プロローグ
タイトル通りの内容です。笑いあり若干BL?ありの男の娘ギャグミステリーです。
バカバカしいとお腹を抱えて笑っていただけますと幸いです。
安河内大雅は我が目を疑った。
「どういうことなんだ一体……?」
彼は新入生として私立武刀高等学校に入学したはずだった。
しかし、目の前の光景と記憶の中の学校はある部分が乖離していた。
(落ち着いて思い出すんだ。俺が入学を決めたこの学校はどんな学校だった?)
自問自答しながら記憶の糸を手繰ってみる。
私立武刀高等学校は、偏差値は高めであり一応進学校に分類される。東大や京大などの名門大学に進学する先輩も多いという実績も耳にしている。
また、この学校の素晴らしい点は学業ばかりではなく部活動も充実しているというところだ。運動部は県大会優勝経験もあり、文化部も作品が業界で評価されていた。さらに専門性の高い学科の選択も可能でその分野で活躍している卒業生も多く輩出している。
大雅は学校案内の資料を熟読し、オープンキャンパスにも参加したからよく覚えている。
先輩方の功績も映像や写真で紹介されたので記憶には鮮明に残っていた。角刈りや短髪で強面の男達が腕を組んで喜ぶ姿は印象的だった。
「この学校に入学できてよかったぁ。しかもみっちゃんと同じクラスで嬉しいっ」
「ほんとだよー、私もゆうちゃんと同じクラスじゃなかったら絶対孤立してると思う~」
自分の横の席で二人の女生徒が可愛らしく話している。校則違反かと思われる程の短いスカートにチラチラ目が移ってしまう。
(ちがう! 注目すべきはそこじゃないだろ! 明らかにおかしいじゃねーか!)
大雅の隣の席の生徒は熱心に化粧をしている。不慣れなのかピエロのようなメイクになってしまっていた。案の定友人らしき少女に笑われてしまっている。彼女は揶揄うことはせず、濡れタオルでピエロメイクを拭き取ると、正しくメイクを施して道化師から美少女へと変身させてしまった。美しい友情である。クラスの女子のレベルは総じて高い。本来なら思春期の男子生徒として諸手を挙げて喜ぶ幸福のはずだ。
(くそっ! どこかに俺の不安を共有出来る奴はいないのか……?)
隣の女子たちに尋ねようと思ったが初対面の異性ということで緊張してしまう。
手を拱いている間にチャイムが鳴ってしまった。同時に担任らしき男性教師が入室する。彼は生徒達を見渡すと、特段気にする様子もなくそのまま朝礼を始めた。
「えー、皆まずは入学おめでとう。今後は武刀高等学校の生徒として――」
教師の話はありふれたものだった。可も不可もない定型文である。だが大雅が一番知りたかったことの説明が全くされていなかった。教師なら最初に説明すべきことが抜けてしまっている。我慢しきれなくなった大雅は席から立ちあがった。
「なんだ、安河内。出席確認はまだだぞ。さっそく自己PRでもしてくれるのか?」
「そうじゃなくて! 先生! 明らかにおかしいじゃないですか! 武刀高等学校は男子校のはずです! なぜ女生徒がこんなに多いんですか!?」
「何を言ってる。寝ぼけてるのか? この学校には男子生徒しかおらんぞ」
大雅は口を開けたまま周囲のクラスメイトを見渡した。
スカート姿の生徒たちが狼狽する彼を見てクスクスと笑っていた。
主人公は安河内大雅君。男子校に入学したはずがクラスメイト達が女性姿なので戸惑いを隠せません。次話からその謎を追ってきます。
今の俺のムーブメントは〝オトコ〟だ(某神喰いのイケメン風)