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トロール脅迫!エルフたちの逆襲.mp2

毎日投稿とか頭おかしなるで。なので初投稿です

【学生とは多かれ少なかれ何かの主役になりえる者である。良し悪しは除くが】


1994年初頭 アメリカ合衆国 ミネソタ州北部


ここミネソタ州北部のレジャー施設付近では、最近失踪者が立て続けに出ている事に対して地元市民から教会が相談を受けて調査が入った。

ミネソタ州は農業と鉱業にレジャーが主軸の州であり、風評による評判の低下は死活問題だからだ。

教会勢力による予備調査によれば、悪魔化した人間による犯行との見立てが建てられ、ブラックタスク社から分隊12人が派遣される事になる。


大まかな潜伏地帯の割り出しから、適した個所に前哨基地を設営しそこでブリーフィングが行われていた。

前哨基地といってもM939トラックからコンテナ類を降ろして天幕を張った程度だが。


「対象は邪鬼:ウェンディゴと推定されている。レベルは凡そ15~20、付近の洞窟を根城にしている痕跡があったそうだ」


「耐性については氷結無効疾風耐性、火炎と電撃弱点だ、銃弾は普通に効く。また特徴として両手に5本の鉤爪を持ち、人間の声を真似る。注意しておけ」


対象の能力、弱点、どう対応するべきか等を順を追って説明されていき、時折くだらないジョークが飛び交う等過度な緊張は無いらしい。


ホラー映画なら主役を張れるであろう怪物であるが、専門の訓練を積んだ適した装備を持つ部隊ならば容易く殺せる程度だ。

遠征処女を経験するには丁度いい。それでも人間がぶつかるのであれば業界での平均以上が必要ではある。

事前準備と充実した訓練に専門の装備を持つブラックタスク社だからこそ気軽に倒すことが出来るのだ。


あとは特別して述べるようなことは何もない。

敵の寝床をハック&スラッシュで押し込み強盗し、順当に火炎魔法を持つ仲魔と火炎弾で殺した。

被害者がそれ以上増える事は無く、ミネソタ州北部での行方不明者もそれ以降減る。

そうしてまた大学のサークル集団などが集まって冬を楽しむだろう。日常はこうして守られていく。



同年 ミシガン州 デトロイト市 ブラックタスク本社


空きビルを買い取って改装したブラックタスク本社ビルでは今日も多くのオフィサーが出入りしていた。

戦闘員は駐車場から大型トラックがオフィサーを載せて移動しており、事務職は全米からやってくる悪魔退治の依頼を捌いている。

本日も悪い事にますます盛況だ。

92年から続けている戦力増強だが、未だに全ての問題を解決出来るほどの充足を満たせていない。

既に三個中隊体制にまで増えこそしたが、年に5万件も発生する悪魔問題はとてもではないが間に合わず、更に追加中隊を発足させている。


そんな忙しい最中、社長室の電話が鳴った。

クレイグは昼食のワッパーを一先ずデスクに戻し、それから受話器を取る。


「どうした」


電話の相手はどうやら日本支局に派遣したヒックス中尉のようだ。

向こうには最低限の手勢である小隊しか置いていないので、対処できない規模の案件があれば本局に救援を求める事になっている。


『悪い知らせが二つあります。一つは悪魔召喚プログラムが日本にも本格的に出回りだしました。もう一つはそれで悪魔テロが起きている事です』


最悪に近い知らせだ。日本は土着のオカルト組織が壊滅したばかりで霊的防御が弱まっている。

悪魔召喚プログラムを利用すればそれなりに霊格の高い悪魔も呼び出せる状況だ。それでも小隊しか置いていないのは全米を抱える事すら出来ていないからだ。

そしてもう一つは、パソコン通信で広がった出所不明の完成度の高い悪魔召喚プログラムを使う民間人が出て、実質テロになった事。

既に現地のプロテスタント・カトリック教会が全力で火消しに回っているが、直ぐにでも対処能力を飽和するだろう。


