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第1話:霧の村の音符事件

 霧が村全体を包んでいる。俺、ぺいはそのど真ん中で何も分からないまま突っ立っていた。名前以外、何も覚えていない。いつの間にか知らない場所に来ていて、見たこともない服装の連中に囲まれているのだ。


「おい、ここどこだよ!」


俺が怒鳴ると、周囲にいた数人がギョッとした顔をして少し後ずさった。その中でも、やたらとキラキラした目でこちらを見ている女がいる。髪は肩くらいの長さで少しクルクルしている。なんというか、見た目は普通だが、やたら俺を見てくるせいで気に障る。


「お兄さん、ここは霧の村です!」とその女が興奮気味に言ってくる。「私、リリス。あなたもしかして記憶がない?」


「記憶? ああ、何も覚えてないけど?」


「それなら同じね!ここにいるみんな、実は記憶をなくしているのよ。だから、あなたが誰で、どこから来たのか分からなくても不思議じゃないわ」


俺はそのリリスって女をじっと見た。俺のことをよく知りもしないくせに、やたら親しげに話してきて妙にイラつく。だから俺は不機嫌そうに言ってやった。


「なんだよ、じゃあお前も記憶がねえのか? つうか、俺に関わるな」


「ごめん、そんなに怒るとは思わなかったけど……」リリスは少し後ずさったが、すぐに少し怯えたような表情を浮かべつつ、「でもね、ぺいさん、今村が大変なの。音符の石が……音が鳴らなくなって、みんな困ってるのよ」


「音符の石? 何だそれ?」


リリスが霧の中で俺の手を引いてきた。俺はムッとしながらも彼女についていくと、そこには台座の上に並べられた小さな石の玉があった。近くには、ほかにも二、三人の女がいて、みんな困った顔をしている。


「この音符石が、霧を晴らす力を持っているんだけど、急に音が出なくなっちゃったの……」リリスが説明する。


「で?」俺は思わずため息をついた。「そんなもん俺にどうしろってんだよ?」


リリスがさらに説明を続けた。「音符石には音符が刻まれていて、音の順番通りに並べれば霧が晴れるようになっているの。でも、音楽の理論を使わなきゃいけなくて、私たちにはそれが難しくて……」


彼女が指差した石には、CとかEとかFとかアルファベットが刻まれている。


「なんだこれ……英語じゃねえか!」


俺はつい声を上げた。音楽の知識があるわけじゃないが、なんで音楽にわざわざ英語を使う必要があるんだと、ものすごく違和感があった。


「CDE? FGAB? わけわかんねえよ!」俺は思わず怒鳴った。「そもそもなんでアルファベットなんか使うんだよ、数字でいいだろ、数字で!」


みんなポカンとした顔で俺を見ている。どうやらアルファベットで音楽を表すことが普通らしいが、俺には全く納得がいかない。


「おい、リリスだっけ? 俺の言う通りにしろ。Cを1、Dを2、Eを3って順番に数字振ってくだけでいいんだよ。音符なんてそのほうがよっぽど分かりやすいだろ」


「えっ、そんな風に考えたことなかったけど……」リリスはちょっと戸惑っている。「でも、それだと4分音符とか8分音符の扱いはどうするの?」


「4分音符? 何だそれ? 長さも数字でいいんだよ。例えば、1が1秒なら、2秒なら2とかにすればいいだろ?わざわざ複雑にする意味がわかんねえ」


俺の言葉に、リリスだけでなく、周りにいたほかの女たちも目を見開いた。


「ぺいさん、なんてすごい発想なの!」別の女が目を輝かせている。「数字に置き換えることで、私たちでも音符石を並べやすくなりますね!」


リリスも興奮したように頷く。「さっそく、ぺいさんの提案通りにやってみましょう!」


俺が見ている前で、女たちは一生懸命数字を使って音符石を並べ始めた。アルファベットの代わりに数字を振ると、少しずつ音が鳴り始め、霧がゆっくりと晴れていくのが見える。


「すごい……! ぺいさんのおかげで、霧が晴れていくわ!」


リリスが俺に感謝の言葉を述べ、周りの女たちも拍手をしてくる。俺はなんだか少し気まずくなりながらも、胸の中で少しだけ嬉しさが湧いてきた。


「いや、別に俺が特別ってわけじゃねえけど、アルファベットとか意味分からねえし、誰にでも分かりやすくするのが普通だろ?」


「さすが、ぺいさんね!」リリスが俺の腕に手を置き、満面の笑みで言ってきた。「ぺいさんのシンプルな考え方が、私たちを助けてくれたわ」


「そうよ! もっとぺいさんのこと知りたいわ!」周りにいた他の女たちも笑顔で俺を囲み始めた。どこかぎこちない俺に対して、彼女たちはさらに近づき、俺の考えを称賛する。


俺は少し顔を赤くしながらも、鼻を鳴らして言ってやった。「ああ、こんなの朝飯前だよ」


そのとき、リリスがささやくように言った。「……あなたって、まるで異世界から来たような発想ね」


「まあ、異世界のことは俺もよく覚えてねえが……数字の方が便利なのは、どこに行ったって変わんねえんだよ」


女たちはみんな興奮した様子で、俺を見つめ続けている。


霧の中で俺の考えが役に立つとは思っていなかったが、まさかこんなにも感謝されるとは……。俺は自分が何者なのかもまだ分からないが、この霧の村で少しだけ役に立てたような気がしていた。

※村人の1人

酒飲んで気持ちわるい。音符が多すぎて気持ち悪い。

英語だろうが数字だろうが理解できん





条件

・第一話

・ 「CDEとかFGABとか英語わかんねえよ。数字でいいだろ数字で。4分音符ってなんだよ数字でいいだろ」この考えを膨らませて人の役に立ってちやほやされて

・一話のうちにオチをつけて

・ヒロインおおめ

・文字数多め



主人公 

・名前はぺい

・元日本の転生者

・一人称は俺

・きれやすい。人と目が合っただけでもきれる



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