楽園の箱-ただそうある神-(停滞の詩)
開けてみない限り、箱の中身の世界、箱の外の世界は、誰にも分からない。
希望か絶望か、それはパンドラの箱、まるでシュレーディンガーの猫。
さて……この箱の中身は……
希望という名の絶望。
何も起こらない生活とは、
停滞する世界。
進化の止まった場所。
全てが同じ、
全てが平等、
全てが繰り返すだけの、
同一の日々。
何もしないことは、生きながらに死んでいる。
箱の中にいるとも知らぬ子供たち。
外では奇なる存在も、
小さな箱庭では、正常そのもの。
楽園は、神のままごと。
箱庭遊び。
自己満足。
全てのものが、日々を生きるだけ。
刺激の無い日々。
来るモノコバマズ、去るモノオワズ。
外界との境。拒む気配。
世界を見て、
しっかり、この目で、
世界は汚れているだろう?
いざなう孤独。
人知れず存在する。
求めるものは、まだ見えず。
霧に隠された世界。
白い霧の中で、何を探し、何を求めるのか。
人は新たな発達を歩んでいる。
進化なのか、何かの災いの前触れか。
もうすぐこの手に。
この目に。
この足で。
神の領域なる楽園は、霧の中。
迷い込んだら、抜けられない甘い甘い大気の流動。
永遠、延々と時が止まったように、何も変わらない世界。
楽園。
神が作った世界、神の理想郷
誰でも受け入れてくれる場所。
見えない壁に阻まれて、
揺らぐ善なる行為を盾に
彼らを、僕らを
特別扱いし、差別している。
周りは、優しすぎやしないか?
その善意が重いんだ。
箱の中の楽園は、鏡のように全てが反転。
非日常は、日常で、
善は悪、悪は善で、統率者。
すべてが正しい楽園。
世界を見守る私だけの宇宙。
権力に左右され、
神にも悪魔にもなり、
見世物になっては、愛玩され、
利用される哀れみの者たちは、箱の中。
箱の中、
誰も知らない箱の中、
楽園の入った箱。
私が作った世界 私の理想郷
私を受け入れてくれる場所。
箱入りの楽園。
全てを受け入れ、全てを愛し、全てを与え、永遠の幸せ。
新しい人間に支えられ、箱は大きく育っていく。
抜け出したら、苦痛の日々の世界。
それでも、君達は、去ろうと言うのかい?
箱の中と、箱の外は、表裏一体のようで無限にある。