事態は急を要する。その上対処能力も現地での指揮も必要だ。ヒックス一人と小隊ではとてもではないが足りない。

僅かに思考に思いを巡らせたクレイグは決断を下した。


「第二中隊を日本に派遣する、受け入れ準備を進めてくれ。以降第二中隊は日本駐屯になるだろう」


合衆国にとって日本は旧大陸に対する盾であり城壁だ、ここが政情不安になるのは困る。そんな事すら理解していないのが今の大統領だが。

だからと言って民間で何もしない訳にはならない。至急なんとかする必要がある。

ならばこその第二中隊、カーク少佐率いる連中の常駐となった。


『了解しました。直ちに準備に入ります、それでは』


電話が切れると共に、クレイグは内線電話に切り替えて第二中隊本部へと電話を掛けた。

間違いなく忙しくなるだろうこれからのスケジュールについて秘書に指示を出しながら。



同年 日本 東京都 とある高等学校


切っ掛けは些細なものだ。

よくある進学校、よくある格差、よくある差別、よくあるいじめ。

精神的に未熟な人間が集まる場所ならばより明確にそれらは発生する。

大人であっても平然とあるのだ。子供が制御できる理由がない。

単純に凶器に使われたものが大袈裟では済まないだけだった。


現在のその高校内部は地獄に満ちていた。

悪魔によって殺される生徒、■される女生徒と女性教師、苦しみと恐怖を増やす為に拷問される人間。

世界の負の縮図とも言える悪意に満ち溢れている。

逃げようとするものは多かったが、悪魔の張った結界により何の力も持たない生徒と教師たちでは逃げられず。

教会側が結界に気づいても、戦力を割く余裕がなかった。

混沌勢にとっても、無作為な悪魔テロは望むモノではなく協力して鎮圧しようとしていたが、彼らも過激派と共に戦力が失われている。

両勢力共に近年になって出回った悪魔召喚プログラムを利用して、悪魔召喚師を育成してはいるが、いまだ途上であり新兵ばかりであった。


外界から視覚的にも遮断された学校の目の前で全身艶消しされた黒い装甲服の集団が48人集まっている。

ヒックス中尉率いるブラックタスク第201小隊だ。

彼らは内部に取り残された生徒と職員の救助と、教会と混沌の生徒の奪還を目的として集合した。


『簡易ブリーフィングを行う。目標は生存者の救出と対象の奪還、テロ犯の殺害はサブ目標だ』


『内部の状況は不明、だが霊的防御の緩みからして出現平均はLv15以上は覚悟しろ最大は凡そ30になる』


『内部は異界化が始まっており迷宮になっている可能性が高い。遭遇戦が続くぞ、注意しろ。以上だ!』


周囲は人払いがなされており、救助者の治療、記憶処理の為のバックアップチームは教会から出ている。後は彼らの成果次第だ。


『ちなみに今回の報酬と経費は日本政府からふんだくって来た。テメエのケツも拭けない素人から精々かっぱいでやれ』


『『『了解!』』』


彼らの威勢のいい返答と共に小隊が移動を開始する。

スレッジハンマーを担いだオフィサーが正門前に張られている結界の前に立った。

彼は物理攻撃系の異能に目覚めたオフィサーで破城槌の役割を仰せつかっている。


『Black task! Open Up!』


突入コールと共にスレッジハンマーが結界に向かって放たれ、硬質な音と共に分厚い結界が周囲で砕け散る。

人が出入りするには充分な高さと幅が開け放たれ、そこに向かってオフィサー達は突入していった。



異界内 30分後


ぐちゃりと悪魔だった残骸が倒れ伏し、地面を汚す。

校門から突入したブラックタスクオフィサー達を出迎えたのは多種多様な悪魔の軍勢だった。

悪霊、外道、幽鬼、妖獣、魔獣、地霊、夜魔、邪鬼、凶鳥とまさに悪党とどこにでも湧く奴のオンパレードである。

それらを纏めて相手にした彼らは、10分でそれら襲い来る悪魔を全て皆殺しにし、橋頭保を確保した。

今は時折やってくる偵察役を見つけ次第殺している程度である。


『此方デルタ4、偵察を撃破。警戒に戻る』


