技に、毒や異物を射抜いて除去するというものがあるんです。しかも、射抜かれたところは直りが早いとか」

「え?」

「しかし、これほどの治癒能力だとは思いませんでした。もはや回復系BMP能力の領域ですね」

……マジか。


「ボコボコにしちゃったし。とか言ってたが……。怒りに任せて闘ってた状況でも、急所を外して、回復能力まで使ってたのか……」

本当に……。

強くなったんだな、マリマリ……。



賢:いいのですか、ソードウエポン。あれは他の女のことを考えている顔ですよ。

剣:昔なじみの成長に感動しているだけで、不貞を働いている訳ではないと思うけど……?

本:駄目デス、麗華さん。どのヨウナ理由でアレ、恋人関係とナッタからニハ、恋人以外のコトを考えるコト自体が罪デス!



エリカの恋人観にまあまあなエッジが効いていて、少し冷や汗をかく。

あと、急に会議モードに戻らないでいただきたい。


「ま、まぁ、元気になったのならなりよりだ……」

「ああ、澄空。即、病院に逆戻りしないように精一杯闘うので、よろしく頼む」

「……了解です」

シャレになっとらへん。

いくらBMPハンターとはいえ、さすがにこいつは入院しすぎだと思う。

もう少しだけ安全に気を配っても悪くはないと思うんだけどな……。



〇攻略対象No.4:風紀委員兼五竜


賢:強敵ですね。

剣:とーこ姉の側近だから、弱いはずがない。

賢:5人とも天竜院先輩と同じチームになるでしょうね。この程度を不正と言うのも無粋ですが……。裏新月祭のルール上、共闘は難しいはずなんですが、5対1という状況も考えておいた方が良いと思います。

伊:自ら辞退しなければ全員五帝クラスだと聞いたことはあります。

三:ちなみに、一番美人と言われる土御門先輩は、『ちょっとイケてるランキング』でも、エリカと張るほどだそうだ。

澄:今、その情報が必要かな……?

峰:澄空と同じチームになれれば援護ができるかもしれないが……。



〇攻略対象No.5:式雪風

・クラス:なし

・BMP能力:百鬼夜行ファンタジア

・BMP:未測定

・タイプ:特殊


賢:注意してください。ウエポンクラス以外には天敵です。

剣:クラスとBMP値が不明なのは賢崎一族の都合なのだろうけど……。

澄:BMP能力名がヤバそうすぎやしませんか?

峰:滾るな。

三:滾らねえよ

本:あノ。ちょっト、待ってクダさい。



エリカが会議モードを中断させる。


「ウエポンクラス以外ニハ天敵っテ、ドウしてデスか? 三村さんデモ勝てルと言うんデスか?」

「お、俺?」

悪気はないと思うんだけど、無意識にディスるエリカの横で三村が微妙に悶えている。

こいつもいずれMに目覚めるかもしれん。

いや、それはともかく。


百鬼夜行ファンタジアって、どんなBMP能力なんだ?」

「一度見ていますよ。スカッド・アナザーの咆哮を外したのを覚えてませんか?」

「え?」

スカッド・アナザー?

咆哮が外れたって、レオと闘う前か?

確かにそんなことはあったけど……。

あの時……。


「幻術?」

「お見事です、澄空さん。よく覚えてましたね」

ぱちぱちと拍手する賢崎さん。あ、なんか久しぶり。


「幻術というのは、強力だね……」

「ただの幻術ではありませんよ、ソードウエポン。視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚……5感すべてを誤認させる非常に強力なBMP能力です。催眠に近いかもしれませんね」

そんなん、効いたら、一発で勝負が着くじゃないか。


「そ……ソレなら、なおサラどうシテウエポンクラスなら大丈夫ナンですカ? 三村さんデモ勝てるッテことデスよね!?」

「お、俺!?」

悪気はないと(※たぶん)思うエリカの意見に、俺も同じ疑問を持った。


「エリカ。ウエポンクラスには幻影耐性があるんだ」

疑問に答えてくれたのは峰だった。

そうだ。そういえば、そんなんあった。


ということは、麗華さんはもちろん。


「三村が有効……?」

「そうなのです。三村さん、雪風が澄空さんと逆のチームになった場合には、絶対に雪風と逆のチームになってください。最重要ミッションです。歩で飛車を倒すものと言うか、私、こういうの好きです」

「りょ、了解っす」

三村が、屈辱を感じるべきか使命感を感じるべきか悩ましそうな顔で頷く。

まぁ、俺も三村のウエポン設定が生かされる日が来るとは思ってなかった。


「……」

……そういえば。

裏新月祭自体は、三村頼りでいいとして……。


百鬼夜行ファンタジアって、複写できてない……よな」

それほど強力なBMP能力なら、複写したくない訳はないが……。

「STAは、基本的に複写不可ですから」

「STA?」

賢崎さんの発言に疑問を返す俺。

そんな単語は、まだ緋色先生に習っていない気が……。


「セカンド・タンク・アビリティ。発動条件付きのBMP能力と言えば一番近いでしょうか」

「発動条件? なんでそれでタンク?」

「条件自体は様々なんですが、『一定量の何か』を貯めるかのごとく、という特徴がありまして」

「一定量の何かを貯める?」

意味が分からないのだが。


「コーヒーを飲む。タバコを吸う。ステーキを食べる。指を鳴らす。ピアノを弾く。そういった行為です。通常BMP能力を使用するのに必要なのが精神力と呼ぶべきものだとすれば、これらの一見戦闘とは無関係な行為によって溜まるのが『セカンド・タンク』という訳です」

「な……なるほど」

それは面倒くさい。


「100年前に、『腕を回せば回すほど威力が増すパンチ』というのが漫画であったらしいけど、似たようなものかな」

伊集院先輩が物凄く嬉しそうに、賢崎さんに感想を言う。

「先見の明がありますね。偉大な漫画家だったのでしょう」

いや、その方が偉大なのは間違いないが、それよりも。


「どうしてSTAは複写できないんだ?」

「単純に仕組みが複雑だからだと思います」

「セカンドタンクが何か分かっていても?」

「そういう問題ではないのです」

眼鏡をくいっとあげる賢崎さん。

なんだかこれも懐かしいなぁ。


「澄空さん自身はあまり自覚がないようですが、BMP能力を複写するというのはその能力者そのものを理解するということです」

「え?」

「BMP能力は、その人の主義主張そのものですから」

それはそうかもしれないが。


「STA能力は例外なく強力ですが、その分、歪んでいます。それは、それだけの苦しみが能力者の側にあったということ」

「…………」


「理解してあげられますか? 式雪風を」

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