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ホモと見る狐の笑い声~一転攻勢~

シルヴァリオトリニティやってるけどマジ糞眼鏡糞眼鏡。


2000年 アメリカ合衆国 ニューヨーク


ニューヨークの一等地、そこに建てられた経済の象徴たるタワーの一つ。そこのVIPルームでクレイグは友人と他愛無い話をしていた。

普段の艶消しされた装甲服ではなく、明るいグレーのスーツに身を包んだ彼はコーラを片手に愚痴を零す。


「俺など殺す事しか出来ん塵屑だ。蔑視されこそすれ、感謝される謂れは無い」


殺戮者の心根は自身の評価を常に低調に見ている。それと反する評価を祖国で受ける事に不本意である様だ。

裏社会の人間として、企業家としても両方で高い評価がアメリカでは得られている。

世界中に展開しているブラックタスク社としては他国から過激で恐れられているのが些かマイナスだが。


「そうか?私はお前の事を真実友人と思っているがな、軍人上がりながら見事な経営戦略だとも」


「それは専門家に力を貸してもらっているからだ。俺自身の努力は当たり前でなければならない」


そう。彼は現場で悪魔事件に対処しながらも経営者としての活動も一切怠っていない。

顧問を雇い法律と経営に対処し、営業をかけて全米各地の利益関係者とも繋がりを作り、

政治的基盤も得られるよう働きかけ、キリスト教全般とのコネクションの為に時間と資金を費やしている。

鍛錬以外の私的活動を行うような時間が、活動を開始した1991年から全く無いという異常な生活を行う毎日だ。

これが当たり前の努力だと言うのなら人類のほぼ全ては怠惰と言っていいだろう。

今こうして不動産王セオドア・ダグラスと顔を合わせている事ですらコネクションの維持という名目があるぐらいだ。


「お前が仕事に邁進しているのは構わないが、どうか潰れてくれるなよ。倒れられたら誰がDemon共を始末してくれるんだ」


皮肉交じりの心配が出る位には親交がある相手である。

出会いは破産したセオドアが事業の再開の為に資金を欲していた所に現れた出資者の一人という形だったが、

それでも数度の会合でそれなりに気が合うくらいには相性が良かった二人。

相手が潰れないと判っているが一応言っておく気遣いはあった。


「気遣いには感謝しよう。だがこの程度で潰れるなどありえんよ」


「知ってるさ。それで?お前が愚痴を言うためだけに来たわけもないだろ?」


確かな友情を感じる会話に続いてセオドアが切っ掛けを切り出した。

過密スケジュールが常の裏社会の大物クレイグ・アイアンズが要件も無く来るはずがない。

そう確信を持っているだけに遠慮なく本題に突入しようとする。


「ふぅ・・・明日のゴルフの時に話すつもりだったんだがな」


素敵な友人はどうやらゴルフは気負いなく楽しみたいらしい。

仕方なさそうに秘書からケースを受け取るとお互いの付き人も退室させた。

そうしてケースから取り出した書類を取り出すと、セオドアに手渡す。


「これだ。読み終わったら焼いてくれ」


機密性を考えて紙の書類で纏められた内容は非常に衝撃的な内容だった。


「なんだと!これは・・・・・・!」


内容に絶句するセオドアに対してクレイグは悔しさが滲み出るような声で言葉を続ける。


「今年は大統領選がある、どっちが勝っても間違いなく不良債権化したそれは爆発するだろう」


「慙愧に耐えないが、俺に国内での警察権は無いし国政への影響力もまだ無い。FBI、CIA共に掴んでいない情報だ。動いてくれるかすら微妙と言えよう」


「今年が大統領選であるが故に、か」


絶句から回復したセオドアが辛うじて呻くように口にした。


「それで私を通じて繋がりのある財界とは事前に連携を取る様にだな?」


事態を知らせに来たクレイグに対して思考力が回復したセオドアが今のこの状況の意図を察する。

