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イフ ~もう一つの世界~  作者: キサラギ フレシオ
4/6

白の世界 2

最年少にして天才と謳われたクエリオにある事件

それはいつもの裁きと同じ死神としての仕事なはずなのに・・・

クエリオ「あれが今回のターゲットか・・・」

白い病室 白いベッド 白いカーテン 白い壁

全てが白に覆い尽くされた部屋

個室で静かに寝ているそれはまるで死期を感じられない


私の姿が人に見えるわけでは無いが

そいつを起こさないようそっと近づいた


クエリオ「・・・綺麗だ・・・」

私の周りにも女性はいる がそれに秀でるくらいの美人だ

?「ん・・・」

少女が目を覚ます 寝ぼけ眼で辺りを見渡すその姿は

実に可愛らしい


?「・・・?お客・・・さん?」

クエリオ「何!?お主私が見えているのか?」

?「変なお兄ちゃん 見えているから聞いているんだよ~」

えへへと笑う

やはり死期が近いからか?と思うクエリオ

クエリオ「主はたしかええっと・・・」

?「明日奈あすな明日奈だよお兄ちゃん お兄ちゃんはだあれ?」

クエリオ「私・・・私か?クエ・・・」

名前を言おうとして我に返る


何故私は自己紹介をしているのだろう?これから死に逝く人を

親しくしてはならない 個人的感情を抱いてはならない

それは死神になる時に嫌という程言われてきたのに・・・

明日奈「お兄ちゃん?」

クエリオ「ええっと・・・私は・・・ そう!実は私はお客さんじゃないのだ」

明日奈「え・・・?じゃあ先生なの?」

クエリオ「先生でも無い 私は患者室を間違えた ただの通りすがりだ」

明日奈「あはは お兄ちゃんっておっちょこちょいさんなんだね」

クエリオ「そうなのだ 私はちょっとそそっかしいのだ では

失礼する」

明日奈「残念だな・・・久しぶりにお母さんとお父さん以外のお客さんだと

思ったのに・・・」

消え入りそうな声でつぶやく


ふっと振り返ると明日奈はベッドの中で顔を下げてうつむいていた

クエリオ「あ・・・えーーーっとその・・・また明日来てやる」

明日奈「え!?」

クエリオがそう明日奈に伝えるとぱあっと輝く顔になる

明日奈「本当!?本当なの!?お兄ちゃん」

クエリオ「これも何かの縁だ 私でいいなら・・・」

明日奈「わーーー ありがとうお兄ちゃん!絶対 絶対だよ!」

クエリオ「ああ・・・必ず」

そう言うと再び立ち去るクエリオ



足早にクエリオは自分のした事を深く反省した

何が心を揺らすなだ・・・ 完全に揺れているでは無いか!

自分に叱咤し心を落ち着かせようとする



* * *



明日奈「ママー 昨日ね ここにお兄ちゃんが来たの

あのね お兄ちゃんはね 本当は別の患者さんのとこに来るつもりで

間違えて明日奈の所に来たの でもねまた来てくれるって」

ママ「明日奈ったらまたその話?よほどそのお兄さんが気に入ったのね」

明日奈「うん!明日奈小さい頃からずっと病室の子がお友達だったから

お外のお友達が出来て嬉しいの」

ママ「ぜひ会ってみたいわね そのお友達に」

明日奈「うん!今日も来るって言ってたからきっとくるよ」


何となく気になって明日奈の様子を見に来たクエリオ

どうやら自分を話題に無邪気に笑って母親に話しているようだ

クエリオ「あれは行ってやらぬとマズいよな・・・?」

本当なら来るべきではなかった 明日来るとは言って来なければよかった

だけど来るのを期待しているあの子を見たら

それは出来なくなった


仕方なしに人にも見れる姿を取り 明日奈を尋ねに来たクエリオ

クエリオ「こんにちは」

明日奈「あ!お兄ちゃん こんにちはー ねぇママ 昨日のお兄ちゃん」

ママ「どうも家の娘がお世話になってしまったようで」

クエリオ「いえ・・・私の方こそ確認せずに入ってしまったものですから

あの・・・不審ではないでしょうか?」

ママ「この子がこんなに嬉しそうにしているんですもの・・・

どうして不審出来ましょう?」

クエリオ「そうですか・・・」

明日奈「ママー お兄ちゃんいじめないでね?」

ママ「あらあら・・・いじめていませんよ そうだわ!せっかくの

お客さんですし リンゴでも剥きましょう」

明日奈「わーい リンゴだーいすき」

クエリオ「あ・・・いえ・・・私はお構いなく・・・」

ママ「あらあら・・・ご遠慮なさらずに 明日奈がお世話になった

お礼も兼ねてどうか食べてください」

クエリオ「そ・・・そうですか・・・ではいただきます・・・」


これでいいのだろうかと自問自答しながらそれを口にした



* * *



私はダメと知りながらも彼女が気になって何度も足を運んだ

彼女はいつも笑って出迎えて 他愛のない話をして・・・

ある日 私はいつもと違う顔で立ち会う

じわじわと彼女の中に宿る病に私は私の責任を思い出し

何もできないもどかしさに戸惑いを感じる


ママ「明日奈・・・明日奈っ しっかり・・・しっかりするのよ!」

先生「落ち着いてくださいお母さん」

ママ「先生!明日奈は明日奈は大丈夫なんですよね!?」

先生「大丈夫です お母さんがしっかりしないでどうするんですか」

クエリオ「・・・っ」

クエリオはいてもたってもいられなくてついに

やってはいけない事をする


看護師「先生!明日奈ちゃんの容態が回復しました!」

先生「本当か?今行く!」

ママ「ああ・・・明日奈・・・よかった」

クエリオ「良かったですね明日奈の母君ははぎみ

ママ「ええ・・・ありがとう・・・ありがとう」

クエリオ「何故私に礼を・・・回復したのはきっと・・・明日奈さんの

生きる希望が勝っただけの事ですよ」

ママ「そうね そうよね」

クエリオ「ええ・・・」

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