やりましたね 投稿者:変態糞エルフ KKR
調教うますぎかよ
2000年 東京 神宮心霊事務所
冷戦後に始まった世界規模での霊障・悪魔騒ぎの増加に伴い、民間でのフリー霊能者が悪魔祓いが活発化したのはある意味必然だった。
国による規制緩和と免許制への移行で、ある程度以上の霊能者が宗教法人に縛られず活動できるようになり日本でも職業の一種としての認知も進んできている。
今までのTVなどで面白おかしく晒される見せモノでしかなかった霊能産業が適性の評価がされるようになってい来た。
そんな民間霊能者での超一流とされる人物の一人に若い女性がいた。この神宮心霊事務所の所長、神宮佐奈である。
「報酬は最低でも一千万よ、びた一文まからないわ」
依頼主との直接交渉の真っ最中のようだ。
彼女の腕の良さに比例して、報酬も当然高くなる。事前準備に情報収集とお金もかかるので安く請け負うなど無理があった。
勿論それ以外にも彼女自身お金が好きだと言う理由もあるが。
「こちらも土地とビルが使えないのは困ります。何とかしましょう」
中年の男性がハンカチで冷や汗を拭いつつ、口に出した。
どうやら彼の会社が保有するビルと土地が霊障に汚染され使い物にならなくなっているらしい。
評判が落ちれば会社の信用に直結するので何としても早急に解決してほしいとの事だ。
「いいわ。なら今から情報を集めて一週間以内に片をつける」
「どうぞよろしくお願いします。それでは私はこれで」
経営者の男性がそのまま事務所を後にすると、給湯室から出て来た助手の藤崎みのるが紅茶とお茶菓子を手に持って来た。
「ありゃ、遅れちゃいましたか?」
「気にしないでいいわよ。そんなにお金出してくれそうになかったし」
酷い言い草である。しかしこの業界で舐められると報酬をケチられるので強気の姿勢を崩さないのは大事であった。
契約書を交わしても信用ならないのが人間である。悪魔とはえらい違いである。
しかし中には契約不履行をした契約者に命と財産全てを奪う過激派企業もあるので霊能者側も大概だが。
「それで今度の場所はどこですか?23区内ですかね」
「いいえ、都心から少し離れた場所よ。二ノ坂市と言えば解るかしら」
都市の名前を出された結果、愛嬌のある顔のみのるが顔を僅かに曇らせた。その名前に最近聞き覚えがあるからだ。
「ここ数日で霊的勢力が一気に変わった場所じゃないですか。急に霊障が増えたとも言われていますし、何より連中が何か探っているように動いてます」
「そうね。正直言って盥回しにされて此処にやって来た感じのする依頼だったわ」
みのるが紅茶と茶菓子を所長の机に置くと、自分も紅茶を片手にソファに座り込みながら口づけた。
「だったら断れば良かったのに」
「それも考えたわ。でも金蔓には違いないもの、ビルと土地の除霊だけで一千万はボロい商売ね」
みのるが溜息を吐きながら紅茶だけを眺め飲んでいく。
「それじゃあ俺は過去の登記情報とか現在のあの辺の情勢を探ってきます。三日貰いますよ」
「お願いするわ。前準備がしっかりできるかは貴方に掛かっているからね」
「就職先間違えた気がするなぁ・・・」
ぼやくみのるがスーツに着替えて事務所を出ていった。これから役所と現地の情報屋を探るのだろう。
◇
丁度三日後の午後。事務所に出勤してきたみのるは、書類を茶封筒に入れて鞄から取り出した。
「過去の登記情報から墓地や霊的に意味のあるモノは見つかりませんでした。只の魔力溜まりでしょう」
佐奈が渡された茶封筒から書類を取り出して真剣な顔で読み始める。
民間におけるフリーの一流霊能者らしいキレのある表情だ。
「但し周辺で混沌派が活動を活発化させていて、治安維持を名目にブラックタスクが警戒を強めています。巻き込まれれば面倒です」
「嫌よね過激派と過激派の争いとか。遠くでやっていて欲しいわ」
フリーの人間からしてみればどちらも関わりたくない連中である事には変わりはない。
混沌派はキリスト教とアメリカの影響力が強いのが嫌で反発し。
ブラックタスクはアメリカの国益を考えた場合、極東の確保は対ユーラシアを考えると必須であるから居座り続ける。
どちらの言い分もそれぞれの論法では至極真っ当なのだから始末に悪い。
「妥協ってもんが無いのがイケないのよこいつらは」
もっとも妥協したとて目的が達成できるかどうかは分からないが。
それでも争いは無くならない。
「一応行政からの許可は取れています、除霊作業を邪魔しない程度の効果は期待出来るかもしれません」
「だといいわね。さぁアタシはこれから出撃の準備に取り掛かるからアンタも準備なさい」
神宮心霊事務所の出撃である。
良くもコッコロくんを汚したな!訴訟も辞さない!