不動産王にまで二度も上り詰めた能力は仔細まで入り考えを巡らせ始めた。


「そうだ。誰と手を結び誰を捨てるかは任せる、」


「分かった。此方で適切に見繕っておこう」


ちなみに翌日のゴルフではクレイグが負けた。

繊細な力の伝え方も完璧だったが、一時的な強風が吹いて計算がズレたのである。彼はあまり運が良くない。



アメリカ合衆国 ミシガン州 デトロイト市 ブラックタスク本社ビル


「定例会議を行う」


シーズンに一度行われる本社での会議。それがクレイグの宣言で始められた。

最初に立ち上がったのは本局の進捗報告を行うドミニク・サンソン中佐である。


「全局の電子化と通信網の強化、それと電霊とハッカーの確保は出来ました」


全支局との繋がりを電子的に確保して、その上で防御策の用意は無事達成されている。

後はこれをソフト・ハード共に順序アップデートすれば30年は問題なく使える予定だ。


「通常オフィサーの雇用と訓練は順調で、表向きは民間警備用として運用しています来年には一万人はなんとか確保できるかと」


ドミニクが話し終えて席に着くと、次に立ち上がるのが金髪をショートヘアにした冷たい表情が特徴の碧眼の美女。


「BT製薬のヴィクトーリア・ウェスカーです。傷薬系統の売り上げは順調、緊急用心肺蘇生薬や治療用薬剤関連は特許を習得し上々の売り上げです」


異界や生体エネルギー関連のアイテムを科学的に再現した薬品は順調に売れていた。

一番効能の低い傷薬は一般流通させているが、上位の治療薬は警察と軍関係だけに卸している。

しかしそれでも、腕が飛んだり内臓が損傷しても治療して復元できるというのは他にはない強みだ。


利率はそこそこで売っているのに、傷病者が激減するということで飛ぶように売れていて莫大な利益となっている。

利益効率だけならばダントツでグループ一位だ。

但し、研究開発費も莫大に掛かっているので原資の回収が辛い所だが。


ヴィクトーリアが座り次に立ち上がるのが商業系全般を纏めている明るい茶髪を刈り上げた眼鏡をかけている男だ。


「BTショップのダグラス・テイラーです」


「世界でのショッピングモールや各地で参画した商業施設の売り上げは普通ですね。自前の流通網確保のついでなので普通なのが一番なのですが」


「流通の革新については現状IT化を始めたばかりなのでちと時間が掛かります」


敢えて大繁盛しないようにしつつ全米各地や世界規模でモールなどを立ち上げているのは、

世界規模で活動する上での兵站の問題を解消する為、既存の世界秩序に乗ったうえで流通に食い込む必要があるからだ。

これが欠けていればどんなに事前に物資を集積させていても即座に運べず初動が遅れてしまう。

去年の咲原市での一件も物資の迅速な集積が出来れば事態を大事になる前に鎮圧する事も出来たかもしれない。


ダグラスが後頭部を掻きながら席に着く。

次に立ち上がるのは装備全般の開発と整備運用を行っている最古参部署。金髪を後ろに乱雑に纏めただけの壮年の男だ


「BTアームズのハミルトン・アダムズだ。今評価試験中の新型小銃だが、今の所は順調。後は報告書に纏めてある通りだ」


頑固一徹という雰囲気の男だが、開発と運用という真逆の部署を両方抱えているのはその高い能力ありきだからだ。

仮に彼が退社した場合この部署は二つに分裂して存在する事になるだろう。


「各人よくやってくれた、これまで通り今の方針は継続する。我々はまだ拡大するべきだ」


クレイグが纏められた報告書に眼を通し結論を出す。

まだ手は足りない。通常オフィサーもスペシャルオフィサーも政財宗教軍との繋がりも世界を守る為には手が足りない。

鏖殺の英雄はまだだと叫ぶ。

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