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BMP187  作者: ST
第三章『パンドラブレイカー』
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思い出探しと結婚活動4 ~あとはご自由に~

◇◆澄空悠斗帰省二日目行動まとめ。


○駅ビル

・とても楽しかった。

・しかし、当時と運営会社が変わってしまっており、内装が全然違った。

・ので、何も思い出さなかった。


○城

・とても楽しかった。

・けど、それほど広くなかったので、あっという間に見終わってしまったのが残念だった。

・ので、何も思い出さなかった。


○食事

・つるつるして、とてもおいしかった。

・でも、結構並んだのがこたえた。

・ので、何も思い出さなかった。


○山

・独特の形で、とても綺麗だった。

・でも、人が少なくて少しさびしかった。

・ので、何も思い出さなかった。


○海

・泳ぐと気持ちいいなとは思った。

・特に、このメンツなら、一生分の眼の保養ができるんじゃないかと思った。

・でも、時間がないので泳がなかった。

・ので、何も思い出さなかった。


○そして現在は遊園地にいるのだが……。


「……やっぱ、そうだよな」

俺は思わず呟く。

もともと観光気分なので、あまり気にしてはいなかったが、やっぱりさっぱり何も思い出さない。

本当に思い出す気であれば、もっとちゃんとした治療をする必要があるだろう。


「ま……」

今はいいか。

差し迫った必要性もなし。

今が楽しければね。


…………。

そう。

今、結構楽しいのだ。


最初は、途中で心臓が止まるかと思ったが。

車内での移動を除けば、後は大人数でのただのお出かけだった。

なので普通に楽しかった。


「だから、この旅行を最後まで楽しいものにしたいんだ」

「……お前は、ジェットコースターに乗るだけが、そんなに嫌なのか?」

三村が呆れたような顔で言うが……。


嫌に決まってるだろうが、あんなもの!


あんな高度を、あんなバーだけで固定して高速で疾走する乗り物に、娯楽のためだけに搭乗する生物が、この地上のどこにいる!?


「全国どこの遊園地にも、たいていあると思うがな……」

「しかも、ここのやつ、首都のと比べたら、だいぶ小さいよ?」

峰と小野まで、三村の味方しおってからに……!


「いや、俺、ほんとに遠慮するって。三村達だけで行ってこいよ」

「いやな、澄空。おまえが来ないと、女性陣の大半が来ない可能性があるんだよ。あんな美少女達の悲鳴が聞けるかもしれないチャンスをみすみす逃す手はないだろ。……可能性は低いけど」

「そんなマニアックな愉悦のために、俺の悲鳴をたっぷり聞きたいのかお前は!!」

怒鳴る俺。


と。


「なぁ、澄空」

三村が俺の肩を掴んで、顔を近づけてくる。

「な、なんだ?」

「お前は、俺と同じ高速の世界を生きる者だろ?」

……なんだ、その格好いい称号は?

「ゼロの世界を目指す俺たちが、たかだか200キロも出ないようなマシンにビビってどうする?」

「お前、それ、絶対、レーシングアニメか何かの設定だろ!?」

というか……。

超加速システムアクセルは、200キロ以上出てるとでも言うのか!?」


……。

…………。

…………出てないよね?


「出てる! いや、出る! 俺たちが信じれば!」

「いや、出したくないんだって!」

「そんなんで、ジェットコースターバトルとか、どうやってやるつもりだ、澄空!?」

「誰がするか、そんなもん!!」

なんだ、その拷問バトルは!?


「大丈夫だって、澄空。お前が怖がってるのはただのイメージだ」

「イ、イメージ?」

「そう、イメージだ。だいたい、ここのは100キロも出ないだろ。乗ってみれば、なんだこんなもんか、って感じだって。注射と一緒だ」

「な、なるほど……」

なんか一理あるかもしれない。


「あのガルア・テトラの捕食行動マンイーターから逃げ切った時のことを思い出せ。お前は、あの時、確かに音速を超えていた!」

「お、おう……」

た、確かに、あの時に比べれば……。


「じゃあ、いくぞ、澄空!」

「お、おう!」

よっしゃ!

いっちょ、試しに行ってみるか!!


◇◆


結論。


「めっちゃ、怖いわ、ぼけーー!!」


俺は、幻夜さん達が見守るのも構わず、大声で叫んだ。


「おお。澄空が珍しく汚い言葉を」

「キレ萌えか……。『新月ちょっとイケてるイケメンランキング』が急上昇中でも、常に新しいアピールポイントを考えだす貪欲な姿勢には感心せざるを得ないな」

貪欲ちゃうし!

キレ萌えもちゃうし!


「そして、俺のこの喋り方は、好きな芸人さんにインスパイアされただけで、複雑な過去とかややこしい裏設定があるわけじゃないんだからねっ!!」


「落ちついて悠斗君。つんでれになってる」


ひらがなになるくらい理解度低いなら、言わんでよろしい!!


