夕食の時間
4話
「勇者様。」
「ご夕食のお時間です。」
部屋の外からそんな声が聞こえてきた。
「はい。わかりました。今行きます」
俺はそう言ってさっきまで寝ていたベッドから起き上がった。外はすっかり夕暮れ時になっていた。
おそらく騎士が言っていた夕食を俺に伝えにくる使いの人だろう。
俺はこの異世界に来た時の格好で寝ていたため、乱れている服を正しく戻し、ドアを開けた。
「勇者様。お目覚めになられましたか。」
「遅い」
ドアの目の前にはメイドが二人いた。どちらとも俺よりも小さかった。
「私の名前はオーシャと申します。」
「名前はアーシャ。よろしく」
オーシャ、アーシャというらしい。どちらともかしこまっていた。
「では勇者様。夕食会場にて、主様が待っております。では勇者様、私についてきてください。」
オーシャが言った。
「ふぅ…はい。わかりました」
俺が返事をし終わった瞬間、2人のメイドは歩き出した。
◆
「私の名前はテリーと申します」
「こんばんは。11人目の勇者様」
俺が夕食会場に着き、最初に言われたのはその言葉だった。
先に夕食会場につき、先に席に座っていた女王が言った言葉だ。
「あの…ちょっと気になることがあるのですが…」
「なんですか?勇者様?」
「11人目ってどういうことですか?」
「知らないんですけれど…」
その瞬間、女王は俺を部屋まで案内した騎士の方を向いた。
「言っておりません!忘れておりました!テリー様」
「はぁ」
騎士が言ったことに対し、女王はため息をついた。
「勇者様。11人目というのはですねあなた様より前にこのエルフィデスに転移された方が10人いるということです」
俺はその瞬間、感動が胸を駆け巡った。
俺1人だけが勇者だったのならば俺1人に注目が集まるが11人となれば注目の目が散乱するからだ。
それは俺の異世界生活で目立たない、という考えと強く合致する。
すると女王は俺に言った。
「まずは、席にお座りください。勇者様」
俺は早速席につき、机に並べられた料理に手をつけようとした。しかし女王は神妙な表情でまた話し始めた。
「勇者様…パーティーというものは知っておりますか?」
「パーティーは複数人で構成される冒険チームのようなものです」
「パーティーですか?知っていますが…」
「そのことなんですが…勇者様方にも2人1組のパーティーを組んでもらっていて…もう10人全員5パーティー組まれているんです。大変申し訳ないんですが…あなた様には勇者ではなく別の人間とパーティーになってもらいます…」
「あっ、はい。わかりました。そのパーティーの相手はもう決まっているんですか?」
パーティーメンバーなどどうでもよかった。エルフィデスで有名な人以外だったら俺は快く快諾しようと思った。
「はっはい!もちろんです勇者様!」
「オルビス!」
女王は俺が少し嫌がると思ったのだろう。俺の心からの快諾に驚いていた。
女王が誰かの名前を呼んだと思うと、俺を部屋まで連れて行ってくれた騎士が出てきた。
「オルビスです!勇者様!よろしくお願いします!」
「この後のことはオルビスが全て知っております」
「わからないことがあったらオルビスに聞いてください」
「それでは勇者様…待たせてすいませんでした。夕食のほうをお食べになってください」
その騎士の名前はオルビスというらしい。俺はオルビスに対し願った。どうか目立つことをしないでくれよ、と。
「よろしくお願いします」
俺は1言返事をし、夕食を食べ始めた。
◆
そうして11人の勇者、パーティーメンバーなどの内容が暴露された夕食は怒涛の勢いで終わった。
俺が部屋に戻ろうとすると、オルビスが駆け寄ってきた。
「勇者様〜!!」
「オルビスです!よろしくお願いします!」
「早速明日なんですけど、勇者様と私のパーティーが何をするかを話したいので、朝、朝食が終わったらお部屋の方へ伺いますね!」
「じゃあ!また明日です!」
「あ…はい」
明日もこれが続くのか…俺は今日の時点で意気消沈していた。
投稿できる日は18時を基準に投稿します。
よろしくお願いします!!




