白の世界 3
クエリオは死神の掟を破り
明日奈を病気から一時遠のける
それを知った先代は・・・
グラシオム「クエリオ・・・お前と言う奴は・・・
私の名前に恥をかかせる気か!?」
クエリオ「・・・すいません」
昨日 私は彼女の容態にある魔法をかけた
一時凌ぎではあるが確かに良くなった
?「これは天界の問題ですよ?」
グラシオム「むぅ・・・ラハエルか」
?「ラハエルではありませんラファエルです」
ミカエル「この状況 どう責任を取るつもりです?先代」
グラシオム「交互に責め立ててはクエリオもかわいそうじゃ
私が十分灸をすえてやったからこの話は終いじゃ」
?「あなたは良くても私達三大天使はそうはいかないのです」
グラシオム「ええい!人に間違いは誰しもつきものじゃぞ
ガブリエル そちに間違いは無かったと言えるのか?」
ガブリエル「・・・わかり・・・ました・・・」
クエリオ「本当にすみません 我が主」
グラシオム「クエリオまでしつこいぞ 私が良いと言ったのだ
ぶり返すで無いわい でどうするのじゃ?」
クエリオ「二度と立ち寄らないと誓います
そして時期になったら必ず裁きを・・・」
グラシオム「お主はそれで良くとも彼女はそれを望まんじゃろ」
クエリオ「しかし私は彼女に出会うと自制がききません
今度は本当に助けてしまうかもしれません」
グラシオム「そうか・・・自制がきかぬか・・・
懐かしいのぉ・・・」
クエリオ「懐かしい?」
グラシオム「私もまだ半人前の頃は人を下すのに躊躇したわい
あの子はまだ私よりも若く そしてクエリオ
そちと同じ状況に立った」
クエリオ「え?我が主もですか!?」
グラシオム「うむ・・・ やはりそちは私の生まれ変わりじゃの
私と同じ道を行こうとする」
クエリオ「・・・」
グラシオム「じゃがそれはハズレの道なのじゃ あ奴の泣き顔が今も
忘れる事が出来ぬでの・・・ じゃからクエリオ
会うのじゃ そちに幾度となく降りかかる誘惑を振り払い
彼女を泣かせぬまま下すのじゃ」
クエリオ「いい・・・んですか?」
グラシオム「うむ それを葛藤して心を強くするのじゃ」
クエリオ「は 仰せのままに」
* * *
明日奈「お兄ちゃん お兄ちゃんって好きな子いるの?」
クエリオ「え?」
明日奈「明日奈ね・・・お兄ちゃんとなら結婚してもいいよ」
ママ「ふふ・・・本当にあなたの事気に入ったみたいなの」
クエリオ「いや・・・しかし・・・」
明日奈「あのね すぐじゃなくてもいいの 少しずつでもいいから」
ママ「私としては明日奈が容態変化した時にずいぶんあなたに救われたわ
あなたさえよければどうか家の娘をよろしくお願いします」
クエリオ「ええっと・・・ど・・・どうすれば・・・」
明日奈「明日奈じゃ困る?」
クエリオ「いやその・・・困るというか・・・」
明日奈「じゃぁじゃぁ 少しずつでいいから ね?」
クエリオ「・・・う・・・うむ・・・」
長くしかし短く私は彼女の元を訪れた
私は彼女の家に呼ばれた
彼女も病院の許可を得て特別に帰って来たと言う
彼女の誕生日だった
彼女の父親にもそこで知り合った
親子そろって私の事を彼女とうまくいくようにと願う
* * *
それから5年の月日が流れた
彼女はすっかり大人じみていた
死期の期間は過ぎているが彼女の持つ
回復力のおかげで寿命が延びたようだ
明日奈「クエリオ・・・さん」
クエリオ「ん?どうした明日奈」
明日奈「私やっぱりクエリオさんの事が好きです」
クエリオ「どうした急に」
明日奈「先生から聞いたんです 私の命 もうあまり持たないって
正直ここまで持ったのは奇跡に近いって」
クエリオ「おいおい 持ち前の明るさはどうした?
昔のお主はそれを聞いても努力して直そうとしていたではないか」
明日奈「知っているんです」
クエリオ「?」
明日奈「本当は治らなくて 絶対に死は訪れて
いつかはわからないけれど 親より先に死んじゃうのは昔から知ってたんです」
クエリオ「・・・」
明日奈「だから私死ぬ前にクエリオさんと結ばれたい・・・です・・・」
クエリオ「死ぬ前にとか言うな!!」
クエリオが一際大声を出す
クエリオ「何だそれは!知っていたから何だというのだ!
確かに人は死ぬ それは絶対だ!だが主からは生命が感じられぬ
昔にはあった生きる希望がまるで感じぬ!そんな気持ちでは
私は・・・私は揺るがぬ!」
はぁはぁ・・・と息を乱し何かに対して怒りをぶつける
明日奈「・・・」
そんなクエリオに驚き涙する明日奈
クエリオ「あ・・・すまぬ・・・怒鳴るべきでは無かった」
明日奈「いいえ・・・クエリオさん・・・私・・・嬉しいんです
そうですよね・・・生きる希望を持たなきゃダメですよね」
クエリオ「よくならない病気など本当は無いのだ
自分が怖気づいたらたちまち病原菌は牙を剥く 気の持ちようだ」
明日奈「ふふ・・・クエリオさんがそう言うなら 何だか
そう思えます やっぱり私はクエリオさんが好きです」
クエリオ「よし ではこうするのはどうだ?
その状態が少しでも回復するようなら 結婚しようではないか」
明日奈「え!?本当に?本当ですか?」
クエリオ「私は嘘は言わぬ どうだ?頑張れるだろ?」
明日奈「はい!はい!!私絶対良くなります!だから今の話
無かった事にしないでくださいね」
クエリオ「わかっておる」
ぎゅっと明日奈の手を握る
その手が
力無く
落ちた・・・
クエリオ「明日奈ーーーっ!!」
急いでナースコールし母親に連絡した
私と明日奈両親ただ祈るだけだった
病室から緊急室までの間に明日奈が
「私絶対良くなって帰ってくるからね」と言う
私は「わかったから今はしゃべるな」と言うしか出来なかった