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19話 体育祭①

 いつもとは違う休日の朝。

「あぁああぁぁ、うるせぇぇぇええぇ!」

 いつもならこの時間は寝ているはずなのに……と思いながら、今日もアラームを止める。


 今日はいよいよ体育祭本番だ。土曜日という事もあり、いつもより特別な感じがする。

 いつもと違う朝のテレビ、いつもより人が少ない電車……

 そして俺もいよいよ答えを出す時だ。




「おはようございまーす」

 

 俺たち生徒会は、当日の朝の最終準備もあるので、今日も朝早く登校していた。これでもう朝早く起きないでいいというと涙が止まらない。また俺たち以外にも、ボランティアの人たちも結構いる。


「おはよー斗真! 真緒や瑞希、祐樹たちも手伝ってくれてるし早く終わりそうだよ」


「うわっ、じゃあ遅刻すればよかった……」

 カラメルさんよ、連絡してくださいな。そう言ったらもう少し寝れたのに。


「もう、ほんとに斗真はだらしないなぁ」

 むしろ朝から動ける方が人間でないと思うのだが。



「「先輩、おはようございまーす」」

 と、後輩2人も挨拶してくる。


「おっ、おはよう。2人とも、今日は楽しめるといいな」


「斗真、やっぱり後輩に甘くない?」

 うるせぇ。なんか年下には優しくしなきゃ、っていうお兄さん感が出るんだわ。


「先輩、もしよければ今日の昼も皆で食べません?」

 と来間が提案してくる。


「それいいね! あっ、私たちの友達と先輩も呼ぼー!」


「かなりの大所帯になったな」

 いつの間にか、色んな人と繋がったなぁ、とふと思った。




 その後は、クラスで絶対優勝するぞー! みたいなお決まりの盛り上がりがあって。いよいよ緊張する体育祭が始まる――



 1年がまずは入場し、続いて2年のパフォーマンス。瑞希とのダンスだ。

 定位置につくと、瑞希が


「斗真君は今どう? 楽しい?」

 と問いかけてきた。


「楽しいよ。今、人生を楽しめてる気はする」

 色んな人と絡んで、楽しんで、気持ちを伝えてくる人がいて。


「そっか。よかった」

 瑞希がそう言うと、曲が流れ始めた。いかにも青春ぽい曲のやつだ。


 そうして練習通り、踊る。瑞希は相変わらず上手い。

 そして踊っている瑞希は楽しそうで、凄い綺麗だった。


「以上が2年生のパフォーマンスでした!」

 という放送部のアナウンスで急に現実に戻される。


 そして瑞希は最後に一言、俺を見つめてこう言った。


「これからもさ。いっぱい楽しもうね?」



 その後、様々な競技が行われ、うちのクラスもかなり善戦していた。

 そんな中、数少ない出番の一つである玉入れの順番がもうすぐなので、入場門で準備する。


「あれ、祐樹も出てたっけ?」


「そうだぞ、斗真。俺は出れる競技は全部出るからな」


「流石、運動モンスター」

 運動する奴は恐ろしいな。


「それに負けたくないしな、色々と」


 色々? と聞こうとすると、


「はい、先輩。出場する時はこれつけてくださいね」

 という声にさえぎられる。


「すいま……なんだ来間か」

 誰かと思えば、後輩の来間だった。そう言って渡されたハチマキをつける。


「なんだとは何ですか、先輩。まぁ、先輩のカッコいいシーン期待してますよ」


「玉入れにカッコいいシーンなんかないと思うが」

 あくまで個人の意見です。


「まぁ、確かにそうですね。じゃあ期待しないで見ときます」


「それとこれは話が別だろうが」

 全く、後輩は生意気な奴ばかりだ。


「はははっ……! やっぱり先輩は面白いですね。頑張ってください!」


「おう任せとけ、とは言えんがまぁ頑張るわ」


 

 そういって、来間との会話を終えると、祐樹が何か言いたそうな目でこっちを見ていた。


「なんだよ?」


「あの子、例の後輩か」

 祐樹たちにもあの1件の子とは話していた。


「それがなんだって言うんだ?」




「……めちゃくちゃ可愛いじゃねぇか」

 


 俺も祐樹に、


「いやそれな、分かる」

 男は、可愛い女の子には弱いのである。



「いや、お前! 俺にイケメンとか何とか言うくせに、めちゃめちゃ青春して充実してんじゃねぇか!」


「落ち着け、祐樹! ただの先輩後輩だ!」

 来間とは何もない!


「いや、それにしてもずるいな。お前、しれっと結婚するタイプだわ。女も増やしやがって」

 いや、人聞き悪い! 悪いって!


 そうして祐樹と話していると、ふと命の危機を感じた。何か生物の野性的本能とでもいうのだろうか? ははっ、そんなわけないか。気のせいだよな。


「あれ、2人を応援したのに何話しているのかなぁ?」

 鬼のようなカラメルがいて、


「2人とも? どういうこと?」

 あら、これまた鬼がいるな。あっ、真緒だった。


「えっち、です」

 あら、瑞希さん? そんな軽蔑する目で見ないで?


「「「まあね? とりあえず頑張ってね?」」」



 そういって、謎の力が働いた俺たちが活躍し、玉入れ部門では優勝するのであった。

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