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BMP187  作者: ST
第三章『パンドラブレイカー』
153/336

「決意」の発展継承(イノベーション)

★☆★☆★☆★


★確かに、融合進化ハイブーストは全能力を底上げするスキルですから、BMP能力が強化されてもおかしくはないんですけど……。


☆…………。


★澄空さんの劣化複写イレギュラーコピーはオリジナル以上にならない仕様なので、相性が悪いかなと思ってたんですよね……。


☆…………。


★それをまさか。複写されるBMP能力ではなく、複写する仕組みの方を強化……というより機能拡張するなんて。発想の転換というか、発想自体が異次元というか……。


☆…………。


★劣化状態で複写したBMP能力を、独自に発展強化するBMP能力。劣化複写イレギュラーコピーならぬ発展継承イノベーションと言ったところでしょうか。


☆…………。


★ところで、少し狭いですね。もう少し、そちらに寄ってもらえませんか?


☆…………ここは一人用だ。


★お久しぶりですね、アイズオブゴールド。10年ぶりくらいですか?


☆バレバレか……。


★金色の瞳のBMP能力者なんて、他に知りませんから。雰囲気が凄く変わっていて、さっきは戸惑いましたけど。


☆……牙でも抜かれたか?


★いえ。亡くなる前より遥かに素敵ですよ。


☆……亡くなった相手と普通に会話する大将の方が凄ぇよ……。


★人格をデータ化するスキルでしたっけ? アイズオブクリムゾンがそんな話をしていたような気がします。


☆それもバレてんのか……。


★翔さんが亡くなった時に、人格をデータ化して自分の中に保管しておく。しばらく後、澄空さんの中にデータ化した人格を転写する。しかも、精神が混じり合ってしまわないよう、ご丁寧に隔離領域まで作って。……神業なんてものじゃないですよね?


☆姉貴は、100回に1回が2回連続で最初に来ただけだ、って言ってたけどな。


★万分の一ですか……。そういえば、澄空さんが旧クリスタルランスメンバーのBMP能力を使えないのは、アイズオブクリムゾンが翔さんに制御権を設定したからですか?


☆大将……。話してて面白くない女だって言われないか?


★? 良く言われますけど?


☆…………。


★何はともあれ、僥倖ですね。少し狭いですが、この隔離領域のおかげで【精神が溶け合ってしまう】という融合進化ハイブースト最大のリスクはあっさりと回避できました。これならいつでも分離できます。


☆…………そいつは良かった。



★☆★☆★☆★



「つ……」

カラドボルグを握ったまま、左手で頭を押さえる俺。


頭が痛い……、という訳ではない。

「頭痛は収まってる」

……んだけど。


なんというか。

えーと。


「頭の中が……騒がしい?」

……のか?



★☆★☆★☆★



★こちらの声は聞こえない仕様なんですね。


☆強く念じればニュアンスくらいは伝わるけどな。……まぁ悠斗のテンション次第だ。


★外の様子を知る手段は?


☆同調だ。周りをスクリーンに見立てるといい。大将なら簡単だろ?


★あら、ほんとですね。見えてきました。


☆……ほんとに簡単にやるなよ……。


★……?


☆どした?


★いえ、なんというか……。景色が……。


☆……。


★……いえ、なんでもありません。


☆…………。


★しかし、見事な剣ですね。【断層剣カラドボルグ】改め【次元断層剣カラドボルグ】という名前はどうでしょう?


☆……好きにしろよ。


★あら、名前は重要ですよ。これだけ仕様が変わると、技名を管理局に登録し直さないといけないでしょうし。良ければ、ここから先の命名は全て私が引き受けようと思うのですが?


☆? ちょっと待て。他の技も、【こう】なるのか?


★もちろんですよ。劣化複写イレギュラーコピーしているBMP能力は、全て発展継承イノベーションの対象です。


☆んな馬鹿な。そんな都合よく行くかよ……。


★澄空さんの決意が奇跡を呼んだ……的なノリではいけませんか?


☆ノリとか言うなよ……。俺より、大将の方がよっぽど変わったんじゃねぇか?


★そんなことないですよ。私はもともとこんなです。カマトトと言うんでしょうか?


☆カマトトはいいけどよ……。全ての技を発展させるっつっても、世界法則演算はどうするんだ? こう言っちゃなんだが、うちの悠斗はあんまり頭良くないぞ……。


★それは、私の管轄らしいですよ。


☆あん!?


★さっきもそうでした。澄空さんが、『またかわされるの鬱陶しい』と思ったから、かわされないように私がデザインし直したんです。


☆……まじか……。


★澄空さんが願い、私が形にする。融合進化ハイブーストって、まるで私達のために在るみたいですよね?


☆…………。


★ひょっとしたら、実は、私がメインヒロインなんでしょうか?


☆……知らねーよ。



★☆★☆★☆★



「…………っ」

あ、頭が騒がしい。

まるで、頭の中で誰かが騒いでいるみたいだ。


まぁ、賢崎さんと融合進化ハイブーストした途端にこうなったんだから、原因は賢崎さんしかいない訳だが……。


……というか。


この感じ、いつもの謎の(アニキっぽい)声が聞こえる時と感じが似てるんだが……。

賢崎さんが『入った』途端に聞こえるということは、俺の中には、元から誰かが『居る』のか……?


と、突然記憶がフラッシュバックする。

思い出すのは、10年前。

首都橋で大暴れした後に、緋色先生のお姉さんに取り押さえられた時のセリフ。


『私の弟を捧げますから』


それから。

二度目の覚醒時衝動から復帰した後に、緋色先生が言った名前。



つまり。

今まで(たぶん10年間)俺の中に居て。

今現在(たぶん)賢崎さんと賑やかにやっている人物は……。


「緋色……翔?」



★☆★☆★☆★



★バレちゃいましたね……。普段自分のことバカバカ言っている割に、鋭い方です。


☆ひでぇとばっちりだ。俺の一人損じゃねぇか……。


★別にバレても気にするような人ではないと思いますが……。というより。


☆あん?


★私の見た感じ、貴方の方が支配権が上に設定されていますよね? その気になれば、この身体を乗っ取ることも可能だったのに、どうしてしなかったんですか?


☆…………。


★乗っ取るでもなく、存在を知らせるでもなく。ただ、【居る】だけ。……アイズオブクリムゾンの意図も分かりませんけど、貴方はどうして、そこまで『安全装置』に拘るんですか?


☆…………。


★この景色に……関係してますか?


☆……大将はあんまり驚いてなかったみたいだけどな。


★え?


☆俺の場合は、大将の比じゃなかった。


★…………。


☆世界は見る人間によって色を変える。ただの綺麗事だとは思ってなかったが、ここまで露骨に見せられたらな……。


★…………。


☆姉貴の思惑なんざ知らねぇ。俺が、もう少しここに居たいだけだ。


★…………。


☆…………。


★…………ひとつだけ。


☆なんだよ?


★お義兄さん的には、私とソードウエポン、どちらが澄空さんのお相手に相応しいと考えているんですか?


☆……………………誰が義兄さんだ。それから、なんだ、その質問は?


★大事な質問ですよ? 今現在の私のやる気に直結する質問です。


☆大将……。それは、脅迫と言わないか?


★? 純粋な好奇心から出た、邪気のない質問だと思いますが?


☆……あのなぁ。


★はい?。


☆…………わーったよ。大将の方に付く。


★良かった。これで、少しは面白くなりそうですね。今のままだと麗華さんが有利過ぎて、澄空さんも退屈するでしょうから。


☆……正直、どっちもお勧めしたくないんだけどな……。



★☆★☆★☆★

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