突入口を守るデルタ分隊の一人が偵察役の凶鳥を撃ち殺した所だ。


『此方アルファ2、要救助者を確保した。今から戻る』


アルファ分隊のチームが要救助者を回収したらしい。

先ほどから似た様な通信が飛び交っているようで異界内外の出入りは激しくなっている。

外のバックアップチームはさぞ忙しいだろう。

生存者の多くは女生徒だ、男は大体物理的に喰われたか性的に喰われ果てている。助ける側としては数が少ないのは楽な事だが。


『此方チャーリー9、立て籠もっていた集団を発見。数が多い、支援を求める。場所は三階科学室だ』


どうやら混沌側の対象と一緒に立て籠もっていた為助かっていた集団がいるようだ。

1チームでの護送は難しく最低でも2チームは必要らしい。

これで興奮状態でもいたら一個分隊は必要だったかもしれない。萎縮状態であるのは都合が良いだろう。


『此方チャーリー1、そちらに向かう』


同様に三階にいたチャーリーの分隊長が支援に向かう様だ。これで護送も出来る。


『ブラヴォー1より各コマンド、一階の捜索が終了した。これより体育館を捜索する』


ブラヴォー分隊は一階の捜索を終えて校舎に隣接する体育館の捜索を開始する様だ。

現在の捜索範囲によれば、異界のボスも恐らく体育館にいると推察され、突入は慎重に行われる。

まずは偵察の為にオフィサーが外壁をよじ登り、窓から内部を観察していく。


『こりゃひでぇ・・・サバトだなこりゃ』


内部は女生徒達が悪魔に■されている最中だった。

テロ犯と思わしき男子生徒も女生徒相手にお盛んなご様子。

しかしながら、黒いヤギの頭をした邪神:バフォメットが手下の悪魔にしきりに命令を出していた。


『もう召喚さえ終わったら用は無い、と殺していないだけ有情なのかね・・・』


『ともかく連中は自分達の窮状に気づいているようだ。人質が取られるだろうが気にするな、運が無かっただけだ』


そうしている間にもブラヴォー分隊が体育館を包囲していく。

包囲が終われば次は突入、霊格が強化されたオフィサー達の筋力は既に人外の域に達している。只の鋼鉄製の扉程度蹴り開ける事は容易い。

突入と同時に悪魔達が次々と射殺されていく。何体かの悪魔が人質を使おうとしたが、される前に死ぬか、人質毎死ぬかのどちらかだ。


《おのれ、人間如きにここまでしてやられるとは・・・!》


壇上で体育館全体のエネルギーを吸収していたバフォメットが立ち上がる。


《運よく人間界でエネルギーを貪れる機会、ここで潰えてなるものかよ!》


開戦の咆哮を上げたバフォメットが豪炎と猛吹雪を撒き散らす。

それを各自が散開して回避しながら銃声が次々と飛び交う。M14、M16A2、M203、M870、M60E3、M72LAWと正に戦場だ。

双方周囲に転がっている女生徒達への被害などまるで考えていない。生きていたら儲けもの程度だろう。


《覚えておれ・・・!必ずこの雪辱晴らしてくれるわ・・・!!》


数分もの戦闘で周囲が死で満たされたころ、ようやっとバフォメットが倒れる。

運悪く呪殺を浴びたオフィサーも居たが、道反玉の使用で蘇生出来た。


そうして煙のように消えていくバフォメットを尻目に、体育倉庫へとオフィサー達が移動している。物音がしたからだ。

爆風で歪んだ扉を抉じ開けると、中には教会所属の生徒が守護結界を張って立て籠っていた。

ブラックタスクの到着までバフォメットの誘惑を耐え続けていた性だろう、彼女は直ぐに意識を失って倒れこんでしまう。


守りの要だった彼女が倒れた事と、物々しい装甲服の集団が現れた事でパニックを起こしかけた彼らだが、銃弾の発砲と「Shut up!」の脅しで黙らせた。

別段死人が増えた所で困るのはブラックタスクではない。


これにて高等学校悪魔テロ事件は無事終息した。しかし同様の事件は既に今月、既に都内で起きている。第201小隊の休暇は遠そうだ。

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