13 古城で魔力をゲットするぞ!
13章を飛ばして14章を投稿してしまいました。すみません!
冒険者ギルドにコカトリスを引き取ってもらった後、アリアン達は宿に泊まり、疲れ切っていたので死んだように眠った。
翌日、新参者のコカトリスがいなくなり、再び主の居なくなったと思われる古城を目指して、急勾配の岩山をロープと金属製の楔を使って、ブラギ、ヴァーリ、アリアンの順で登っていった。そして一旦平らな場所にたどり着いた。古城は目の前だった。
まあ古城と言ってももちろん人間が建てた城ではない。中には器用に岩などを積み上げて、本当に建物のようなものもあるが、このコカトリスの城は大きな洞穴だった。
「天井高いし、間口広いし、奥も深いよ。でも、結構明るいね。どこから明かり入ってくるんだろう?」
アリアンが洞穴の前で中を覗き込んだ。一応松明の準備はしてきたのだが。
「確かに。松明はいらないみたいだな。とりあえず私達が先に入って、中に魔物がいるか確認して、もしもいたらこちらへ追い払うから、ここで迎え撃ってくれ」
ヴァーリの言葉にアリアンは頷く。そして吹矢を構えた。
しかし結局は何も居なかったらしく奥から彼女を呼ぶ声がしたので、アリアンは急いで二人の元へ走って行った。
洞穴の行き止まりの壁の中央あたりに、まるでテーブルの様に突き出ている箇所があった。アリアンはそこを見つめながら、ゆっくりゆっくりと後退りした。するとやがてその突起部分には、リンゴ箱くらいの大きさの箱が置かれてあるのが見えた。
「あったよ、『宝箱』」
アリアンは指を指した。
「高さ四メートルってとこかな。私が登ってとってこようか?」
「頼む! 俺達が乗ったら崩れそうだからな」
「オッケー!」
アリアンはロープを腰に巻きつけると、壁のわずかな出っ張りを見つけて指先で掴み、足の爪先を引っ掛けながら、垂直に近い壁を登って行った。そしてあっと言う間にテーブルのような岩までたどり着いた。
今まで見てきた『宝箱』はどれも金属というより鉄鉱石みたいな硬い石で作られていたが、これもそうだった。金庫のような形態だが、鍵がかかっているわけでも、呪文がかけられてあるわけでもない。
アリアンが蓋をとると、入れ物と殆ど変わらない真っ黒く光っているな大きな爪が八枚並べられていた。形は確かに昨日切り取ったコカトリスの足の爪と同じ形だった。
アリアンは左袖を腕の付け根まで巻く仕上げると、右手でそっと一枚の爪を右手で取り出し、腕に軽く触れた。
その瞬間、赤とオレンジと緑色々の光がパッと光った。それはコカトリスの『土』と『毒』と『火』の属性エネルギーが放たれて、身体に取り込まれた証拠である。
「三種類の魔力は一度に得られるなんて、コカトリスってなんてお得なの!」
アリアンは爪を箱に戻して蓋をすると、それにロープをしっかりと巻き付けて、ゆっくりゆっくりと下へおろしていった。やがてそれが地面に着いた感触があった。
そして再び三度、三種類の光が上がった。
「いいぞ。引き上げてくれ!」
ブラギの声に頷いて、アリアンは今度はゆっくりゆっくりとロープを引っ張り上げたのだった。
……………………………………………………
アリアン達は岩山から下りたった所で、改めて今後の打ち合わせをした。
ブラギはこれから王都へ行って、父親のモンドール子爵と接触を図る。そしてその間アリアンとヴァーリは次のスタンプラリーの目的地へ向かい、その近くの宿でブラギを待つ事にした。
次の目的地はドラゴネットの古城だ。小さめとはいえ初めてのドラゴンだから、三人でやっつけたい。そう話合っていた時、突然二人の男に声をかけられた。
「ブラギ! ヴァーリ!」
「「「! ! !」」」
アリアン達が顔をあげ、声のした方を向いた。すると、そこには見覚えのある人物が二人立っていた。彼らは近衛騎士だった。
「ルーカン様、オイングス様!!」
ブラギは嬉しそうに片手を挙げた。ヴァーリも懐かしそうに微笑んだ。アリアンにも見覚えがあった。確かに第一近衛騎士隊の副隊長のロイド=マイヤード子爵と、同じく第一近衛騎士隊のマルセロ=オイングス男爵だったと思う。
騎士達は三人の前までやって来ると、アイアンの顔を見て愛おしそうな、懐かしそうな顔をした。
「久しぶりだな、ヴァーリ殿、アリアン嬢…」
久しぶり…そう、嬢呼びなんていつぶりかしら。そう言えば、私は元は貴族だったんだと、彼女はそんな当たり前の事を思い出した。すっかり平民に馴染んでしまっていたアリアンだった。
二人はブラギの父親モンドール第一近衛騎士隊隊長の部下だ。しかし、副隊長のロイド=マイヤードは六年前の『第二側妃と近衛騎士隊の反乱事件』で、第一近衛騎士隊で唯一反乱軍に加わったとしてお尋ね者となっている元近衛騎士だ。
「マイヤード子爵様、ご無沙汰しております。その節は母を助けて頂き、ありがとうございました。そして、そのせいで反乱軍の一味と見なされて、身分を剥奪され、逃亡者にしてしまった事、誠に申し訳ありません。なんて感謝し、どうお詫びしたらよいのかわかりません」
アリアンは鎮痛な面持ちで頭を深く下げた。半年前にブラギにあの城内での内乱事件の話を聞いてから、マイヤードに対してずっと申し訳なく思っていたのだ。
するとマイヤードは慌てた様子で、両手を胸の前で激しく振った。
「おいおい、そんなに真剣にあやまらないでくれ! 君の父親なんて軽い調子で『すまん! 悪かったな!』って言っただけだぞ」
チッ! 本当に父はなんて奴なんだ。そんなに軽い人間だったかしら? それとも冒険者になって性格が変わったのだろうか。仲間、いや、仲間の家族の人生まで変えてしまったというのに、申し訳ないと思わないのか!
「父の分まで謝ります。本当にすみませんでした!」
すると今度はマイヤードではなく、もう一人の騎士マルセロ=オイングス男爵がこう言った。
「アリアン嬢、そんなに気にする必要はないよ。副隊長は残った私達よりもはるかに楽しく過ごしていたようですからね」
「えっ?」
道端で立ち話を続けるのもなんなので、アリアン達は街道沿いにある大きな食堂に入り、昼食を取りながら話をした。そしてそのまず最初に語られたのがマイヤードの逃亡中の話だった。




