平和の中の異常
初投稿、要は処女作です。生暖かく見守ってください。
「ただいま〜」そう言いながら、友也は玄関のドアを開けた。それに続けて「お邪魔します。」と透き通るような声で一言いい、一緒に帰宅したのは高校1年の冬から友也が付き合いだした彼女の神里紗希だ。
「優馬、帰ってきたぞ〜、紗希さんも来てる。」とリビングに居た弟の白崎優馬に帰ってきた旨を伝えた。「ああ、おかえり……それと、いらっしゃい……」と優馬はそれだけ言うとそそくさと自分の部屋へ入って行った。
「弟君、あれからまだ学校行けいないの……?」
「そうみたいです、でも最近は自分の部屋から出てくるようにはなりましたよ。今はあれですけど、あいつはやればできる男ですから。」そんな心配げな沙希の質問に友也は少し明るげに答えた。
優馬は高校に進級してすぐにいじめのターゲットにされて、学校に行かなくなってしまったのだ。
「沙希さん、今日は優馬が夕飯作ってくれているので、お腹が空くまでゲームでもしますか?」
「そうね、ただ普通にゲームするだけだとつまらないから罰ゲームでもつけましょうか。じゃあ、負けた方が買った方のお願いをきくってことで!」
「それって、もしかしてちょっとエッチなお願いもあり?」
「ふふ、もちろん駄目よ。そもそも友也ゲーム下手だから勝ち目ないじゃない。」
「なら、沙希さんの罰ゲーム期待してます。」
「そう、なら今日この家に泊めてもらおうかしら?丁度春休みなんだし、お母さんに言えば一泊するぐらい良いでしょう。」
「えっ……!?それってつまり」
「なに考えてんのよ…まぁ、添い寝までなら良いわよ…」
そんな調子で会話をしながら友也と先は夕飯の時間になるまでゲームを楽しんだ。
ゲームも終わり、リビングのテーブルで優馬があらかじめ作ってくれていた夕食を食べている時先ほど遊んでいたゲームの話をしていた二人
「はぁ、まさかあそこまで惨敗するなんて…」
「あっはっはっは、友也があそこまで下手だとはおもわなかったわ…(ぷっ…)」
「そんなに笑うなんてひどいですよ」
「だって、知ってはいたけどあんまりにも下手でつい」
「今度からは手加減してくださいよ、そうだ!食後のデザート買いにあとでコンビニに行きませんか?どうせ夜遅くまで話し込むんですから、お菓子とかも買っておきたいので。」
そんな会話を楽しみながら夕食を食べ終わった頃、奥の部屋の扉が開いて優馬が出てきた。
「兄貴たちコンビニ行くならついでに俺用のお菓子も買ってきてくれない?いつもの茎わかめと、干し梅でお願い……お金はあとで返すから」
「おう!いいぞー、飲みもんとか他はいらないのか?」
「じゃあ……コーラ買ってきて」
「ってことで、沙希さん今からコンビニ行きましょ」
「ええ、分かったわ、優馬君私がちゃんと友也が変なの買わないか見張っておくから安心しててね」
「ありがとうございます……」
「おいおい、二人とも俺はそんなことしないって……まぁそういう事だから優馬は留守番頼むわ」
「うん、いってらっしゃい」
「「いってきます」」
そういうと友也と沙希は家を出て徒歩15分くらいのコンビニに向かって歩きだした。辺りはもう9時過ぎという事もあり暗くなっていて街灯がないと暗くて10m先も分からないほどだったが、住宅街という事もありそこまで暗く感じられなかった。あおして、たわいもない話をしているとすぐにコンビニに着いた。
「買い忘れは無しっと」
「そうね、もうかなり遅いし早く帰りましょう」
確かに、コンビニ内の時計を見ると9時30分を過ぎていた。友也たちは高校生なのですぐに補導されるわけではないが時間にあまり余裕がないので少し急ぎ気味にコンビにをあとにした。
コンビニを後にして数分歩いた頃、通り道の工事現場から物音がした気がしたので友也は不意に立ち止まった。『犬』だ…暗い工事現場にただただそこに座ってこちらをずっと見ていた。ただ、その異様な大きさ、大型犬よりふた周りよりも大きい身体、月光に照らされた夜よりも濃い黒い毛並み、さらには、鋭く尖った犬歯と爪、『そいつ』は完全に狩る側の視線をこちらに向けていた。
「沙希さん!走って!」
友也は慌ててそう言うと先の手をつかみ走りだした。
「と、友也!?」
沙希はまだ『そいつ』の存在には気付いておらず、慌てた様子でいた。
「沙希さん!説明はあとです、今はとりあえず走ってください」
『ガルルル…』そううなった瞬間『そいつ』は地面を強く蹴りもの凄いスピードで追いかけてきた。
(はっ!?あいつ早すぎだろ!?このままじゃすぐに追いつかれる……とりあえず何か武器になりそうな物は……)
「沙希さん、何か武器になりそうな物見つけたら拾っておいてください。」
「ええ、わかったわ!」
(ちくしょう…こうなったら一か八か戦うしかないか、ってかあのでっかい犬なんて犬種だよ!)