「…………はあぁぁ…………」

深く深くため息をついて、俺はベンチに腰掛ける。

はぁぁ。


「……どうやら、本当に堪えたみたいだな」

「時空を喰い散らかす幻影獣を逆に異界送りにするような男が、どうしてあんなもん怖いんだろうな……」

峰と三村が、俺とジェットコースターを見比べながら不思議そうな顔で言うが……。

怖いよ、普通に。


「まぁ、悪かったよ、澄空。俺達、ちょっとあっちのフリーフォールしてくるから、休んでろよ」

三村が言う。

まだ、絶叫系乗る気か!?

「ジェットコースターは期待外れだったからな」

「あっちのは、少しは気合入ってるかな?」

和気あいあいと去っていく、三村・峰・小野。

……信じられん。なんで、みんな、あんなもんに平気で乗るんだ?


「では、私達も少し外しますか。澄空さんも、疲れたでしょうし」

と言って、賢崎さん一族チームもどこかに去って行った。


しかし、あのメンツ、良く見ると凄い迫力だよな。

強面・美形・美人4・美少年(しかも、全員戦闘職)って、ビジュアル系バトルドラマのメンバーみたいだ。

……などとアホなことを考えていると。


「じゃあ、私達も、あっちの……フライングパイレーツ? に行こう」

最後に残った麗華さんがエリカに話しかける。

「エ? 私達二人デ行くんデスか?」

「? 悠斗君は休むんだし、私達二人しか残ってない。……あ、ひょっとして、エリカ、一人で回りたい?」

「イエイエ! そんなコトはナイんデスけど……」

と、俺と麗華さんの顔を相互に見比べるエリカ。

どうも気を使わせてしまっているらしい。

「ちょっと休んだら連絡するよ。それまで二人で回ってて」

「悠斗さんガ、そう言うナラ……」

頷いて麗華さんと共に去っていくエリカ。


という訳で一人になった。



☆☆☆☆☆☆☆



「ん……」

「どうしました、お嬢様?」

悠斗と別れた直後の賢崎チームの中、唐突に立ち止まった藍華に幻夜が声をかける。


「いえ、電話のようなのですが……」

何か気がかりなことがあるかのように答える藍華。

「何か問題でも? というより、出ないのですか?」

「…………」

「お嬢様? どなたからなのですか?」

上杉時子も、心配そうに声をかける。


が。

「すみません。少し席を外しますね」

藍華は、そう言って離れた。


◇◆


首都に比べれば人が多いとは言い難い遊園地だが、完全に人が居ない場所となると少々難しい。

しばらく探し回った結果、藍華は、お化け屋敷の裏手で電話を取ることにした。


携帯電話は鳴り続けている。

普通ならここまでしつこく鳴らすことはまずありえない。


「ふぅ……」

藍華は深呼吸を一つ入れ。

電話を取る。


「もしもし、どうしました。佐藤社長?」

『申し訳ありません、お嬢様! せっかくのお楽しみのところ、電話は可能な限り控えようと思っていたのですが!!』

「構いません」

『は、はい。申し訳……』

「それで。貴方は誰ですか?」

『え?』

「誰ですか?」

『……』

「……」

『…………』

「…………」

『……驚いた。なんで、この段階でバレるの? これ、間違いなく社長さんの身体よ?』

「そうですね、声は間違いなく。佐藤社長が、自分の携帯をなくすなんてことはまず考えられませんし。ただ、あなたのBMP能力は、一度見せてしまっていますよね、『迷宮ラビリンス』」

『怖い子ぉ……。やっぱり、未来が見えるってのは、本当みたいね』

「近い未来でしたら。しかし、その声でその喋り方は、少し違和感があるのですが」

『固いこと言いっこなし。貴方にとって、良い情報を教えてあげるんだから』

「なんですか?」

『これから、レオが仕掛けるわ』

「レオ? それは、確か……」

『四聖獣よ』

「…………そういうことですか。ガルア・テトラと同じくわざわざ先にBMP能力を晒すとは……。貴方がたの目的は、一体何なんです?」

『未来が見えるなら、そのうち分かるでしょ?』

「……確かに」

『そんなことより、相談はここから』

「というと?」

『このままだと、確実に悠斗君は殺されるわ』

「レオは、ガルア・テトラよりも強力だと?」

『そういう次元の話じゃなくてね』

「?」

『【絶望の幻影獣】といえば、ひょっとしたら分かりやすいかしら?』

「!?」

『あ、これで伝わるみたいね』

「それは……神獣だと思っていました」

『我らが四聖獣のリーダーよ。そして、最強の幻影獣。彼がこのゲームの次のプレーヤー』

「勝てる訳がない……」

『でしょぉ? 私もそう言ったんだけど、あいつ聞かなくて。で、ちょっと邪魔してやることにしたの。私達の目的は、悠斗君を殺すことじゃないからね』

「……なるほど。そういうことですか」

『あ、もう分かってくれた。さすが、話が早いわね。じゃあ、後は任せるわ。あなたなら容易いことでしょ?』

「貴方が邪魔をしないというのであれば」

『もちろん。じゃあ、汚れ役よろしくね。優しい魔女さん』

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