気づいたら誰よりも強かった
時は2004年7月、東京都の日本武道館で開催される第何回かの全国道場少年剣道大会の決勝戦。剣道愛好者たちが大会に興奮しています。
B: 『今年はどっちが優勝すると思う?』
A: 『地力で行けば復権の名門梅松館じゃないかな。去年は田川は安川に負けて優勝まであと一歩だったしね』
B: 『だけど、勢いで言うと、安川擁して前年優勝した嵐山少年剣道部を破って勝ち上がってきた奈良の・・・川村剣道クラブじゃないかな?』
A: 『まぁ、実績は無いけど、勝負の世界なんて何が起きるかわからないし何とも言えないな』
B: 『そろそろ、始まるし見に行こうか』
A: 『まさかの試合だったな』
B: 『これこそ、伏兵現るっていうのかね』
A: 『あの子の大会の試合見返したけど、負けなしだけど勝ちなし、これが初勝利って・・・』
B: 『代表戦にもつれ込んで、まさかの大将じゃなくて中堅が代表戦に出てくるとはね・・・』
A: 『それも、よりによって開始速攻の出ばなの小手で終わるって味気ないよな』
B: 『これこそ、会心の一撃ってかな、アハハハー』
A: 『本当に、勝負の世界って怖いよな・・・・・・』
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大会が終わり、少し時が経ち、2004年10月、大阪。
私の名前は溝川飛鳥、12歳。両親が剣道一家の家系に生まれ、気づいた時には竹刀を持たされ、気づいたら教えられている道場で剣道をさせられていました。
A子: 『飛鳥!学校終わったら家に来ない!今日お母さんがケーキ作ってくれるの食べようよ?』
飛鳥: 『行きたいけど・・・・来週に昇級審査があるから帰って稽古を見てもらわないといけないの・・・・』
A子: 『飛鳥、いつも大変だね。また良かったら来てね』
飛鳥: 『うん、ごめんね・・・』
飛鳥は自宅に帰宅して一つの手紙に気づく。
母: 『おばあちゃんの病院に行くので、審査も近いしサボらず一人でも稽古するのよ!
PS.お父さんは帰りが遅いらしいから、たまには中にか美味しいもの二人で食べようか!』
飛鳥: 『・・・・いないんだったら、A子の家に行けば良かったな・・・・だけど後でばれると
烈火の如く怒るし、大人しく素振りでもしに行くか』
飛鳥は一人で自主練に励んでいました。竹刀を振り上げ、心地よい音を響かせながら、その美しい素振りに建太が声をかけました。
建太: 『あれ、君、綺麗だね!』
飛鳥: 『きゃー!君誰!何よいきなり綺麗って気持ち悪い』
建太: 『あっごめん!、たまたま散歩していたら剣道場見つけて、ちょっと中を覗いたら、綺麗な素振りする人がいると思って・・・・』
飛鳥: 『(綺麗って素振りの話かい)それはそうと君は誰なの?失礼でしょ勝手に来て!』
建太: 『だから謝ったじゃん!僕は中坊 建太12歳!』
飛鳥: 『12歳って私と同じ年じゃん、だけど見た事も聞いた事もないしここの地域じゃないよね?』
建太: 『うん、僕は奈良の人だから、ここの地域に詳しくないんだよね!』
飛鳥: 『そうなんだ何で、大阪に来たの?引っ越し?』
建太: 『うんうん、おじいちゃんの家に遊びに来たの!それで近くに剣道場があるって聞いたから見に来たの!』
飛鳥: 『君は剣道するの?』
建太: 『うん!僕もお父さんの影響で1年生から剣道をしているよ!こう見えても1級なんだよ!』
飛鳥: 『へぇ~私と同じね、この道場もねお父さんが教えていて1年生から剣道しているの』
建太: 『じゃぁ、もしかしたら大会で会ったことあるかもしれないね!名前を教えてよ!』
飛鳥: 『あっごめん、私は溝川飛鳥12歳大会はね1回も出た事ないんよね』
建太: 『え!なんでこんなに綺麗な素振りして絶対に強いよ!!!』
飛鳥: 『私以外、同じ年の子がいなくて何時もおじさんやお父さん、お母さんとしているの』
建太: 『そうなんだ・・・じゃぁ僕の道場に来なよ!同じ年の子がいるし大会にも出れるよ!』
飛鳥: 『君の道場、奈良だよね・・・・どうやって行くんだよ』
建太: 『確かに!!あはははは!だけど本当にもったいない無いね!僕まだ時間があるから、稽古付き合ってあげるよ!こう見えても僕負けたこと無いんだよ!』
飛鳥: 『ふーん、負けた事ないんだじゃぁすごいん強いんだ?』
建太: 『えーと・・・・』
飛鳥: 『何よ負けた事ないんでしょ?』
建太: 『試合で負けた事は無いんだけど、勝ったのは1回だけなんだよね・・・アハハハ』
飛鳥: 『言っている意味が分からないんだけど、試合で負けた事なかったらすべて勝ってるのじゃないの?』
建太: 『実は、今までずっと引き分けだから・・・負けた事は無いんだよ!』
飛鳥: 『何よそれ、じゃぁ強くないじゃん!!!』
建太: 『パパが言ってたけど物は言いようってさアハハハー』
飛鳥: 『はぁ~まぁなんでも良いわ私、来週昇級審査だから見てくださいよ無敗のセンパイ』
建太: 『おう!センパイが確りと教えてあげよう!』
飛鳥: 『(本当に、こいつ馴れ馴れしく調子いいやつでちょっとむかつくな)』
飛鳥は素振りを再開し、1時間ほどが過ぎ、建太が時計を見ると言いました。
建太: 『本当に綺麗だね!うーんしいて言うなら、振り上げた時の竹刀の切っ先が下がっているからもう少し、上げるともっときれいに見えるよ!あ!18時だ早く帰らないと』
飛鳥: 『ちょっと待って、私も帰るからちょっと待って!』
建太: 『おじいちゃんの家は近いの?』
飛鳥: 『裏の家?おじいちゃんの名前はなんて言うの?』
建太: 『よしつぐおじいちゃん!』
飛鳥: 『したの名前じゃなくて上の名前!』
建太: 『えーーーーと何て言うのだろう?』
飛鳥: 『なんでおじいちゃんの名前も知らないの!』
建太: 『だってお母さんのおじいちゃんだから知らいないもん!』
飛鳥: 『たいへい建設?って読むのかな』
建太: 『たしかそうじゃないかな?知らないけど・・・』
飛鳥: 『ほんと、自分のおじいちゃんも知らないなんて失礼ね、今日はありがとうまた、遊びに来たらまた一緒に稽古しようね!』
建太: 『うん!絶対に約束だよ!またね!』
そして月日が立ちそれは、その話はまた後日