少しいったところに廃材置き場があり、そこで友也たちは角材を手に入れた、そのまま路地に駆け込み『そいつ』を待ち伏せていた。
「はぁはぁ、友也、これはいったいどういうこと?あんなに大きい犬なんて見た事もないわ……」
「すみません、僕にもわかりません。一体どういう風に育てたらあんなに育つんでしょうか」
「冗談言ってる場合じゃないでしょ、もう直ぐ来るわよ」
そうして、息を潜めてじっと待つ、一撃で致命傷を与えるために、確実に一撃を入れなけれまならない、緊張で手が震える、恐怖で力が出ない、さっきまで走っていた事による身体的な疲労感コンディションは最悪だ。だがここでやらなければ、沙希が、そして自分自身が、死んでしまう。そんな不安とも言えるかんじょうが、友也の中をよぎっていた。
『ザッザッザッ』
あいつの、影が月光に照らされ曲がった先の目前にいる事はわかった。
「うおりゃあああああああああ!!!」『バン!』
友也は影の本体がいるであろう位置に手に持っていた角材を思い切り振り下ろした。だが、虚しくも、友也が振り下ろした角材は、地面にあたり先端が砕けてしまった。『そいつ』は角材が振り下ろされる寸前に大きく後方へジャンプし、友也の不意打ちを躱したのだ。
「うおっ、この犬っころ!」
攻撃を躱されて体勢が崩れた友也に『そいつ』は覆い被さってきた。
(お、おめぇ、なんだこいつ!?重すぎる!!)
このまま負けを確信した友也だったが、突然
「友也!伏せて!!えいっ!」
沙希が、角材で『そいつ』の脇腹を叩きつけた。流石に、こたえたの怯んだ隙をついて振り解きこのチャンスをいかすまいと一気に距離を詰めた。
「今度こそ!おりゃああああ!」
先ほど折れた角材の先端を『そいつ』の口元目掛けて突き刺した。完全に力が抜けっきて、絶命したことを確信した。
「はぁはぁ、これで、終わりか……沙希さんさっきはすごく助かりました」
「ホントに死んじゃうかと思った…友也が死ななくてよかった(ぐすっ)」
「生きてたのは沙希さんのおかげですありがとうございました、沙希さんこの犬どうします?…………えっ!?なんだこれ?」「なに…これ、どうなってるのよ……」
友也と沙希は死体に目を向けると信じられないような物でも見たような顔で驚いた。それもそのはず、さっきまで横たわっていた死体が、黒いモヤのようになって消えてしまったのである。死体の代わりに出てきたのは、黒くくすんだ拳くらいの石が落ちていた。そして、
《システムアナウンス:プレイヤーによる最初のモンスター討伐が達成されました》
ふぅ、短いのかな?長いのかな?コメント待ってます。